具体的な材料をもとに大予想
囁かれる「iPhone 7」イヤホン端子廃止。代わりはBluetoothとLightning、どちらになる?
●ケース2:Lightning出力がメインになる
もうひとつ、LightningがHi-fiオーディオ出力のメインになるという説がある。LightningでiPhoneと直結するタイプのヘッドホンは、すでにいくつかの製品が販売されており、その線も確かにありうる。iPhoneとヘッドホンはデジタル接続となり、DA変換を含む再生系はすべてヘッドホン側となるため、音質だけを考えればBluetooth/A2DPよりベターだ。
しかし、iPhoneというデバイスの立ち位置を考えると、ネガティブな要素のほうが多い。この方式は残るとしても、やはり本命はBluetooth/A2DPではなかろうか。
ひとつはコストの問題。ヘッドホン側にDACやアンプが必要となるため実装が複雑となり、低価格機は難しくなるだろう。しかもLightning端子を使うとなると、Appleが定めるライセンス(MFi、Made for iPhone)を取得せねばならない。
もうひとつは端子の問題。Lightning端子にはロック機構がなく、イヤホンジャックと比べても抜けやすい。端子部分に専用ICを搭載する都合上、L字型プラグのように差し込み口から90度曲げることは難しく、どうしてもiPhoneから大きく飛び出した形となってしまう。
Lightningという仕様の継続性にも疑問がある。一大市場であるEUでは、域内で販売されるスマートフォンなど小型無線機器の充電方式を統一する方針であり、2014年3月に欧州議会は3年程度で統一規格(Micro USB)へ移行することを義務付けている。Micro USB/Lightning変換アダプタを同梱して凌ぐ可能性もあるが、そうなれば"大きく飛び出る"問題はさらに深刻となる。
以上のように考えると、iPhoneでのHi-Fi音楽再生はワイヤレス化に比重を移す気がしてならない。本体の薄型化を進めるためにイヤホンジャックを廃止し、その代役としてBluetooth/A2DPをオーディオ出力のメインに据える、という噂どおりの変更だ。
とはいえ、Appleが"現状のBluetooth/A2DP"のままユーザに提供するとは考えにくい。AACを上回る効率/音質のコーデックを投入することは、費用対効果に優れる妥当な方法だが、新規開発では対応製品(ヘッドホン/イヤホンやワイヤレススピーカー)のラインナップに時間がかかることになるため、他社が開発したコーデックのライセンスを受けるほうが時間がかからずエンドユーザの利益にもなる。さらにペアリングの問題を解決すれば、受け入れられる可能性は高まる。
音質だけでいえば、Lightning出力で代替することが望ましいが、前述したとおり端子が飛び出てしまう構造と、EU対策のために規格自体が先行き不透明な状況がある。大幅な価格上昇が避けられないことから、エンドユーザとサードパーティー(オーディオメーカー)は諾々と受け入れないだろう。
間もなく9月、次のiPhoneが発表される可能性は高い。Hi-Fiオーディオ出力がどうなるか、注視していきたい。