具体的な材料をもとに大予想
囁かれる「iPhone 7」イヤホン端子廃止。代わりはBluetoothとLightning、どちらになる?
■BluetoothかLightningか?ケース毎にシナリオを予想
前項を踏まえたとき、「次のiPhone」のオーディオ出力はどうなるか。ゲームなどの効果音に不可欠な内蔵スピーカーとWi-Fiは残るとして、現在メインのイヤホンジャックに代替しうる有力候補「Bluetooth/A2DP」と「Lightning」について、問題点とありうる将来について考えてみたい。
●ケース1:Bluetooth出力がメインになる
もっとも可能性が高いのは、Bluetooth/A2DPではないだろうか。ソフト/ハードとも実装済であり、すぐにでも運用を開始できる。付属のイヤホンをBluetooth対応に置き換えるだけで、移行は完了だ。バッテリーやICを搭載しなければならないなど製造コスト上昇を招く可能性大だが、Appleがその点で躊躇するとは考えにくい。
おそらく、ポイントは「コーデック」だ。あくまで想像だが、Bluetooth/A2DPをメインのオーディオ出力に据えるのならば、Appleはそのタイミングでコーデックを追加するのではないか。現在Bluetooth/A2DPで利用されるオーディオコーデックは、iOSデバイスの場合SBCとAACの2つだが、AAC以上に高効率/高音質なコーデックを用意すれば、イヤホンジャック廃止による音質的デメリットを多少なりとも補えるからだ。
Bluetooth/A2DPでは、オーディオコーデックの信号処理アルゴリズムや扱える情報量(ビットレート)が音質に大きく影響する。Hi-Fiオーディオ用途には、Qualcommの「aptX」とその上位版「aptX HD」、SONYの「LDAC」が存在するが、いずれも他社へのライセンスは可能だ(現時点で採用実績はないものの、LDACを他社にライセンスする意向があるとSONYは表明している)。
Bluetooth/A2DPのコーデックはソフトウェアレベルで(OSの機能として)実装できるため、Bluetoothチップの性能が一定水準を満たしていれば任意のものを追加できる。実際、iOSと姉妹関係にあるOS XにはaptXの採用実績があり、技術的な障害はないと考えられる。
ただし、コーデックを追加したとしても「ペアリング」の問題は残る。ワイヤレス化で利便性は向上するだろうが、挿すだけでいいイヤホンジャックに比べ、導入の難易度は格段に上がる。Appleが重視するユーザーエクスペリエンスの低下につながることは確実だ。
つまり、高効率・高音質なオーディオコーデックを追加し、ワンタッチペアリング機能も用意すれば、Hi-Fiオーディオ出力のメインをBluetooth/A2DPに変更するメリットがデメリットを上回るはず。ここを無視してイヤホンジャック廃止に踏み切ることはないと考えるが、いかがだろう。