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【第102回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ

堺雅人主演!そろばんで家計を守る武士の家族の絆

公開日 2024/02/16 06:30 ミヤザキタケル
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サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2010年公開の『武士の家計簿』をご紹介します!

『武士の家計簿』(2010年・日本)
(配信:U-NEXT /Hulu)

『武士の家計簿』U-NEXTで配信中

20万部のベストセラーを記録した歴史学者・磯田道史の著書を、『家族ゲーム』『失楽園』『間宮兄弟』などで知られる森田芳光監督、堺雅人主演で映画化。江戸時代後半。代々加賀藩の御算用者(経理係)として仕えてきた猪山家の八代目・直之(堺雅人)は、刀の腕はイマイチながらもそろばんの腕はピカイチ。不器用ながらも出世をし、お駒(仲間由紀恵)を妻に迎えるのだが、身分が高くなるにつれ出費がかさむ武士社会の習わしにより家計はいつしか火の車に。親の代の借金も重なり窮地に追い込まれた猪山家は、一家総出で家財を売り払い倹約生活を始めるのだが……。

(C) 2003 磯田道史/新潮社 (C)2010「武士の家計簿」製作委員会

実際に猪山家に残された入払帳や書簡、つまりは「武士の家計簿」をもとに、武士がどのような日常生活を送っていたのかを紐解く歴史教養書を原作とする本作。江戸から明治にかけての生活や人間模様を垣間見られる面白さは言うまでもないのだが、そこで目にする根源的な人の在り方や営みにこそこの作品の良さが詰まっている。

生きていくためには金が必要であり、他者の支えや愛情があってこそ数多の苦難を乗り越えられる。そう、彼らの生き方は令和の今を生きる私たちと大差ない。倹約生活に入りながらも前を向き、愛をもって生きていく猪山家の姿は、選択肢が無数にあるこんな時代だからこそ、何に重きを置いて生きてくべきなのかを見つめ直す良きキッカケを与えてくれる。時代劇が苦手な人でも見やすい作品なので、この機会に是非♪

(C) 2003 磯田道史/新潮社 (C)2010「武士の家計簿」製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。

ミヤザキタケル
1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。

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