【PR】アコースティックラボ主催「第66回Acoustic Audio Forum」取材レポート
吸音の違いで音楽はこんなに変わる! プロが教える「オーディオに適した部屋づくり」とは?
例えば大編成オーケストラでも各楽器の音をしっかりと表現できるかなどといった具合に、オーディオ趣味の世界には機器の実力を確認するための定番曲が存在する。ボーカル曲の表現力もオーディオ機器の評価軸のひとつだ。
ただし、ここで留意したいのが、そうした楽曲の魅力をオーディオ機器が引き出せるかどうかは、その音が鳴り響く“部屋”にも大きく影響を受けるということ。そんな「オーディオ趣味における部屋の重要性」について、部屋づくりのプロが解説するイベント「第66回Acoustic Audio Forum」が開催された。
■7パターンの響きの違いを聴き比べ
イベントの主催は、オーディオファン向けの防音工事を多数手掛けるアコースティックラボ。プロのミュージシャンや録音エンジニアが使う音楽スタジオの設計も手掛ける、“音楽再生に適した部屋”を構築するプロ集団であり、そんな同社のノウハウを実際に体験できるイベントが「Acoustic Audio Forum」だ。
会場は、同社が社名にちなんで「AL(Acoustic Lab)式オーディオルーム」として提唱している“音がいい部屋”の代表例である防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」。「縦/横/天井高という部屋の各辺の寸法比(低音の定在波対策)」、「壁/床/天井の剛性(不要高調波輻射音対策)」に留意すること、そして、そのうえで響きの長さを調整するなどといったポイントに沿ってつくられた部屋だ。同社代表の鈴木氏は「計測データで見ると、この部屋では500Hz帯で低音の残響時間が長めだが、だからといって低音がぼわつく感じはしないのが特徴だ」と言葉を添える。
「Acoustic Audio Forum」は定期的に開催されており、今回レポートする“第66回”では吸音材の出し入れによって部屋の吸音具合を変えながらボーカル曲を中心に再生。部屋の響き方が変わることでボーカル再生の感じ方がどう変化するかを体感できるという試みとなった。
当日は7種類の吸音パターンで音出しデモを実施。まったく吸音しない状態から、前後左右の壁に加えて天井まで吸音材を配置する状態まで、さまざまなパターンでの音の違いを試した。天井の吸音状態を変えるなど、個人宅ではなかなか実行が難しい実験を体験できるのもこのイベントの魅力と言えるだろう。
「部屋の設計において響きについては『平均吸音率』を基にするが、今回、まったく吸音しない状態でのこの部屋の平均吸音率は0.18で、吸音を最大にした場合は0.32(※いずれも10人在籍時の500Hzでの値)と大きく異なる。では数字だけでなく聴感上はどうなのか確かめてみようというのが今回の趣旨だ」と鈴木氏は語った。
実際に体験してみると、その変化は想像以上に大きい印象を受ける。スピーカー背面だけを吸音するのか、対抗面も吸音するのか、さらに側面にも吸音材を置いて側方一次反射音を吸音するのかなど、前述したように様々なパターンが試されたが、それぞれで再生音の表情が変わって面白い。
なお、イベントでは同社が注目しているオーディオ機器を聴くという試みが行われることもあり、この日はデノンの新フラグシップ機「SX1 LIMITED」が登場。4年の歳月をかけて進化したプリメインアンプ「PMA-SX1 LIMITED」とSACDプレーヤー「DCD-SX1 LIMITED」を体験できる場ともなった。
■家具も意外と大きな吸音要因に
イベントでは、同社ショールームでの実験だけでなく、実際の物件での計測データも紹介。同社が設計した防音室の実例を基に、吸音についての解説も行われた。
ここでのひとつのポイントが、部屋に家具などを設置する前後それぞれの計測データが示されたこと。千葉県で施工したという31畳の広さを持つ防音シアタールームでは、家具なしでの空の状態での500Hzの平均吸音率が0.25をやや下回るくらいであったのに対し、家具を入れて人も5人入った状態では0.35をやや下回るくらいにまで変化。「荷物が入った段ボール箱がたくさん置かれた状態であったことも影響している。ダンボール箱は中低域を結構吸音する」などと説明された。
このように特別な吸音材などを用いない場合でも部屋の響きをある程度コントロールできることに触れながら、「家庭でならカーテンが一番やりやすいだろう」と同社はコメント。「ただし最近は価格を抑えるためにカーテンの厚さが薄くなっている。吸音のためにはなるべく重いカーテンを選ぶほうがよい。また、壁にぴったりつけるより、少し離して空気の壁も設けるようにしたほうがよい。空気層が熱くなるほど低域まで吸音できる」などとアドバイスした。
そして、「昔の日本家屋は土壁など吸音する素材が多い響きの少ない空間だったのに対し、西洋の家屋はレンガや石といった音が反射する素材でつくられた空間だ」と、住環境にまつわる歴史的背景にも言及。「(クラシックを始めとする)西洋の音楽がそういう環境で生まれたものであることを踏まえると、オーディオルームにも多少は響きが必要だと言えるかもしれない」などとも語られた。
■次回は11月29日(金)・30日(土)開催
このように、オーディオにおける部屋の重要性について体感できる本イベント。次回は11月29日(金)・30日(土)での開催が決定しており、公式サイトのメールフォームで参加申込を受け付けている。
次回のテーマは「オーディオルームの静かさについて」と「ハイレゾストリーミングの再生音質」。オーディオの再生音を部屋の外に漏らさないための防音だけではなく、エアコンや換気扇といったオーディオルームの内部騒音(暗騒音)の問題について考える。
当日は会場となる同社オーディオショールームの騒音レベル、エアコンの騒音レベル、換気扇の騒音レベルについて、それぞれの音響実測データも紹介予定。これらのデータと実体験デモを通して部屋づくりについて考えていく。
そして「ハイレゾストリーミングの再生音質」では、Amazon Music HDとmora qualitasの再生も行う。
会場は今回レポートした回と同じく「蔵前ヴィレッジ」で、金曜日、土曜日の両日とも基本的な内容は同一。前述のとおり公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com
ただし、ここで留意したいのが、そうした楽曲の魅力をオーディオ機器が引き出せるかどうかは、その音が鳴り響く“部屋”にも大きく影響を受けるということ。そんな「オーディオ趣味における部屋の重要性」について、部屋づくりのプロが解説するイベント「第66回Acoustic Audio Forum」が開催された。
イベントの主催は、オーディオファン向けの防音工事を多数手掛けるアコースティックラボ。プロのミュージシャンや録音エンジニアが使う音楽スタジオの設計も手掛ける、“音楽再生に適した部屋”を構築するプロ集団であり、そんな同社のノウハウを実際に体験できるイベントが「Acoustic Audio Forum」だ。
会場は、同社が社名にちなんで「AL(Acoustic Lab)式オーディオルーム」として提唱している“音がいい部屋”の代表例である防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」。「縦/横/天井高という部屋の各辺の寸法比(低音の定在波対策)」、「壁/床/天井の剛性(不要高調波輻射音対策)」に留意すること、そして、そのうえで響きの長さを調整するなどといったポイントに沿ってつくられた部屋だ。同社代表の鈴木氏は「計測データで見ると、この部屋では500Hz帯で低音の残響時間が長めだが、だからといって低音がぼわつく感じはしないのが特徴だ」と言葉を添える。
「Acoustic Audio Forum」は定期的に開催されており、今回レポートする“第66回”では吸音材の出し入れによって部屋の吸音具合を変えながらボーカル曲を中心に再生。部屋の響き方が変わることでボーカル再生の感じ方がどう変化するかを体感できるという試みとなった。
当日は7種類の吸音パターンで音出しデモを実施。まったく吸音しない状態から、前後左右の壁に加えて天井まで吸音材を配置する状態まで、さまざまなパターンでの音の違いを試した。天井の吸音状態を変えるなど、個人宅ではなかなか実行が難しい実験を体験できるのもこのイベントの魅力と言えるだろう。
「部屋の設計において響きについては『平均吸音率』を基にするが、今回、まったく吸音しない状態でのこの部屋の平均吸音率は0.18で、吸音を最大にした場合は0.32(※いずれも10人在籍時の500Hzでの値)と大きく異なる。では数字だけでなく聴感上はどうなのか確かめてみようというのが今回の趣旨だ」と鈴木氏は語った。
実際に体験してみると、その変化は想像以上に大きい印象を受ける。スピーカー背面だけを吸音するのか、対抗面も吸音するのか、さらに側面にも吸音材を置いて側方一次反射音を吸音するのかなど、前述したように様々なパターンが試されたが、それぞれで再生音の表情が変わって面白い。
なお、イベントでは同社が注目しているオーディオ機器を聴くという試みが行われることもあり、この日はデノンの新フラグシップ機「SX1 LIMITED」が登場。4年の歳月をかけて進化したプリメインアンプ「PMA-SX1 LIMITED」とSACDプレーヤー「DCD-SX1 LIMITED」を体験できる場ともなった。
■家具も意外と大きな吸音要因に
イベントでは、同社ショールームでの実験だけでなく、実際の物件での計測データも紹介。同社が設計した防音室の実例を基に、吸音についての解説も行われた。
ここでのひとつのポイントが、部屋に家具などを設置する前後それぞれの計測データが示されたこと。千葉県で施工したという31畳の広さを持つ防音シアタールームでは、家具なしでの空の状態での500Hzの平均吸音率が0.25をやや下回るくらいであったのに対し、家具を入れて人も5人入った状態では0.35をやや下回るくらいにまで変化。「荷物が入った段ボール箱がたくさん置かれた状態であったことも影響している。ダンボール箱は中低域を結構吸音する」などと説明された。
このように特別な吸音材などを用いない場合でも部屋の響きをある程度コントロールできることに触れながら、「家庭でならカーテンが一番やりやすいだろう」と同社はコメント。「ただし最近は価格を抑えるためにカーテンの厚さが薄くなっている。吸音のためにはなるべく重いカーテンを選ぶほうがよい。また、壁にぴったりつけるより、少し離して空気の壁も設けるようにしたほうがよい。空気層が熱くなるほど低域まで吸音できる」などとアドバイスした。
そして、「昔の日本家屋は土壁など吸音する素材が多い響きの少ない空間だったのに対し、西洋の家屋はレンガや石といった音が反射する素材でつくられた空間だ」と、住環境にまつわる歴史的背景にも言及。「(クラシックを始めとする)西洋の音楽がそういう環境で生まれたものであることを踏まえると、オーディオルームにも多少は響きが必要だと言えるかもしれない」などとも語られた。
■次回は11月29日(金)・30日(土)開催
このように、オーディオにおける部屋の重要性について体感できる本イベント。次回は11月29日(金)・30日(土)での開催が決定しており、公式サイトのメールフォームで参加申込を受け付けている。
次回のテーマは「オーディオルームの静かさについて」と「ハイレゾストリーミングの再生音質」。オーディオの再生音を部屋の外に漏らさないための防音だけではなく、エアコンや換気扇といったオーディオルームの内部騒音(暗騒音)の問題について考える。
当日は会場となる同社オーディオショールームの騒音レベル、エアコンの騒音レベル、換気扇の騒音レベルについて、それぞれの音響実測データも紹介予定。これらのデータと実体験デモを通して部屋づくりについて考えていく。
そして「ハイレゾストリーミングの再生音質」では、Amazon Music HDとmora qualitasの再生も行う。
会場は今回レポートした回と同じく「蔵前ヴィレッジ」で、金曜日、土曜日の両日とも基本的な内容は同一。前述のとおり公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com