【特別企画】1947年製のヴィンテージ300Bで試聴
「300B」の真空管でロックの魂にどこまで迫れる!? エアータイトのアンプでロック名盤を聴きまくり!
日本が誇るハイエンド・オーディオブランドにして、真空管にこだわるブランドAIR TIGHT(エアータイト)。その二代目社長たる三浦 裕さんから下ったお題は、「エアータイトのアンプでロックを鳴らせ!」。ということで、オーディオライターの田中伊佐資さんとともに、大久保の中古レコードショップ、サブマリンレコーズアンドカフェストアにエアータイトのアンプを持ち込んで、聴きまくり大会をやることに。ロック全盛時代に青春を過ごしたオヤジたち(&90年代をロキノンとBurrn!で過ごした担当編集)、ほとばしるロックのビートに興奮が止まらないっ!
■ロックオヤジもオーディオやろうぜ!
田中 今回は中古レコードショップ、「サブマリンレコーズアンドカフェストア」にお邪魔して、エアータイトのアンプでロックを聴こうという趣旨の企画であります。
三浦 素敵な企画にご一緒させていただいてありがとうございます。大阪の高槻で真空管アンプメーカーをやっておりますエアータイトの三浦と申します。田中さんはエアータイトのアンプはご存知でしたか?
田中 いや、イベントなどでは聴いたことありましたが、こうしてちゃんと聴くのは初めてですね。今回は僕も結構贔屓にしている大久保のレコードショップにやってきたわけですが、このお店について河合さんちょっと教えてもらえますか。
河合 「サブマリンレコーズアンドカフェストア」は2019年12月にオープンしたばかりの中古レコードショップです。オープンしたと思ったらコロナが蔓延しちゃってなかなか大変なんですが。見ての通り、ロックやブルースのオリジナル盤などを中心に販売しています。また、カフェとしてコーヒーやハイボールなどのアルコール類も提供しております。
田中 僕がこの店大好きなのは、オーディオもかなりちゃんとしてるんだよね。テクニクスのアナログプレーヤーに、SHUREのMMカートリッジ「M44G」。B&Wのスピーカーが2種類聴き比べができるようになってる。
河合 B&Wの「Nautilus 802」とブックシェルフの「705」をおいてますね。
田中 河合さんはもともとIT屋をやっていたんだけど、レコードコレクターが高じて店を始めちゃったっていう面白い経歴なんだよね。担当編集曰く、「二代目はロックがお好き」ということでこの店を選んだのですが、三浦さんは普段どんな音楽を聴かれるんですか?
三浦 子供の頃は父親の仕事の都合でアメリカに住んでいまして(編集部注:エアータイトの創業者である三浦 篤さんは、1980年代までラックス<現:ラックスマン>のアメリカ支社長としてアメリカに駐在していた)。そのころヴァン・ヘイレンやポリスなどを聴いていましたね。あと高校〜大学時代はバンドでヘビメタとかロックン・ロールをやったり。それで、当時聴いていたレコードをいま改めて聴くとね、「こんなええ音やったんか!」っていう衝撃がありまして。昔のAC/DCなんてめちゃくちゃいい音してるんですよ。そんなわけで、いまはそんな懐メロのロックのレコードを買い漁ってます。
田中 そうそう、僕もね、ロックオヤジにもっとオーディオやってほしいって思ってるんですよ。若い人ももちろん興味持って欲しいけど、やっぱり高いし、それなりにスペースも必要。だけど、当時ロックを聴いていた50-60代のオヤジ世代はね、子供たちも独立して、少し金銭的にも余裕がある。そういう人にもオーディオを楽しんでもらうのって、すっごく大事なことだと思ってるんです。
三浦 ハイエンドオーディオでロックを鳴らすのはご法度、というような見方もありますよね。エアータイトのアンプはジャズやクラシックもしっかり鳴らすことができますが、実はロックもなかなかイケるんです。実際、この間のインターナショナルオーディオショウでヴァン・ヘイレンをかけたら、お客さんが部屋いっぱいになるまで入ってきて(笑)。
■9Wの300Bアンプで、ロックはどれだけ鳴らせるの?
田中 ちなみに今回持ってきたアンプはどういう製品ですか?
三浦 パワーアンプは300Bの真空管を使った「ATM-300R」というものです。エアータイトの初代の300Bアンプは「ATM-300」というもので、1998年に発売しました。これが大変なロングランになりまして、アメリカのthe absolute soundのeditor's choiceにも選ばれました。2016年に30周年記念で100台限定のアニバーサリーモデルを作ったら、これもあっという間に完売してしまって。それで2018年に、この最新の「ATM-300R」を作りました。
田中 最新の「ATM-300R」になって、三浦さん的には音にどういう違いがあると感じていますか?
三浦 より自然になったかな、と思っています。回路を一新して、特にコンデンサーなどのパーツにこだわって、ナチュラルかつ品格が出たように思います。
田中 300Bのシングルで、出力は9Wなんですよね。今回こういうロックをガンガン鳴らすお店に持ち込むことで、正直どこまでやれるのかという「イジワル」な気持ちもあるんです(笑)。
三浦 KT88なんかはロックに合うと言われていますが、私の中ではマスタングでぶっ飛ばすみたいなイメージ。でも、300Bは骨格がありながらどこか優雅で上品な感じでもあるかなと。強引さだけじゃない、加速の余韻とか減衰の音の残り香も味わえるんじゃないかなと思います。
田中 ワット数だけじゃないってことですね。
三浦 はい、音が非常に抜けるというか飛ぶので、パワー不足は感じられないと思っています。というかですね、あんまり大音量で聴くのは耳にも負担がかかりますし、多くの方はそんなに爆音で聴いていないと思うんです。たまに爆音で聴きたい日はあるにせよ、普通の家庭なら、適正なボリュームで聴いたほうが、快適だし長く楽しめるんじゃないかと思っています。
田中 はぁ〜なるほど、たしかにね。
河合 僕は自宅のアンプはKT90だし、マスタングでぶっ飛ばす感じも大好きなんだけど、おっしゃっていること、すごくよく分かります。たとえば昔のブルースなんかもよく聴くのですが、昔のレコードなんて、そもそもそんなでかい音で聴くものじゃなかった。結局ね、その音楽がその音楽らしく聴こえるのが大切だと思うんです。
田中 必要十分な中でどれだけ濃密な音が出るのかが勝負って感じですよね。
三浦 ちなみに今日は、珍しいウェスタンの300Bを持ってきまして。1947年製のヴィンテージです。
田中 うわぁ! これは貴重。US ARMYって書いてありますね。
河合 これはすごい。1947年の300Bって聴くだけで興奮しちゃうね!
■ロックオヤジもオーディオやろうぜ!
田中 今回は中古レコードショップ、「サブマリンレコーズアンドカフェストア」にお邪魔して、エアータイトのアンプでロックを聴こうという趣旨の企画であります。
三浦 素敵な企画にご一緒させていただいてありがとうございます。大阪の高槻で真空管アンプメーカーをやっておりますエアータイトの三浦と申します。田中さんはエアータイトのアンプはご存知でしたか?
田中 いや、イベントなどでは聴いたことありましたが、こうしてちゃんと聴くのは初めてですね。今回は僕も結構贔屓にしている大久保のレコードショップにやってきたわけですが、このお店について河合さんちょっと教えてもらえますか。
河合 「サブマリンレコーズアンドカフェストア」は2019年12月にオープンしたばかりの中古レコードショップです。オープンしたと思ったらコロナが蔓延しちゃってなかなか大変なんですが。見ての通り、ロックやブルースのオリジナル盤などを中心に販売しています。また、カフェとしてコーヒーやハイボールなどのアルコール類も提供しております。
田中 僕がこの店大好きなのは、オーディオもかなりちゃんとしてるんだよね。テクニクスのアナログプレーヤーに、SHUREのMMカートリッジ「M44G」。B&Wのスピーカーが2種類聴き比べができるようになってる。
河合 B&Wの「Nautilus 802」とブックシェルフの「705」をおいてますね。
田中 河合さんはもともとIT屋をやっていたんだけど、レコードコレクターが高じて店を始めちゃったっていう面白い経歴なんだよね。担当編集曰く、「二代目はロックがお好き」ということでこの店を選んだのですが、三浦さんは普段どんな音楽を聴かれるんですか?
三浦 子供の頃は父親の仕事の都合でアメリカに住んでいまして(編集部注:エアータイトの創業者である三浦 篤さんは、1980年代までラックス<現:ラックスマン>のアメリカ支社長としてアメリカに駐在していた)。そのころヴァン・ヘイレンやポリスなどを聴いていましたね。あと高校〜大学時代はバンドでヘビメタとかロックン・ロールをやったり。それで、当時聴いていたレコードをいま改めて聴くとね、「こんなええ音やったんか!」っていう衝撃がありまして。昔のAC/DCなんてめちゃくちゃいい音してるんですよ。そんなわけで、いまはそんな懐メロのロックのレコードを買い漁ってます。
田中 そうそう、僕もね、ロックオヤジにもっとオーディオやってほしいって思ってるんですよ。若い人ももちろん興味持って欲しいけど、やっぱり高いし、それなりにスペースも必要。だけど、当時ロックを聴いていた50-60代のオヤジ世代はね、子供たちも独立して、少し金銭的にも余裕がある。そういう人にもオーディオを楽しんでもらうのって、すっごく大事なことだと思ってるんです。
三浦 ハイエンドオーディオでロックを鳴らすのはご法度、というような見方もありますよね。エアータイトのアンプはジャズやクラシックもしっかり鳴らすことができますが、実はロックもなかなかイケるんです。実際、この間のインターナショナルオーディオショウでヴァン・ヘイレンをかけたら、お客さんが部屋いっぱいになるまで入ってきて(笑)。
■9Wの300Bアンプで、ロックはどれだけ鳴らせるの?
田中 ちなみに今回持ってきたアンプはどういう製品ですか?
三浦 パワーアンプは300Bの真空管を使った「ATM-300R」というものです。エアータイトの初代の300Bアンプは「ATM-300」というもので、1998年に発売しました。これが大変なロングランになりまして、アメリカのthe absolute soundのeditor's choiceにも選ばれました。2016年に30周年記念で100台限定のアニバーサリーモデルを作ったら、これもあっという間に完売してしまって。それで2018年に、この最新の「ATM-300R」を作りました。
田中 最新の「ATM-300R」になって、三浦さん的には音にどういう違いがあると感じていますか?
三浦 より自然になったかな、と思っています。回路を一新して、特にコンデンサーなどのパーツにこだわって、ナチュラルかつ品格が出たように思います。
田中 300Bのシングルで、出力は9Wなんですよね。今回こういうロックをガンガン鳴らすお店に持ち込むことで、正直どこまでやれるのかという「イジワル」な気持ちもあるんです(笑)。
三浦 KT88なんかはロックに合うと言われていますが、私の中ではマスタングでぶっ飛ばすみたいなイメージ。でも、300Bは骨格がありながらどこか優雅で上品な感じでもあるかなと。強引さだけじゃない、加速の余韻とか減衰の音の残り香も味わえるんじゃないかなと思います。
田中 ワット数だけじゃないってことですね。
三浦 はい、音が非常に抜けるというか飛ぶので、パワー不足は感じられないと思っています。というかですね、あんまり大音量で聴くのは耳にも負担がかかりますし、多くの方はそんなに爆音で聴いていないと思うんです。たまに爆音で聴きたい日はあるにせよ、普通の家庭なら、適正なボリュームで聴いたほうが、快適だし長く楽しめるんじゃないかと思っています。
田中 はぁ〜なるほど、たしかにね。
河合 僕は自宅のアンプはKT90だし、マスタングでぶっ飛ばす感じも大好きなんだけど、おっしゃっていること、すごくよく分かります。たとえば昔のブルースなんかもよく聴くのですが、昔のレコードなんて、そもそもそんなでかい音で聴くものじゃなかった。結局ね、その音楽がその音楽らしく聴こえるのが大切だと思うんです。
田中 必要十分な中でどれだけ濃密な音が出るのかが勝負って感じですよね。
三浦 ちなみに今日は、珍しいウェスタンの300Bを持ってきまして。1947年製のヴィンテージです。
田中 うわぁ! これは貴重。US ARMYって書いてありますね。
河合 これはすごい。1947年の300Bって聴くだけで興奮しちゃうね!
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