【特別企画】「オーディオルームに吸音は必要なのか?」
オーディオと吸音の密接な関係を体感 − 試聴会「Acoustic Audio Forum」取材レポート
吸音材の配置パターンは主に「吸音材ナシ」「前方のみ吸音材アリ」「前方+左右の壁(計3箇所)に吸音材アリ」「前方+側面の片方だけ(計2箇所)」といったもの。これに、後方壁面に設置したカーテンの開閉を組み合わせての楽曲再生を行った。同じ音源を異なる条件で試聴し、どのように曲の印象が違ってくるかを体験するという試みだ。
なお、「前方+側面の片方だけ」という吸音パターンは、両サイドの片側だけ窓になっている状態をシミューレーションしてのもの。実際の使用シーンにも多いであろう状況をきちんとカバーし、参加者がその効果をより身近に感じられるようになっていた。
また、ショールームに導入されているカーテンは一般的なものより吸音レベルが高い製品。「練習のためにこの部屋を貸したプロの演奏家にも、『カーテンの開け閉めで音が結構違うね』と言われたこともある」(鈴木氏)という。
ちなみに、ふだんはハイレゾ音源などデータ形式の楽曲でのデモが多い本イベントだが、この日はアナログレコードも使用。カーメン・マクレエやマイルス・デイヴィスのアナログ盤なども用いての聴き比べが実施された。
鈴木氏は、会場となったショールームについて、「前方に吸音材をセットした状態でカーテンを閉めると、何もない状態に比べて残響時間が0.017秒短くなる」と紹介。「両サイドにパネルを立てるとさらに0.022秒短くなる。つまり、今日の実験では最大で0.039秒の残響時間の差がでることになる」と説明した。
加えて鈴木氏は、吸音材をフルで使用した状態について「これくらいデッド(響きが短い)な状況での音は、我々がミキシングスタジオやマスタリングスタジオを作るきの響きに近い」とコメント。「スタジオでみっちり作りこむような現代の音源の場合はこういう状況で聴いたほうが作った環境には近いかもしれない」と続けた。
■「まるでスピーカーが生まれ変わったかのよう」
イベントの後半では、実際の施工例も紹介。間取り図なども示しながら、オーディオを楽しめる部屋づくりのためにどんな工事が行われたのかを解説した。