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【特別企画】“音のよい部屋づくり”とは?

音量とオーディオの魅力は相関するのか? 「第18回Acoustic Audio Forum」で分かった防音のポイント

公開日 2015/05/28 11:47 編集部:小野佳希
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また、コンクリート基礎の上にグラスウールのクッション材を入れ、その上にさらにコンクリートを打設することで、躯体と縁の切れた浮床コンクリートを構築し、フローリングで仕上げるという床構造を採用。さらに、部屋の前方はフローリングではなく御影石にし、この御影石部分とフローリングも実はコンクリートがセパレートされている。これによって、大音量でもフローリングのほうが振動するようなことがないというこだわりようだ。

機器を設置する前方床面は御影石。フローリングともセパレートすることで振動対策を行っている

「そのため割りとクリアな音を得られているのではないかと思う。大きすぎる音であっても部屋による輻輳で音の分離が悪くなったりすることがないのも実感してもらえるのではないか」と鈴木氏は言葉を添える。こうして、住民に気兼ねすることなく製品開発に没頭できる試聴室が完成したわけだ。

天井高も4mという高さを確保

なお、この試聴室の建築費は「トランスを入れたり電源を2系統に分けるなどといった諸々も含めて、400万円〜500万円くらい」(鈴木氏)とのこと。

スフォルツァート代表取締役社長の小俣恭一氏は「機器を作っている私が言うのもおかしな話だが、プレーヤーに300万円かけるなら部屋に300万円かけて30万円のプレーヤーで音楽を聴いたほうがいいかもしれない(笑)」と語り、アコースティックデザインシステムが手がけた本試聴室の出来栄えに非常に満足している様子も見せた。

スフォルツァート 小俣氏

■部屋は「音楽という料理を美味しくするための食卓・キッチン」

さて、試聴デモでは前日の結果を受けて、最小と最大の音量差を前日よりも大きくしての再生を実施。しかし、それでもやはり参加者の好みは「ふだん自分が聴いている音量よりももっと大きな音で聴きたい」という声が多くなり、オーディオファンの防音・遮音ニーズの高さを改めて感じさせる結果となった。

大音量での再生中に外側から音漏れをチェック。窓に耳をつけてようやく音が鳴っていることがわかるほどの遮音性能

ただ、ここで改めて意識したいのは、このスフォルツァートの試聴室も、そして九段下のアコースティックデザインシステムのショールームも、部屋の響きへ充分に配慮した上での防音・遮音を行っているという点。単純に防音性能だけを追い求めるのではなく、音楽を思う存分楽しむための工夫がこらされていることを、我々オーディオフォンは今一度意識し、自分の部屋づくりの参考にするべきだろう。

こうした点について鈴木氏は、「ミュージシャンやエンジニアは、家庭で聴かれたときに最も美味しくなることを想定してマスタリングする。缶詰に入っている音楽を自分のオーディオルームにもってきてうまく開こうというのがオーディオ装置だ」と料理に例えてコメント。「食卓、キッチンにあたるのが部屋だ」とし、「器をキチンとしないと料理も美味しくならない」と述べた。

そのほかこの日のイベントでは、「角部屋に住んでいて、上下階の住人とは良い関係性を築けているが、隣人と少しうまくいっていない」という参加者から、「その隣人の方向の壁だけ防音性能を高めても意味はあるのか?」という質問も。

これに対し鈴木氏は「一部分だけでなく、床、壁、天井の全てを浮き構造にしないと、満足した結果は得にくいだろう」とアドバイス。「一方的な講義でなく、皆がざっくばらんに対話できるよう『フォーラム』と名付けた」というイベントの趣旨通り、活発な意見交換が交わされる一幕も見られる回となった。

「石井式」で知られる石井伸一郎氏も来場していた

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