山之内 正氏と聴き慣れた音源を比較試聴!
女優&家電スタイリスト・元SDN48の奈津子が初体験!アナログレコードとハイレゾの違いって?
セッティングに重要な“作法"とは?
山之内「アナログレコードをいい音で聴くためには、最初のセッティングも重要なんですよ。レコードを安定的に回すためにはどんなセッティングが必要だと思いますか?」
奈津子「水平にする、ということでしょうか……?」
山之内「そうです。4つの脚があるので、それらを少しずつ回しながら、ターンテーブルが水平になるように水準器を使って微調整するんですよ」
奈津子「水準器って、道路工事の作業員さんとかが使っているアレですか?」
山之内「そうです。あれをターンテーブルの上に載せて、前後左右を水平にします。これは最初に設置するときにやれば大丈夫です」
続いて山之内先生は、「トーンアーム」の設定について語り始めた。
山之内「先ほど『トーンアーム』の先に『カートリッジ』が付いていると話しましたが、このカートリッジは交換もできるんですよ。カートリッジはそれぞれに音色が異なるので、いろいろな音の違いを楽しめるのですが、カートリッジは製品によってボディーの構造が千差万別なので、交換すると針の位置などが変わってきます。そこで、アームの高さを調整する機能も付いているんです」
アームの高さ調整も最初に行えばいいが、カートリッジを交換した場合は再度同じ調整が必要になる。
奈津子「アナログレコードって、いろいろと調整する部分があるんですね…!」
山之内「まだ他にもありますよ」
続いて山之内先生は「針圧調整」について説明し始めた。今回試聴したティアックの「TN-570」に付属するカートリッジは針圧(レコードにかける重さ)が1.4gと決められている。針圧調整はとても難しそうだが、実は一度覚えてしまえばシンプルだ。
山之内「まずトーンアームの後ろにあるおもりを回して、水平バランスを取ります。やじろべえのように釣り合ったところが『0g』です。次に手前の細いダイヤルを回して『0』に合わせます。そこからおもり全体を回して『1.4』のところに合わせると、針の重さがちょうど1.4gになるんです」
奈津子「分かりやすいですね!」
針圧に加えて、アンチスケーティング機構(インサイドフォースキャンセラーとも呼ぶ。トーンアームが内側に引っ張られる力を打ち消す機能のこと)の設定なども必要になる。
山之内「この構造のトーンアームは内側に引っ張られる力が働くため、それを反対側にキャンセルする機構が必要になるんです」
奈津子「最初にそれをやらないと、ちゃんとした音で聞けないということですか?」
山之内「そうなんです。これをしないといい音が出ないんです。実は、音の溝は左右それぞれ約45度に傾いていて、その上に針が接することで音を読み込んでいます。その面に刻まれた波の上を針が振動することで右チャンネル、左チャンネルそれぞれを電気信号に変えています。その針が片側に寄ってしまうと、どちらかが弱くなって音のバランスが悪くなってしまいます。それをなくすためにこういった調整が必要なんです」
奈津子「すごくデリケートなんですね……」
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