「魔法を再設計」は本当か
第2世代AirPods Proの凄さと残念なところ。第1世代機との違い、他社最新機との比較レビュー
今年7月、値上げされた直後に、第1世代AirPods Proの相対的な価値を評価したレビュー記事を書いたら、少し意外なほどよく読まれた。
かんたんにその内容をまとめると、「性能的に古びてきた部分はあるものの、唯一無二の機能も多く、まだまだ魅力的。ただし円安の影響で38,800円という価格に上がったことを考えあわせると、その評価は分かれるだろう」という主旨だった。
その原稿を書いている時から、当然ながら、秋には新製品が出るだろうという予感はあったわけだが、果たしてその予感通りに、第2世代AirPods Proが9月に登場し、第1世代機に取って代わった。アップルは「魔法を再設計しました」と息巻いている。
第2世代AirPods Proの、アップルストアでの販売価格は39,800円(税込)。アメリカでは249ドルで買えるので、一昔前なら3万円を切る値付けだったのではないか。
円安が恨めしく思えてくるが、嘆いていてもしかたない。約4万円というプライスは決して安くない、というより、絶対金額としては間違いなく高いが、第1世代機と比べて何がどう変わったのか、買い換えるだけの価値があるかなど、くわしくレビューしていこう。
テストでは、同時期に登場し、かなり高性能で価格も近いボーズの「QuietComfort Earbuds II」(QC Earbuds II)、そしていまだに性能の高さではひけを取らないソニー「WF-1000XM4」などと比べながら、第2世代AirPods Proの良いところはもちろん、もう少し頑張って欲しいところも含め、その能力を浮き彫りにしていきたい。なお、レビューした際のファームウェアのバージョンは「5A377」だ。
チェックしていく項目は以下の通りだ。
目次
・第2世代AirPods Proの外観と装着感は?
・機能・使い勝手は第2世代AirPods Proでどう進化したか
・ノイキャンの効果は? 第1世代機やライバル機と比べるとどうか
・AirPods Proの大きな特徴である外音取り込みは?
・音質はどう進化したか。ライバル機との違い
・空間オーディオやアップル製品同士の連携など、AirPodsならではの利点
・通話機能・通話性能をチェック
・進化したケースの使い勝手は?
・結論。4万円近く出す価値はあるか
さて、まずは見た目と装着感をチェックしていこう。
今回の第2世代AirPods Proの見た目は、第1世代機とほぼ同じである。イヤホン部に浅めのイヤーピースが固定され、短めのステムがある、あのおなじみのスタイルが踏襲された。集音マイクの位置や近接センサーのサイズや位置が変更されているものの、よほど詳しい方でない限り、その違いに気づくことはないだろう。
アップルは今回の第2世代機について「見た目はほぼ一緒だが、中身はまったく違うものに刷新されている」ことを売りにしている。H2チップを搭載したことによるノイキャンや外音取り込みの強化、音質の改善などが行われているにもかかわらず、見た目は変わっていないと訴えているのだ。
見た目が変わっていないのは賛否両論あるだろうが、少なくとも私にとっては残念なポイントだ。後述するが、ステムがあるのは理にかなっているし、いろいろなものを詰め込むと、どうしてもこの程度のサイズは必要になるのはわかる。その中で最善を尽くしたのだろうが、もう少し新味が欲しかったというのが正直なところだ。
そもそも、これまで第1世代AirPods Proをカッコいいと思ったことは一度も無いし、ビデオ会議の時など、耳からぴょこっと白いものが飛び出る様子が滑稽に思えていたくらいだ。
それでも使い続けていたのは、その装着のしやすさ、取り回しの良さゆえだ。第1世代機のレビューでも書いたように、いくつか最新のイヤホンが机の上に転がっていても、使う頻度が最も高いのはAirPods Proだった。音質や機能より何より、着けるときのストレスが最も少なかったというのが、その大きな理由だ。
ケースを開けてイヤホンを取り出し、耳に装着する。たったこれだけの所作ではあるが、毎日繰り返し行うものだから、累積したら結構な違いとなって表れてくる。使用しはじめるまでの流れに少しでも引っかかりがあると、敬遠しがちになるのだ。カッコよくても肌触りが気に入らないシャツはあまり着なくなるのと同じ理屈だ。
AirPods Proはこの点、配慮が行き届いていると感じる。第2世代AirPods Proは、第1世代と同様、ケース収納時に、イヤホン本体のくびれがちょうど指にかかるようになっているため、とても取り出しやすい。
イヤホンを見ず、手の感覚だけでも、ケースを開けてイヤホンを取り出し、耳に装着するところまでの一連の動作をスムーズに行える。例えばケースについても、触覚だけで表・裏が分かるようになっていたりなど、意図的にそう設計していると思われる。
そしてイヤーピースは従来通り浅めで、ほとんど耳に「乗せる」感覚で使える。それでいてフィット感が良く、少々の運動では外れそうもない。また、これまでイヤーピースの種類はS/M/Lの3種類だったが、それがXS/S/M/Lの4種類になり、耳の穴が小さい方でも使いやすくなった。
総合的に見ると、見た目がほとんど変わっていないのはやや残念だが、装着性の高さ、特に着けるときのストレスのなさは、従来通り非常にハイレベル。毎日頻繁に使う道具として重要な要素が、高次元にまとめ上げられているのは好印象だ。
かんたんにその内容をまとめると、「性能的に古びてきた部分はあるものの、唯一無二の機能も多く、まだまだ魅力的。ただし円安の影響で38,800円という価格に上がったことを考えあわせると、その評価は分かれるだろう」という主旨だった。
その原稿を書いている時から、当然ながら、秋には新製品が出るだろうという予感はあったわけだが、果たしてその予感通りに、第2世代AirPods Proが9月に登場し、第1世代機に取って代わった。アップルは「魔法を再設計しました」と息巻いている。
第2世代AirPods Proの、アップルストアでの販売価格は39,800円(税込)。アメリカでは249ドルで買えるので、一昔前なら3万円を切る値付けだったのではないか。
円安が恨めしく思えてくるが、嘆いていてもしかたない。約4万円というプライスは決して安くない、というより、絶対金額としては間違いなく高いが、第1世代機と比べて何がどう変わったのか、買い換えるだけの価値があるかなど、くわしくレビューしていこう。
テストでは、同時期に登場し、かなり高性能で価格も近いボーズの「QuietComfort Earbuds II」(QC Earbuds II)、そしていまだに性能の高さではひけを取らないソニー「WF-1000XM4」などと比べながら、第2世代AirPods Proの良いところはもちろん、もう少し頑張って欲しいところも含め、その能力を浮き彫りにしていきたい。なお、レビューした際のファームウェアのバージョンは「5A377」だ。
チェックしていく項目は以下の通りだ。
目次
・第2世代AirPods Proの外観と装着感は?
・機能・使い勝手は第2世代AirPods Proでどう進化したか
・ノイキャンの効果は? 第1世代機やライバル機と比べるとどうか
・AirPods Proの大きな特徴である外音取り込みは?
・音質はどう進化したか。ライバル機との違い
・空間オーディオやアップル製品同士の連携など、AirPodsならではの利点
・通話機能・通話性能をチェック
・進化したケースの使い勝手は?
・結論。4万円近く出す価値はあるか
第2世代AirPods Proの外観は?
さて、まずは見た目と装着感をチェックしていこう。
今回の第2世代AirPods Proの見た目は、第1世代機とほぼ同じである。イヤホン部に浅めのイヤーピースが固定され、短めのステムがある、あのおなじみのスタイルが踏襲された。集音マイクの位置や近接センサーのサイズや位置が変更されているものの、よほど詳しい方でない限り、その違いに気づくことはないだろう。
アップルは今回の第2世代機について「見た目はほぼ一緒だが、中身はまったく違うものに刷新されている」ことを売りにしている。H2チップを搭載したことによるノイキャンや外音取り込みの強化、音質の改善などが行われているにもかかわらず、見た目は変わっていないと訴えているのだ。
見た目が変わっていないのは賛否両論あるだろうが、少なくとも私にとっては残念なポイントだ。後述するが、ステムがあるのは理にかなっているし、いろいろなものを詰め込むと、どうしてもこの程度のサイズは必要になるのはわかる。その中で最善を尽くしたのだろうが、もう少し新味が欲しかったというのが正直なところだ。
そもそも、これまで第1世代AirPods Proをカッコいいと思ったことは一度も無いし、ビデオ会議の時など、耳からぴょこっと白いものが飛び出る様子が滑稽に思えていたくらいだ。
それでも使い続けていたのは、その装着のしやすさ、取り回しの良さゆえだ。第1世代機のレビューでも書いたように、いくつか最新のイヤホンが机の上に転がっていても、使う頻度が最も高いのはAirPods Proだった。音質や機能より何より、着けるときのストレスが最も少なかったというのが、その大きな理由だ。
ケースを開けてイヤホンを取り出し、耳に装着する。たったこれだけの所作ではあるが、毎日繰り返し行うものだから、累積したら結構な違いとなって表れてくる。使用しはじめるまでの流れに少しでも引っかかりがあると、敬遠しがちになるのだ。カッコよくても肌触りが気に入らないシャツはあまり着なくなるのと同じ理屈だ。
AirPods Proはこの点、配慮が行き届いていると感じる。第2世代AirPods Proは、第1世代と同様、ケース収納時に、イヤホン本体のくびれがちょうど指にかかるようになっているため、とても取り出しやすい。
イヤホンを見ず、手の感覚だけでも、ケースを開けてイヤホンを取り出し、耳に装着するところまでの一連の動作をスムーズに行える。例えばケースについても、触覚だけで表・裏が分かるようになっていたりなど、意図的にそう設計していると思われる。
そしてイヤーピースは従来通り浅めで、ほとんど耳に「乗せる」感覚で使える。それでいてフィット感が良く、少々の運動では外れそうもない。また、これまでイヤーピースの種類はS/M/Lの3種類だったが、それがXS/S/M/Lの4種類になり、耳の穴が小さい方でも使いやすくなった。
総合的に見ると、見た目がほとんど変わっていないのはやや残念だが、装着性の高さ、特に着けるときのストレスのなさは、従来通り非常にハイレベル。毎日頻繁に使う道具として重要な要素が、高次元にまとめ上げられているのは好印象だ。