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【第123回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ

吉高由里子×松山ケンイチ×松坂桃李!殺人鬼のノートをめぐる愛と狂気の人間ドラマ

公開日 2024/07/12 06:30 ミヤザキタケル
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サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2017年公開の『ユリゴコロ』をご紹介します!

『ユリゴコロ』(2017年・日本)
(配信: Hulu / U-NEXT)

『ユリゴコロ』 DVD:4,180円(税込) 発売・販売元: ポニーキャニオン (C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会

イヤミス(読後、イヤな気持ちになるミステリー)の女王・沼田まほかる原作の同名ミステリー小説を、『君に届け』『隣人X -疑惑の彼女- 』などで知られる熊澤尚人監督が映画化。カフェを経営する亮介(松坂桃李)は、実家の押し入れから「ユリゴコロ」と書かれたノートを見つける。その中身は、人を殺めることでしか心の拠り所を見出せない美紗子(吉高由里子)という女性の手記であり、彼女が洋介(松山ケンイチ)という男性と出会い、愛を知っていく様が綴られていた。それが創作か否かも分からぬまま読み始めた亮介は次第にノートにのめり込んでいき、思いもよらぬ現実に直面するのだが……。

あなたにとって、心の拠り所や生きている実感と呼べるものは何だろう。それらを何に見出すのかは人それぞれに異なり、仕事へのやりがい、家族の存在、金や資産、SNSのフォロワー数など、その答えはさまざま。もし仮に、それがマイノリティなものや他者を傷つける類いのものであった場合、どう生きていくべきなのか。

本作は、そんな当事者にでもならなければ直面することがないであろう葛藤を、美紗子の姿を通して垣間見られるのと同時に、生きていく中でそれらは変化し得るものなのだということを示していく。俳優陣の熱演、徐々に交錯していくノートと現実の出来事、解き明かされていく真実の果てに、あなたはきっと胸揺さぶられることだろう。

(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。

ミヤザキタケル
1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。

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