山之内 正氏が基本や再生方法などを指南
女優&家電スタイリスト・元SDN48の奈津子が初体験!アナログレコードの深〜い魅力
ドーナツ盤にSP盤、回転数の違いとは?
奈津子「ところでレコードって、片面に何分ぐらい入るんですか?」
山之内「溝の刻み方次第ですが、だいたい20分から30分。A面B面合わせて40分から1時間ぐらいです。多くは40分前後ですね」
CDの場合は最大約76分収録できるので、アナログレコードはだいたいCDの半分強ということになる。
山之内「長時間収録してしまうと溝の間隔が狭くなります。大きな音は溝の幅が広いので、隣の溝とくっついてしまいます。そのため、ある程度余裕を持って刻まないと音質が犠牲になってしまうんですよ」
続いて山之内先生は、「もう1種類、違うレコードを紹介します」と話し、盤面の小さな「ドーナツ盤」とも呼ばれるシングル盤のレコードを取り出した。
山之内「先ほどの『LP盤』は直径約30cmですが、こちらは約17cmです。LPは毎分33と3分の1回転なのに対し、シングル盤は45回転です」
「なんで回転数の違いがあるんですか?」と質問する奈津子さんに対し、「最初のSP盤は78回転と、さらに回転数が速かったんですよ」と話す山之内先生。
山之内「最初のSP盤は78回転で、盤面はLPと同じ30cmでしたが、片面に5分ぐらいしか入りませんでした。交響曲などクラシックの長い曲の場合、8枚組とかになってしまいます。そこで収録時間を長くするために溝の幅を細くする技術を開発し、回転数を落としてできたのが33と3分の1回転というわけです。45回転は速さが増すのでより高密度に記録でき、音質がよくなります。しかし全体の収録時間が短くなるというデメリットがあります」
「音質の違い」に反応した奈津子さん。「それって今のCDとハイレゾの違いぐらい、明確に分かるんですか?」と質問を投げかける。
山之内「そこまでの差はありませんが、確実に音の差は聞き取れますよ。30cm盤を45回転でカッティングした『45回転盤』と呼ばれるレコードも売っていて、マニアは喜んで買いますね。それに加えて、材質そのものを厚くした『重量盤』というものもあります。通常盤は約150gですが、重量盤はだいたい180gぐらいまで重くなっています。重量盤のメリットの一つは、平面性を確保しやすいということにあります」
だんだんディープな方向に進んできたが、山之内先生の講義がとても分かりやすいこともあり、奈津子さんの理解も進んでいく。
しかし、ディープな部分にまで突っ込んだとはいえ、まだまだこれは“アナログレコードの基本のキ”だ。次回は、アナログレコードを聴くために重要な「セッティング」や、ハイレゾ音源との聴き比べなどについて紹介していきたい。
講師:山之内 正/構成:安蔵靖志/写真:石井 明和