ハイレゾってどんなもの?/どうして音が良いの?などを解説
今日から始める“ハイレゾ”入門(1)ハイレゾの“基本のキ”をおさらい
このところwebや雑誌、販売店の店頭でも良く見かけるようになった「ハイレゾ」という言葉。ソニーをはじめ様々なメーカーが対応製品をリリースして来ているし、今日3月10日からは宇多田ヒカルのファーストアルバム「First Love」のハイレゾ音源が配信開始となった。
着実に盛り上がりつつある注目のキーワード「ハイレゾ」。でも「それってなに?」という方も多いはず。そこで今回は、そんな方のためにハイレゾの基本のキをおさらいしていこう。
■“ハイレゾ”ってなに?
「ハイレゾ」とは「High Resolution」の略。直訳すると「高解像度」だ。たとえばケータイのカメラ。一昔前のケータイのカメラで撮った写真と、最新モデルで撮った写真を見て「新しい方で撮った写真の方がずっときれい」と思ったことはないだろうか? それは、記録できる情報の量、つまり「解像度」が違うからだ。
音についても、これと基本的に同じ。CDとハイレゾを比べると、ハイレゾは「CDより多くのデータを記録しており、もともとの音(原音)に近い音を再現できる」こと、そして「アーティストが目指していた音をそのまま聴ける」ことが大きな魅力と言える。以下、詳しく説明していこう。
■なんで音がいいの?
多くの方にとって身近な存在であるCD。CDに記録できるデータは「44.1kHz/16bitのPCM信号」と規格で決められている。この場合、音の解像度は「サンプリングレート(●●kHz)」と「量子化ビット数(●●bit)」で決まる。サンプリングレートとは「1秒間にどのくらいの間隔でデータを読み込むか」。そして「量子化ビット数」は「データを何段階で数値化するか」だ。
私たちの耳に聞こえる「音」は、空気を震わす「波」。アナログレコードはこの波を直接盤面に記録して再生するものだったが、CDやハイレゾ音源では、波形を0,1のデジタル信号に変換して記録している。このとき、サンプリングレートや量子化ビット数が高いほど、もとの波形に近いデータを記録することができるのだ。下の画像を見てもらうと、そのイメージがつかみやすいだろう。
▼サンプリングレート/量子化ビット数についての詳細はこちら
http://www.phileweb.com/magazine/audio-course/archives/2008/04/24.html
CDの場合、44.1kHz/16bitに収まらないデータは切り捨てられていた。しかしハイレゾはその規格にとらわれないため、より沢山の情報が詰まったデータをそのまま享受できる。たとえば96kHz/24bitの音源はCDの約3.3倍、192kHz/24bitの音源は約6.5倍ものデータ量となっている。
ハイレゾ音源配信でポピュラーなPCMフォーマットはFLACやWAVだが、それとは違うデジタル化方法である「DSD」で記録した高音質音源も近年増えてきている。
DSDは「Direct Stream Digital」の略。もともとは高音質パッケージであるSACD向けに開発されたフォーマットだ。PCMでは波形を時間軸とダイナミックレンジによって数値化・記録していたが、DSDは「音声信号の大小を、1bitのデジタルパルスの濃淡で記録する」方式。2.8224MHzや5.6448MHzといった非常に高いレートでサンプリングを行い、音量がなだらかに変化する部分は信号が低密度に、変化の大きなところは高密度になるしくみだ。PCMよりも記録する回路をシンプルに構成できるため、より原音に近い音を記録できるのがメリットだ。
■数字が高い=音が良い、なの?
「じゃあ数字が高いほど、データ量が多いほど音が良いってことなんだ!」…と言いたいところなのだが、これが一概にそうではなかったりもする。
まず、もともとのソースのクオリティの問題がある。録音した時の音が良くなければ、情報量が多いからといって良い音にはならない。それに、安易なアップサンプリングで数字を引き上げただけのものもある。
そして「アーティストがどんな音で聴いて欲しいかによって、選択されるフォーマットは違う」ことも是非知っておいて欲しいポイントだ。
たとえばチェリストの溝口肇さんは、「Cello Bouquet」(2014年1月ハイレゾ配信開始)リリースの際に「DSDはアナログで録った音に近い」「192kHz/24bitはチェロの音には合わないように感じる。96kHz/24bitの方が相性が良い」と語っていた(関連記事)。
また、元L⇔Rの黒沢健一さんは「いちばん音楽的で音がいいと思うのが48kHz」「サンプリングレートが高すぎると、色々なものが見えすぎて雰囲気がなくなってしまう」(関連記事)という考えから配信フォーマットを決めたという。「なんだよこの音源48kHz/24bitか…大したことないな」なんて、数字だけにとらわれて判断してしまわないで欲しい。
ハイレゾ音源は、CDには記録しきれなかった多くの情報量を収められることでより原音に近い音の再現を可能にする。またCD規格から自由になることで、録音した時のマスターデータをそのまま提供することもできるようになった。
アーティストの目指している音をそのまま楽しめる、つまり「音楽」をよりいっそう味わい尽くせるのが、ハイレゾのいちばんの魅力なのだ。
■ハイレゾ音源、どんなものがあるの? どこで買えるの?
これまではクラシックやジャズなどのラインナップが多かったハイレゾ音源だが、最近ではJ-POPやロックなどのラインナップも増えてきた。より多くの方が、自分好みの聴きたい音源を見つけやすくなったというわけだ。
国内では老舗の「e-onkyo music」が2005年からハイレゾ音源配信をスタート。最近ではmoraやVICTOR STUDIO HD-Musicなど様々なハイレゾ配信サイトが増えてきている。こちらのページで、各配信サイトの特徴や使い勝手などを解説していこう。
着実に盛り上がりつつある注目のキーワード「ハイレゾ」。でも「それってなに?」という方も多いはず。そこで今回は、そんな方のためにハイレゾの基本のキをおさらいしていこう。
<目次> ・“ハイレゾ”ってなに? ・どんなところで手に入れられるの? |
■“ハイレゾ”ってなに?
「ハイレゾ」とは「High Resolution」の略。直訳すると「高解像度」だ。たとえばケータイのカメラ。一昔前のケータイのカメラで撮った写真と、最新モデルで撮った写真を見て「新しい方で撮った写真の方がずっときれい」と思ったことはないだろうか? それは、記録できる情報の量、つまり「解像度」が違うからだ。
音についても、これと基本的に同じ。CDとハイレゾを比べると、ハイレゾは「CDより多くのデータを記録しており、もともとの音(原音)に近い音を再現できる」こと、そして「アーティストが目指していた音をそのまま聴ける」ことが大きな魅力と言える。以下、詳しく説明していこう。
■なんで音がいいの?
多くの方にとって身近な存在であるCD。CDに記録できるデータは「44.1kHz/16bitのPCM信号」と規格で決められている。この場合、音の解像度は「サンプリングレート(●●kHz)」と「量子化ビット数(●●bit)」で決まる。サンプリングレートとは「1秒間にどのくらいの間隔でデータを読み込むか」。そして「量子化ビット数」は「データを何段階で数値化するか」だ。
私たちの耳に聞こえる「音」は、空気を震わす「波」。アナログレコードはこの波を直接盤面に記録して再生するものだったが、CDやハイレゾ音源では、波形を0,1のデジタル信号に変換して記録している。このとき、サンプリングレートや量子化ビット数が高いほど、もとの波形に近いデータを記録することができるのだ。下の画像を見てもらうと、そのイメージがつかみやすいだろう。
▼サンプリングレート/量子化ビット数についての詳細はこちら
http://www.phileweb.com/magazine/audio-course/archives/2008/04/24.html
CDの場合、44.1kHz/16bitに収まらないデータは切り捨てられていた。しかしハイレゾはその規格にとらわれないため、より沢山の情報が詰まったデータをそのまま享受できる。たとえば96kHz/24bitの音源はCDの約3.3倍、192kHz/24bitの音源は約6.5倍ものデータ量となっている。
ハイレゾ音源配信でポピュラーなPCMフォーマットはFLACやWAVだが、それとは違うデジタル化方法である「DSD」で記録した高音質音源も近年増えてきている。
DSDは「Direct Stream Digital」の略。もともとは高音質パッケージであるSACD向けに開発されたフォーマットだ。PCMでは波形を時間軸とダイナミックレンジによって数値化・記録していたが、DSDは「音声信号の大小を、1bitのデジタルパルスの濃淡で記録する」方式。2.8224MHzや5.6448MHzといった非常に高いレートでサンプリングを行い、音量がなだらかに変化する部分は信号が低密度に、変化の大きなところは高密度になるしくみだ。PCMよりも記録する回路をシンプルに構成できるため、より原音に近い音を記録できるのがメリットだ。
■数字が高い=音が良い、なの?
「じゃあ数字が高いほど、データ量が多いほど音が良いってことなんだ!」…と言いたいところなのだが、これが一概にそうではなかったりもする。
まず、もともとのソースのクオリティの問題がある。録音した時の音が良くなければ、情報量が多いからといって良い音にはならない。それに、安易なアップサンプリングで数字を引き上げただけのものもある。
そして「アーティストがどんな音で聴いて欲しいかによって、選択されるフォーマットは違う」ことも是非知っておいて欲しいポイントだ。
たとえばチェリストの溝口肇さんは、「Cello Bouquet」(2014年1月ハイレゾ配信開始)リリースの際に「DSDはアナログで録った音に近い」「192kHz/24bitはチェロの音には合わないように感じる。96kHz/24bitの方が相性が良い」と語っていた(関連記事)。
また、元L⇔Rの黒沢健一さんは「いちばん音楽的で音がいいと思うのが48kHz」「サンプリングレートが高すぎると、色々なものが見えすぎて雰囲気がなくなってしまう」(関連記事)という考えから配信フォーマットを決めたという。「なんだよこの音源48kHz/24bitか…大したことないな」なんて、数字だけにとらわれて判断してしまわないで欲しい。
ハイレゾ音源は、CDには記録しきれなかった多くの情報量を収められることでより原音に近い音の再現を可能にする。またCD規格から自由になることで、録音した時のマスターデータをそのまま提供することもできるようになった。
アーティストの目指している音をそのまま楽しめる、つまり「音楽」をよりいっそう味わい尽くせるのが、ハイレゾのいちばんの魅力なのだ。
■ハイレゾ音源、どんなものがあるの? どこで買えるの?
これまではクラシックやジャズなどのラインナップが多かったハイレゾ音源だが、最近ではJ-POPやロックなどのラインナップも増えてきた。より多くの方が、自分好みの聴きたい音源を見つけやすくなったというわけだ。
国内では老舗の「e-onkyo music」が2005年からハイレゾ音源配信をスタート。最近ではmoraやVICTOR STUDIO HD-Musicなど様々なハイレゾ配信サイトが増えてきている。こちらのページで、各配信サイトの特徴や使い勝手などを解説していこう。