選ぶべきは2カメラ型か360度型か
ドラレコで記録するのはクルマの前後だけで安心?あおり運転に“車内撮影”が注目
万が一のアクシデントを映像と音声で記録するドライブレコーダー(ドラレコ)。本来なら活躍して欲しくはないが、またもやドライブレコーダーが役立った事例が世間を賑わすこととなってしまった。
常磐道で起きた事例では、乗車しているドライバーに対して危害を直接加える傷害事件にまで発展。この事件を受け、 “車内を撮影するドラレコ” への関心が一気に高まるようになった。これまで車内撮影用カメラを設置するのは不特定多数の乗客を乗せるタクシーなどの業務用途が基本と考えられてきたが、今やそれは通用しなくなってしまったというわけだ。
こうなると、いまドラレコで主流となっている、クルマの前後を撮影可能な「2カメラ型」を導入して間違いないのか、ということが気になる方もいるだろう。では、どこまで撮影すれば十分なのかということだが、それはまさに考え方次第。死角なくすべてを撮影しておきたいというなら「360度型カメラ」以外に選択肢はない。
このタイプなら前方だけでなく窓越しに映る左右までもサポートし、同時に車内の様子も捉えることが出来るからだ。ただ、このタイプは1枚のセンサーで360度をカバーするため、一般的に映像の解像度はあまり高くない。取り付け位置がフロントガラス寄りだった場合、後方は小さくしか映らない。ミニバンのようにルーフが長いクルマならなおさらだ。
そんな中で登場したのがサンコー「5インチ 360度ドライブレコーダー&リアカメラ」である。このドラレコは5型ディスプレイを備えた本体に360度カメラを搭載した上に、後方撮影用としてカメラを別に付属している。これによって、360度型ドラレコの弱点を解消することとなったのだ。
5型ディスプレイはプレビューしても見やすく、タッチパネル機能を使えば撮影した映像を指でグルグルと回すことも出来る。ただし、リアカメラの映像は再生モードを切り替える必要がある。価格もこのタイプとしては異例に安い実売2万円弱と、とても魅力的だ。
この製品で気になるのは取り付けが吸盤であること。取り付けが簡単というのはメリットだが、5型ディスプレイを備えた本体が耐衝撃という観点でどこまで耐えられるか、そして高温になる夏場では吸盤内の空気が膨張して剥がれやすくなる可能性もある。その辺りは少々不安を感じるところだ。
ただ一方で、今回のように傷害事件にまで発展するのはまれ、と判断すれば前後2つのカメラを備えた2カメラ型でも十分とは思う。実際に、煽っている様子はリアカメラで捉え、万が一停められたりすれば前方のカメラがその様子を記録する。それだけで煽られていることは十分証明できる。
それと、ドラレコで記録していることをステッカーなどで後続車に訴えるのも一つの方法だ。これが後続車に無言の圧力となって抑止効果につながる可能性はあるだろう。仮に、それでも煽られるような状況なら、おそらく何を対策をしても無駄のような気がする。
仮に煽られるような状態になったら、ドアを全ロックしてまずは警察へ連絡すること。相手が怒鳴っていようが、話をして済むような相手ではないことがほとんど。決して窓を開けてはいけない。クルマを揺すったり、蹴り上げることがあるかもしれないが、それでも銃社会ではない日本では車内でじっとしていた方が安全。クルマにダメージが与えられた場合でも警察へ被害届を出し、その時にドラレコの映像を提出すればいい。
ただ、ドラレコの重要性が高まっている一方で、個人的には煽られないような運転を心掛けることも重要だと思っている。それは「自分本位の運転をしないこと」に尽きる。自動車は互いにコミュニケーションを図りながら走っているわけで、それが自分の意に反した行動を示されると、そこで生じた齟齬が苛立ちを生み煽る気持ちへとつながるのだ。
これは運転に自信がある人ほどそうなりやすい。だから周囲のクルマの動きには十分気を配り、少しでも先に行こうとしているクルマがいれば近づかず、道を譲るのが賢明。決して “ドラレコがあれば安心” とはならないことを忘れないようにしたい。
(会田 肇)
常磐道で起きた事例では、乗車しているドライバーに対して危害を直接加える傷害事件にまで発展。この事件を受け、 “車内を撮影するドラレコ” への関心が一気に高まるようになった。これまで車内撮影用カメラを設置するのは不特定多数の乗客を乗せるタクシーなどの業務用途が基本と考えられてきたが、今やそれは通用しなくなってしまったというわけだ。
こうなると、いまドラレコで主流となっている、クルマの前後を撮影可能な「2カメラ型」を導入して間違いないのか、ということが気になる方もいるだろう。では、どこまで撮影すれば十分なのかということだが、それはまさに考え方次第。死角なくすべてを撮影しておきたいというなら「360度型カメラ」以外に選択肢はない。
このタイプなら前方だけでなく窓越しに映る左右までもサポートし、同時に車内の様子も捉えることが出来るからだ。ただ、このタイプは1枚のセンサーで360度をカバーするため、一般的に映像の解像度はあまり高くない。取り付け位置がフロントガラス寄りだった場合、後方は小さくしか映らない。ミニバンのようにルーフが長いクルマならなおさらだ。
そんな中で登場したのがサンコー「5インチ 360度ドライブレコーダー&リアカメラ」である。このドラレコは5型ディスプレイを備えた本体に360度カメラを搭載した上に、後方撮影用としてカメラを別に付属している。これによって、360度型ドラレコの弱点を解消することとなったのだ。
5型ディスプレイはプレビューしても見やすく、タッチパネル機能を使えば撮影した映像を指でグルグルと回すことも出来る。ただし、リアカメラの映像は再生モードを切り替える必要がある。価格もこのタイプとしては異例に安い実売2万円弱と、とても魅力的だ。
この製品で気になるのは取り付けが吸盤であること。取り付けが簡単というのはメリットだが、5型ディスプレイを備えた本体が耐衝撃という観点でどこまで耐えられるか、そして高温になる夏場では吸盤内の空気が膨張して剥がれやすくなる可能性もある。その辺りは少々不安を感じるところだ。
ただ一方で、今回のように傷害事件にまで発展するのはまれ、と判断すれば前後2つのカメラを備えた2カメラ型でも十分とは思う。実際に、煽っている様子はリアカメラで捉え、万が一停められたりすれば前方のカメラがその様子を記録する。それだけで煽られていることは十分証明できる。
それと、ドラレコで記録していることをステッカーなどで後続車に訴えるのも一つの方法だ。これが後続車に無言の圧力となって抑止効果につながる可能性はあるだろう。仮に、それでも煽られるような状況なら、おそらく何を対策をしても無駄のような気がする。
仮に煽られるような状態になったら、ドアを全ロックしてまずは警察へ連絡すること。相手が怒鳴っていようが、話をして済むような相手ではないことがほとんど。決して窓を開けてはいけない。クルマを揺すったり、蹴り上げることがあるかもしれないが、それでも銃社会ではない日本では車内でじっとしていた方が安全。クルマにダメージが与えられた場合でも警察へ被害届を出し、その時にドラレコの映像を提出すればいい。
ただ、ドラレコの重要性が高まっている一方で、個人的には煽られないような運転を心掛けることも重要だと思っている。それは「自分本位の運転をしないこと」に尽きる。自動車は互いにコミュニケーションを図りながら走っているわけで、それが自分の意に反した行動を示されると、そこで生じた齟齬が苛立ちを生み煽る気持ちへとつながるのだ。
これは運転に自信がある人ほどそうなりやすい。だから周囲のクルマの動きには十分気を配り、少しでも先に行こうとしているクルマがいれば近づかず、道を譲るのが賢明。決して “ドラレコがあれば安心” とはならないことを忘れないようにしたい。
(会田 肇)