「魔法を再設計」は本当か
第2世代AirPods Proの凄さと残念なところ。第1世代機との違い、他社最新機との比較レビュー
機能・使い勝手は第2世代AirPods Proでどう進化したか
第2世代AirPods Proは、機能や使い勝手についても進化した点が多い。ノイズキャンセリングや外音取り込み、適応型環境音除去、バッテリー持続時間の延び、ケースにスピーカーやU1チップを搭載し、「探す」ネットワークへも対応するなど、枚挙にいとまがない。
ノイキャンや外音取り込みの進化は、イヤホンとしての機能の根幹を成すものなので、後ほど各項目ごとにくわしく見ていこう。ここでは、それら以外の細かな進化点をチェックしていきたい。
まず使っていて、とてもありがたいと感じるのは、バッテリー持続時間が長くなったことだ。イヤホン単体では約6時間(ノイキャンON)の連続使用が行える。空間オーディオとヘッドトラッキングをONにすると約5.5時間となるが、それでも十分長い。そして、ケースで充電しながら使えば最長30時間使用できる。
正直に言うと、これまでの約4.5時間というバッテリー持続時間でも、短いと感じることはほとんどなかった。だがそう思うのは、コロナ禍にあったことも無関係ではないだろう。
今後、海外出張や長距離の国内出張が増えてくると、長時間着けっぱなしというシチュエーションも増えてくる。そうなると、少しでもイヤホン本体の駆動時間が長い方がありがたい。また、リモート会議に出てからすぐに移動し、車中で音楽を聴くなどといったときにも、このバッテリー持続時間の長さがものをいう。
大きな弱点「単体でボリューム調整できない」が解決
また、これまで第1世代機の弱点としてしばしば指摘されていた、イヤホン本体の操作で音量調整ができないという問題が、ついに解決した。ノズルの前側の平らな部分を上下にスワイプすることで、音量を上げ下げできるようになったのだ。
この機能を言葉で説明すると、ごくかんたんなことのように思えるが、誤動作を防ぎつつ、本当に音量を変えたいときは確実に動作するよう調整するのは、とても難しいことであるはずだ。アップルは機械学習で膨大なパターンを覚えさせ、この機能を実現したのだという。
実際にスワイプによる音量操作を行ってみると、とてもスムーズで、誤操作も起きなかった。たとえば音楽の一時停止やスキップ、ノイキャンのオン・オフなどの際、あるいは間違って触ったときにも、意図せず音量が変わって驚くようなことはなかった。
また、大きくスワイプしても音量は一段階ずつしか変わらないので、急に大きな音になったりする心配がないのもよい。
そして少し気づきにくいのだが、音量を上げ下げするときに、「スコッ」という効果音が鳴るので、それで音量調整が行えているか確認することもできる。また、さらに細かなことだが、音量がゼロになると効果音そのものが変わり、それ以上音量を下げられない(ミュート状態になった)ことがわかるよう工夫されている。
さて、細かな機能向上はほかにもあるのだが、適応型環境音除去やケースの進化などについては後述しよう。
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