USB-Cになって変わること・変わらないこと
AirPods Proの新機能「適応型オーディオ」を試した。不便な面もあるが着けっぱなしにしやすくなる
アップルが発表したUSB-Cコネクタ仕様の第2世代「AirPods Pro」を、9月22日の発売に先駆けて試すことができた。昨年9月に発売されたLightningコネクタ仕様の第2世代AirPods Proと比較しながら、適応型オーディオなど新しい機能を速報する。
今回AirPodsシリーズのラインナップに加わる新製品は、アップルが2022年9月に発売したアクティブノイズキャンセリング機能搭載の第2世代AirPods Proをベースにした、「USB-Cコネクタ仕様」のモデルだ。AppleシリコンのH2チップ、IP54相当の防水防塵対応、さらにケースにはストラップループやビープ音を鳴らすためのスピーカーを内蔵する点は一緒。
コネクタがLightningからUSB-Cに変わること以外、イヤホンと充電ケースのデザイン、外形寸法と質量、その他の仕様にも変更はない。
第2世代機から特に低音再生がパワフルになり、全体にメリハリを効かせながらバランスを重視したニュートラルなAirPods Proのサウンドは、その持ち味もUSB-C仕様のモデルに継承された。
音まわりで変わるところは先に報告したApple Parkでの取材レポートでも触れた、「Apple Vision Pro」との接続時におけるロスレスオーディオ再生だ。H2チップによるイノベーション全開の新機能だが、その実力を試すにはApple Vision Proの到着を待たなければならない。こちらはまた機会を改めてレポートしよう。
LightningコネクタモデルのAirPods Proを、USB-Cコネクタ仕様の充電ケースでチャージできるのか試してみた。元から対になっていないAirPods Proのイヤホンを充電ケースに入れてしまった時に鳴るビープ音が聞こえてくる。イヤホンの充電は行われない。念のためアップルに確認を取ったところ、このような使い方には対応していないという。
なお、先の取材レポートで「購入時に間違えないよう、Lightning充電ケースの第2世代AirPods Proとの区別を容易にするべき」と書いたが、Lightning仕様の第2世代AirPods ProはUSB-Cタイプの発売をもって生産を完了するようだ。Lightning仕様のモデルは、現在家電量販店などに出荷されている在庫を売切り次第終売となる。来年Apple Vision Proが発売される頃には、間違えてロスレスオーディオ再生に対応しない「Lightiningの方のAirPods Pro」を購入してしまう心配はなさそうだ。
iOS 17の配信とともに提供される第2世代AirPods Proのファームウェア更新を行うと、「適応型オーディオ」「会話感知」「パーソナライズされた音量」の3つが新機能として加わる。最新のOSを搭載するApple製デバイスと組み合わせた時に使用可能。それぞれUSB-C/LightningコネクタのAirPods Proを対象とした機能であり、同じくANCと外部音取り込み機能を備える「AirPods Max」には残念ながら非対応だ。
適応型オーディオは「設定」アプリから入るAirPods Proの詳細を開いてノイズコントロールから選択するか、またはコントロールセンターからAirPods Proの音量メニューを長押しすると素速くノイズコントロールのステータスが選べる。「ノイズキャンセリング」と「外部音取り込み」と並べて、ノイズコントロールのモードとして呼び分けるために画面の表示は「適応型モード」としているようだ。
適応型モードを加えたノイズコントロールは、両イヤホンのステムに内蔵する感圧センサーを押し込む操作によりモード間を素速く切り換えられる。元から備えるANCと外部音取り込み、オフのほかに適応型を加えて、任意のモードを2つ以上選ぶ。モードを切り換えた時に聞こえてくるチャイムも適応型モードのチャイムを新しく設けた。
適応型モードはAirPods Proを装着してANCを効かせたまま、周囲からの呼びかけやサイレン、子どもの泣き声などに注意を向けておきたい音をイヤホンが検知して、ANCと外部音取り込みのバランスを最適化する。
今回筆者はAirPods Proを装着して、家族が目の前でビデオ通話をしている最中に適応型オーディオの効果を試した。人の声はまるで外部音取り込みモードを選択したみたいにクリアに聞こえてくるが、除湿機やキッチンの換気扇など邪魔なノイズはANCモードのレベルほどではないものの、煩わしく感じないほどに消してくれる。
適応型オーディオの場合、「自分に向かって話しかけている人の声」もANCを飛び越えて聞こえてくるところがポイントだ。家族や職場の同僚などに「不意に話しかけられる」ことも想定して使いやすい。
一方の「会話感知」の場合、AirPods Proを装着しているユーザーが「話し始める」ことが機能を発動させるトリガーになる。適応型オーディオと同様、設定アプリ、またはコントロールセンターからオン・オフが選べる。
ANCをオンにして、音楽を再生している状態で試した。自身が話し始めると、1〜2秒でリスニング中のサウンドの音量が急峻に下がり、自分の声と会話を交わしている相手の声がクリアに聞こえるようになる。会話が終わるとまた数秒ぐらいでサウンドの音量が復帰する。
使ってみると便利だが、しばらく会話の応答が続きそうな場合だと、都度音楽の音量がアップダウンするので面倒だ。この場合はむしろサウンドを止めるか、マニュアルで音量を下げて外部音取り込みモードに切り換えるべきだろう。
「パーソナライズされた音量」は周囲の環境ノイズのレベルに合わせて、イヤホンで聞くメディアの音量をAirPodsが自動調整してくれる機能だ。イヤホンの音量を常時最適化して、ユーザーの聴力を守るための機能としては便利で有益だ。でも一方では、特に音楽リスニングの際には周囲の環境音の条件によって音量が不意にアップダウンするので不自然に感じる場合もある。AirPods Proの設定に入るとこの機能のオン・オフが選べる。デフォルトの状態は「オフ」だ。
いずれの新機能も第2世代のAirPods Proからさらに強化されたアクティブノイズキャンセリングを、ユーザーによる音声コミュニケーション全般に使いやすくしてくれる。会話感知は適応型モードと併用もできる。ふたつの機能をともにオンにしておけば、オフィスや自宅など周囲に誰かがいる環境でも、いつもAirPods Proを「着けっぱなし」にして過ごせる時間が長くなる。
繰り返しになるが、アップデートにより追加される新機能はすべてのAirPods Proと、最新のOSにアップデートしたAppleデバイスの組み合わせで使える。手もとに対応するデバイスがある方は早速OSをアップデートして試してほしい。
■USB-CとLightningのモデルは何が変わる?
今回AirPodsシリーズのラインナップに加わる新製品は、アップルが2022年9月に発売したアクティブノイズキャンセリング機能搭載の第2世代AirPods Proをベースにした、「USB-Cコネクタ仕様」のモデルだ。AppleシリコンのH2チップ、IP54相当の防水防塵対応、さらにケースにはストラップループやビープ音を鳴らすためのスピーカーを内蔵する点は一緒。
コネクタがLightningからUSB-Cに変わること以外、イヤホンと充電ケースのデザイン、外形寸法と質量、その他の仕様にも変更はない。
第2世代機から特に低音再生がパワフルになり、全体にメリハリを効かせながらバランスを重視したニュートラルなAirPods Proのサウンドは、その持ち味もUSB-C仕様のモデルに継承された。
音まわりで変わるところは先に報告したApple Parkでの取材レポートでも触れた、「Apple Vision Pro」との接続時におけるロスレスオーディオ再生だ。H2チップによるイノベーション全開の新機能だが、その実力を試すにはApple Vision Proの到着を待たなければならない。こちらはまた機会を改めてレポートしよう。
LightningコネクタモデルのAirPods Proを、USB-Cコネクタ仕様の充電ケースでチャージできるのか試してみた。元から対になっていないAirPods Proのイヤホンを充電ケースに入れてしまった時に鳴るビープ音が聞こえてくる。イヤホンの充電は行われない。念のためアップルに確認を取ったところ、このような使い方には対応していないという。
なお、先の取材レポートで「購入時に間違えないよう、Lightning充電ケースの第2世代AirPods Proとの区別を容易にするべき」と書いたが、Lightning仕様の第2世代AirPods ProはUSB-Cタイプの発売をもって生産を完了するようだ。Lightning仕様のモデルは、現在家電量販店などに出荷されている在庫を売切り次第終売となる。来年Apple Vision Proが発売される頃には、間違えてロスレスオーディオ再生に対応しない「Lightiningの方のAirPods Pro」を購入してしまう心配はなさそうだ。
■AirPods Proを強化する「適応型オーディオ」
iOS 17の配信とともに提供される第2世代AirPods Proのファームウェア更新を行うと、「適応型オーディオ」「会話感知」「パーソナライズされた音量」の3つが新機能として加わる。最新のOSを搭載するApple製デバイスと組み合わせた時に使用可能。それぞれUSB-C/LightningコネクタのAirPods Proを対象とした機能であり、同じくANCと外部音取り込み機能を備える「AirPods Max」には残念ながら非対応だ。
適応型オーディオは「設定」アプリから入るAirPods Proの詳細を開いてノイズコントロールから選択するか、またはコントロールセンターからAirPods Proの音量メニューを長押しすると素速くノイズコントロールのステータスが選べる。「ノイズキャンセリング」と「外部音取り込み」と並べて、ノイズコントロールのモードとして呼び分けるために画面の表示は「適応型モード」としているようだ。
適応型モードを加えたノイズコントロールは、両イヤホンのステムに内蔵する感圧センサーを押し込む操作によりモード間を素速く切り換えられる。元から備えるANCと外部音取り込み、オフのほかに適応型を加えて、任意のモードを2つ以上選ぶ。モードを切り換えた時に聞こえてくるチャイムも適応型モードのチャイムを新しく設けた。
適応型モードはAirPods Proを装着してANCを効かせたまま、周囲からの呼びかけやサイレン、子どもの泣き声などに注意を向けておきたい音をイヤホンが検知して、ANCと外部音取り込みのバランスを最適化する。
今回筆者はAirPods Proを装着して、家族が目の前でビデオ通話をしている最中に適応型オーディオの効果を試した。人の声はまるで外部音取り込みモードを選択したみたいにクリアに聞こえてくるが、除湿機やキッチンの換気扇など邪魔なノイズはANCモードのレベルほどではないものの、煩わしく感じないほどに消してくれる。
適応型オーディオの場合、「自分に向かって話しかけている人の声」もANCを飛び越えて聞こえてくるところがポイントだ。家族や職場の同僚などに「不意に話しかけられる」ことも想定して使いやすい。
■AirPods Proを着けっぱなしにして過ごせる時間が増える
一方の「会話感知」の場合、AirPods Proを装着しているユーザーが「話し始める」ことが機能を発動させるトリガーになる。適応型オーディオと同様、設定アプリ、またはコントロールセンターからオン・オフが選べる。
ANCをオンにして、音楽を再生している状態で試した。自身が話し始めると、1〜2秒でリスニング中のサウンドの音量が急峻に下がり、自分の声と会話を交わしている相手の声がクリアに聞こえるようになる。会話が終わるとまた数秒ぐらいでサウンドの音量が復帰する。
使ってみると便利だが、しばらく会話の応答が続きそうな場合だと、都度音楽の音量がアップダウンするので面倒だ。この場合はむしろサウンドを止めるか、マニュアルで音量を下げて外部音取り込みモードに切り換えるべきだろう。
「パーソナライズされた音量」は周囲の環境ノイズのレベルに合わせて、イヤホンで聞くメディアの音量をAirPodsが自動調整してくれる機能だ。イヤホンの音量を常時最適化して、ユーザーの聴力を守るための機能としては便利で有益だ。でも一方では、特に音楽リスニングの際には周囲の環境音の条件によって音量が不意にアップダウンするので不自然に感じる場合もある。AirPods Proの設定に入るとこの機能のオン・オフが選べる。デフォルトの状態は「オフ」だ。
いずれの新機能も第2世代のAirPods Proからさらに強化されたアクティブノイズキャンセリングを、ユーザーによる音声コミュニケーション全般に使いやすくしてくれる。会話感知は適応型モードと併用もできる。ふたつの機能をともにオンにしておけば、オフィスや自宅など周囲に誰かがいる環境でも、いつもAirPods Proを「着けっぱなし」にして過ごせる時間が長くなる。
繰り返しになるが、アップデートにより追加される新機能はすべてのAirPods Proと、最新のOSにアップデートしたAppleデバイスの組み合わせで使える。手もとに対応するデバイスがある方は早速OSをアップデートして試してほしい。