【特別企画】アコースティックデザインシステムによる試聴会を直撃取材
「部屋の吸音」と「レコードの魅力」の密接な関係を体感 − 「第17回 Acoustic Audio Forum」開催レポート
例えば「ひこうき雲」では、試聴後に鈴木氏が「好みの問題だが」と前置きした上で、「吸音材を入れたほうが、試聴環境としてミキシングスタジオに多少近くなる。ミュージシャンが音決めした状態と近くなったため聴きやすくなったのではないか」とコメント。同イベントに毎回参加している評論家の村井裕弥氏も、「何もない状態では、楽器の余計な帯域が聞こえてしまってユーミンの歌声が埋もれてしまっていた。吸音材を入れることによってヴォーカルが引き立った」と評価した。
ただし鈴木氏は「オーディオを楽しむにあたっては、ミュージシャンやエンジニアの編集環境に近いほうが公約数的には良いと言える。ただ、人によって好みは様々だし、それでいい」とし、吸音(調音)に絶対的な正解は存在しないとも解説。イベントでも実際に、参加者同士が「この曲は吸音材があったほうが好みだった」「私は吸音材なしのほうが好みだった」と活発な議論を交わしていた。
鈴木氏は加えて「例えばデッド気味にすることが多い音楽スタジオの施工においては、すぐに吸音材を持ち出す業者も多い。しかし吸音材は薬みたいなもので、使わないで済むなら使わないに越したことはないと考えている」ともコメント。家屋の物理的条件、オーナーの音の好みなど、ケースごとに合わせて柔軟に部屋づくりを行う必要があり、また、音楽家やオーディオ/ホームシアターファン専門に無数の物件を手がけてきた実績のある同社であれば、そうした多様なニーズに対応できることを説明した。
屋内配線の材質の違いによる音質の違いをテーマにした前回(関連記事)、そしてアナログレコードをテーマにした今回と、毎回様々な角度から「オーディオにおける部屋づくりの重要性」を体験できるように配慮された本イベント。同社では今後も趣向を変えながら定期的にイベントを開催していくとしていう。ファイル・ウェブでも、最新回の告知や開催レポートを引き続き随時掲載していく予定だ。
【Acoustic Audio Forum 問い合わせ先】
アコースティックデザインシステム
オーディオフォ−ラム担当者
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