公開日 2023/03/15 06:30
<インタビュー>レグザ「Z770L/Z670Lシリーズ」が大好評。大画面化と高付加価値化の必然を直球勝負で訴える
VGP2023受賞:TVS REGZA 笹川知之氏
VGP2023
受賞インタビュー:TVS REGZA
手が届く価格とクオリティを高次元で両立し、VGP2023「総合金賞」を受賞した4K量子ドット液晶レグザ「Z770L/Z670Lシリーズ」。テレビを取り巻く環境が変化していくなか、さらなる大画面化と高付加価値化のうねりをけん引するレグザの一挙手一投足に2023年も目が離せない。市場創造へ向けた意気込みをTVS REGZA株式会社 取締役副社長 笹川知之氏に話を聞く。
TVS REGZA株式会社
取締役副社長
笹川知之氏
プロフィール/2019年 東芝映像ソリューション株式会社入社。2020年 営業本部長、2022年 取締役副社長、現在に至る。
―― 4K量子ドット液晶レグザ「Z770Lシリーズ(以下Z770L)」「Z670Lシリーズ(以下Z670L)」がVGP2023「総合金賞」に輝きました。おめでとうございます。改めまして本モデルの狙い、発売後のお客様やご販売店からの反響をお聞かせください。
笹川 ありがとうございます。手が届く価格とクオリティを両立したモデルとして、発売以来大変ご好評をいただいています。液晶テレビにとって2022年は変革の年とも言え、Mini LED、量子ドットという新たな技術的なブレイクスルーがカンフル剤となりました。大画面化の流れとも相俟って、ハイエンドモデルとして有機ELテレビの認知が広がるなかで、液晶の中にも新しいハイエンドのカテゴリーを提案することができました。
われわれもMini LEDには「Z875L/Z870Lシリーズ」を発売していますが、Mini LED+量子ドットだけではなく、買いやすさを鑑みて、通常の液晶モデルに量子ドットを採用したモデルとしてご提案させていただいたのが「Z770L」「Z670L」になります。2022年のレグザのなかでも大変エポックメイキングな商品となりました。
槇本 Mini LEDという新しい技術には、そのなかに量子ドットという技術があります。それぞれに役割が異なり、Mini LEDはコントラストを、量子ドットは色域を担います。リビングで見るのであれば、コントラスト比より発色の方がわかりやすいことから、そこであえて、通常のバックライトタイプの液晶に量子ドットを組み合わせることで、お買い得ゾーンに量子ドットの広色域を実現することができました。
本村 一番苦労したのは、Mmini LEDならイラストを使用して、「こんなにちっちゃなLEDがぎっしり並んでいます」とわかりやすく説明できるのですが、量子ドットは説明が本当に難しい。他社さんでもこれまで詳細にはほとんど触れてきませんでした。
そこで、「Z770L」「Z670L」を説明するために、量子ドットの技術的な裏付けを見える化した模型を作ったり、わかりやすくて面白い説明の仕方を考えたりと試行錯誤しました。ご販売店向けの内覧会で取り上げてみると、これが凄く評判が良く、量子ドットを原理からご理解いただけました。ご販売店からお客様に対しても、単に「色がキレイですよ」ではなく、技術的な背景からわかりやすく説明することができるようになったとご好評いただいています。
―― 用意周到に市場に送り届けることができたわけですね。
笹川 有機EL、Mini LEDから4K 倍速液晶、そしてスタンダードな2K液晶まで、豊富なラインナップを誇るレグザのど真ん中にある商品が「Z770L」「Z670L」です。昨年4月から全国7会場で新製品の内覧会を実施し、量販法人に事前に説明をさせていただきました。そのときにも「Z770L」「Z670L」に対してとても高い評価と期待の声をいただいています。
「Z770L」は、好評のタイムシフトマシンに量子ドットが搭載され、他社にはない唯一無二の選択肢となります。タイムシフトマシンを非搭載とした「Z670L」との2シリーズで、75V型から43V型までをカバーします。「Z770L」「Z670L」を中心にお客様の選択の幅が大きく広がったことで、多くの量販店では、テレビ売り場においてはレグザの展示台数が増え、大きな期待を感じています。
4K液晶レグザのハイエンドシリーズであった「Z730Xシリーズ」「Z740XSシリーズ」とこれまでに培ってきたものをベースにして、かゆいところに手が届く仕様がすべて収められています。立体的で重厚なサウンドをお届けする60Wのスピーカーも搭載し、まさに“向かうところ敵なし”のモデルではないかと自負しており、Mini LEDや有機EL、ミドルレンジの4K倍速液晶「Z570L」などの売れ行きにも波及効果が認められます。
本村 商品を作っていると「これは絶対にいけるぞ」とピンとくるときがあります。Z770Lがまさにそれで、クラスをはるかに超越した満点をつけられるモデル。“ド定番”と自信をもってお薦めできます。
笠畑 10年ぶりにテレビを買い替えられたお客様は、サイズアップや10年前にはなかった4Kによる高精細化に大変驚かれていますが、とりわけ「Z770L」「Z670L」を買われたお客様からは、かつてない広い豊かな色域に対する満足度が大変高くなっています。
―― テレビを取り巻く環境は大きく変化しており、コロナ禍の在宅時間増を背景にしたホームエンタメをきっかけに、動画配信サービスの視聴がテレビ需要を喚起する大きな要因のひとつになっています。
本村 昔はテレビ売り場にWiFi環境が未整備で、「テレビ売り場にWiFiが来ていないのは、アンテナをつないでいないのと同じことですよ」と声高に訴えていた時代がありました(笑)。今では売り場もWiFiの環境が整えられています。レグザはネット動画の特性に合わせた画質処理を行っていることもひとつの強みで、ネット動画をアピールする取り組みも強化しています。
槇本 スマホの小さな画面で見るのとは大違いですからね。YouTubeもまさかこんなにスムーズにテレビで見られるようになるなんて、3年前には考えられなかったことです。最近はアーティストの方もオンラインでライブを数多く配信されるようになり、家で見るのならやはりテレビの大きな画面で楽しみたいですね。
―― 2年半前に行った前回のインタビューで本村さんから、コロナ禍の変化のひとつとして、ネット動画の視聴を目的に若い人がテレビを買い始めているとの指摘がありました。
本村 メディアではよく若い人の「テレビ離れ」が指摘されます。スマホが台頭してテレビがもはや要らないのだと短絡的な発言をする人がいますが、正しい解釈は、リアル放送でテレビ番組を見ることが少なくなった“地上波ライブ視聴離れ”であり、決して映像としてのテレビを見ることを否定していません。
民放各局の大型ドラマは大きな話題になりますし、視聴率や「面白い」「期待外れだ」などのネット記事が数多く並ぶのも、それだけ皆さんの関心が高く、見ていることに他なりません。テレビでコンテンツの感動を最大化して楽しむ文化は、むしろ加速しています。その選択肢が増えているということです。
笠畑 昔は本を読んだり、雑誌を見たり、今はそうした時間に動画を楽しむ機会が格段と増えました。コンテンツによりますが、スマホの小さな画面より、テレビの大画面で見た方が感動や臨場感が高まるものが少なくないはずです。
本村 スマホで動画に接するのは当たり前ですが、それをテレビで見た方が面白いぞと気づき始めました。スマホへの依存度が高い若い人ほどそうしたアクションが大きい。大画面はスマホやパソコンでは代替えできませんから、テレビの基本である大画面・高画質・高音質は不変と言えます。
―― 1月に開催された「CES2023」ではミリ波レーダーセンシングシステムによるさらなる高画質・高音質の視聴提案を展開されて注目を集めましたが、今年のテレビ市場をどのように展望されますか。
笹川 2023年には2つの大きなうねりが押し寄せます。それはさらなる大画面化とクオリティアップです。それを受け止め、お客様に感動いただけるモノづくりを進めていかなければなりません。
テレビを中心とする映像ビジネスを活気あふれるものにしていくため欠かせないのは、お客様の感動をより大きくできる付加価値、それをどれだけ提案できるかです。今、大画面を購入する必然性を訴えられるシナリオを、あれこれ知恵を絞りながら考案しています。「大画面だから見やすい、迫力がある」といった当たり前の表現ではなく、もっと直球勝負でお客様の心に響くものがあるはずです。
例えば、テレビの購入をご検討中のお客様が最もお知りになりたい適切な視聴距離は、4Kテレビの場合、よく画面の高さの1.5倍と説明されますが、それよりも、いつもお客様が実際にリビングでテレビを視聴される場所からテレビまでの距離に基づいてご提案するべきだと思いますし、番組表をテレビのサイズに合わせて変えて、見比べて判断していただくような手法もそのひとつとして考えています。
笠畑 大画面だとどうしても臨場感を全面に訴えたくなりますが、こういう身近な利便性を起点としたわかりやすさも大切なポイントです。
本村 最近は新聞をとらない家庭も増えていますし、テレビをつけると一度は番組表をご覧になられます。大画面で高精細だと本当に見やすくなる。今の番組表の文字は意外と小さいですから、番組表の文字が読めれば、番組中に流れるテロップも読むことができます。より身近に生活に落とし込み、大画面需要を開拓していきたいですね。
―― もっとわかりやすい伝え方がいろいろありそうですね。
本村 「高画質です」と言ったって心には響きません。何がどうキレイなのか。それぞれのお客様ごとに関心があるコンテンツやテーマにあわせて、具体例に落とし込むシナリオを考えていかなければいけないはずです。お客様が腑に落ちなければ、本当に伝えたことにはなりません。
―― メッセージの伝え方のひとつとして、「レグザチャンネル」が大変好評とお聞きしています。
本村 YouTubeの「レグザチャンネル」の登録者数が1万人を突破しました。こんなに皆さんから注目されているメーカー公式チャンネルも他にはないと思います。3月17日には「【後悔先に立たず】設置から地震対策まで!パネル破損を防ぐテクニック大公開」と題し、有機ELと液晶のパネルをなんとその場で破損して、注意を喚起しています。テレビを選ぶ時に参考にしていただきたい情報、買った後にもっとレグザファンになっていただくための情報、そして、ご販売店の皆様の勉強会としての役割も担い、数多くの皆さんにご覧いただいています。
―― もうひとつのうねり、クオリティアップのストーリーについてはいかがですか。
槇本 まずはタイムシフトマシンです。「いまさら放送を?」と首をかしげる方もいらっしゃるかもしれませんが、ネット動画の時代だからこそ逆に、タイムシフトマシンが重要になると考えています。タイムシフトマシンがあれば、ネット動画と同じように見たいコンテンツが見たいときに楽しめます。さらに多くのモデルに搭載していきたいですね。
本村 もちろん画質と音質もさらに進化します。液晶、有機ELの新パネルや新しいエンジンの開発を行っており、スピーカーも大幅に強化していきます。コンテンツ・オリエンテッドで、ネット動画もタイムシフトマシンもすべてをシームレスにお客様がより楽しめる提案で、テレビの価値の最大化を図ります。
―― コロナの行動制限解除に伴い一服感が出ているテレビ市場ですが、2023年の展望をお聞かせください。
笹川 台数は若干弱含みで約500万台を見込んでいます。ただし、1台1台が大型化、高付加価値化が進んでいくと思われ、お客様にレグザのベネフィットをご理解いただき、市場全体を盛り上げて参ります。
2022年はレグザファンを創出するさまざまな取り組みを展開しました。全国7会場での内覧会をはじめ、昨年末にはFIFAワールドカップサッカーが開催され、かなりの数の量販店のテレビ売り場で当社の販促物なども有効に活用いただき、レグザとワールドカップで大いに盛り上がり、お陰様で昨年末商戦は最後まで息切れすることがありませんでした。
3月にはWBCが始まり、秋にはラグビーワールドカップがフランスで開催され、2019年の熱気や興奮が再び訪れます。こうした機会を逃さず、「スポーツ見るなら断然レグザ」を掲げて、いろいろなチャレンジを行います。
“街の電気屋さん”として地域に密着した欠かせない存在である東芝ストアの皆さんにもレグザブランドをずっと愛していただいています。おひとりおひとりが本当に熱烈なレグザファンで、まさにレグザの大大応援団です。今後も引き続き宜しくお願いいたします。
―― それでは最後に本年への意気込みをお願いします。
笹川 総合金賞をいただいた「Z770L」「Z670L」はもちろんのこと、2K液晶の「V34シリーズ」、非常にコストパフォーマンスが高いお手頃価格のベストセラー商品「C350Xシリーズ」、さらに有機EL 、Mini LED、量子ドットに至るラインナップには一切手抜きはありません。レグザが昨年、テレビの年間販売台数で1位を獲得できたことは、お客様やご販売店のご支援の賜物と感謝しています。日本でお客様に一番購入していただいたテレビがレグザであることを、本当にうれしく思います。
レグザチャンネルや店頭でのVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)など、さらなるレグザファンの創出に向けた新しいチャレンジを日々重ねています。販促展開にもさらに工夫を凝らし、お客様にもっと喜んでいただけるように商品のラインナップもさらに充実して参ります。2023年のレグザにどうぞご期待ください。
受賞インタビュー:TVS REGZA
手が届く価格とクオリティを高次元で両立し、VGP2023「総合金賞」を受賞した4K量子ドット液晶レグザ「Z770L/Z670Lシリーズ」。テレビを取り巻く環境が変化していくなか、さらなる大画面化と高付加価値化のうねりをけん引するレグザの一挙手一投足に2023年も目が離せない。市場創造へ向けた意気込みをTVS REGZA株式会社 取締役副社長 笹川知之氏に話を聞く。
TVS REGZA株式会社
取締役副社長
笹川知之氏
プロフィール/2019年 東芝映像ソリューション株式会社入社。2020年 営業本部長、2022年 取締役副社長、現在に至る。
■量子ドットの広色域の魅力を広く知らしめた「Z770L/Z670Lシリーズ」
―― 4K量子ドット液晶レグザ「Z770Lシリーズ(以下Z770L)」「Z670Lシリーズ(以下Z670L)」がVGP2023「総合金賞」に輝きました。おめでとうございます。改めまして本モデルの狙い、発売後のお客様やご販売店からの反響をお聞かせください。
笹川 ありがとうございます。手が届く価格とクオリティを両立したモデルとして、発売以来大変ご好評をいただいています。液晶テレビにとって2022年は変革の年とも言え、Mini LED、量子ドットという新たな技術的なブレイクスルーがカンフル剤となりました。大画面化の流れとも相俟って、ハイエンドモデルとして有機ELテレビの認知が広がるなかで、液晶の中にも新しいハイエンドのカテゴリーを提案することができました。
われわれもMini LEDには「Z875L/Z870Lシリーズ」を発売していますが、Mini LED+量子ドットだけではなく、買いやすさを鑑みて、通常の液晶モデルに量子ドットを採用したモデルとしてご提案させていただいたのが「Z770L」「Z670L」になります。2022年のレグザのなかでも大変エポックメイキングな商品となりました。
槇本 Mini LEDという新しい技術には、そのなかに量子ドットという技術があります。それぞれに役割が異なり、Mini LEDはコントラストを、量子ドットは色域を担います。リビングで見るのであれば、コントラスト比より発色の方がわかりやすいことから、そこであえて、通常のバックライトタイプの液晶に量子ドットを組み合わせることで、お買い得ゾーンに量子ドットの広色域を実現することができました。
本村 一番苦労したのは、Mmini LEDならイラストを使用して、「こんなにちっちゃなLEDがぎっしり並んでいます」とわかりやすく説明できるのですが、量子ドットは説明が本当に難しい。他社さんでもこれまで詳細にはほとんど触れてきませんでした。
そこで、「Z770L」「Z670L」を説明するために、量子ドットの技術的な裏付けを見える化した模型を作ったり、わかりやすくて面白い説明の仕方を考えたりと試行錯誤しました。ご販売店向けの内覧会で取り上げてみると、これが凄く評判が良く、量子ドットを原理からご理解いただけました。ご販売店からお客様に対しても、単に「色がキレイですよ」ではなく、技術的な背景からわかりやすく説明することができるようになったとご好評いただいています。
―― 用意周到に市場に送り届けることができたわけですね。
笹川 有機EL、Mini LEDから4K 倍速液晶、そしてスタンダードな2K液晶まで、豊富なラインナップを誇るレグザのど真ん中にある商品が「Z770L」「Z670L」です。昨年4月から全国7会場で新製品の内覧会を実施し、量販法人に事前に説明をさせていただきました。そのときにも「Z770L」「Z670L」に対してとても高い評価と期待の声をいただいています。
「Z770L」は、好評のタイムシフトマシンに量子ドットが搭載され、他社にはない唯一無二の選択肢となります。タイムシフトマシンを非搭載とした「Z670L」との2シリーズで、75V型から43V型までをカバーします。「Z770L」「Z670L」を中心にお客様の選択の幅が大きく広がったことで、多くの量販店では、テレビ売り場においてはレグザの展示台数が増え、大きな期待を感じています。
4K液晶レグザのハイエンドシリーズであった「Z730Xシリーズ」「Z740XSシリーズ」とこれまでに培ってきたものをベースにして、かゆいところに手が届く仕様がすべて収められています。立体的で重厚なサウンドをお届けする60Wのスピーカーも搭載し、まさに“向かうところ敵なし”のモデルではないかと自負しており、Mini LEDや有機EL、ミドルレンジの4K倍速液晶「Z570L」などの売れ行きにも波及効果が認められます。
本村 商品を作っていると「これは絶対にいけるぞ」とピンとくるときがあります。Z770Lがまさにそれで、クラスをはるかに超越した満点をつけられるモデル。“ド定番”と自信をもってお薦めできます。
笠畑 10年ぶりにテレビを買い替えられたお客様は、サイズアップや10年前にはなかった4Kによる高精細化に大変驚かれていますが、とりわけ「Z770L」「Z670L」を買われたお客様からは、かつてない広い豊かな色域に対する満足度が大変高くなっています。
■テレビでコンテンツの感動を最大化する文化が加速している
―― テレビを取り巻く環境は大きく変化しており、コロナ禍の在宅時間増を背景にしたホームエンタメをきっかけに、動画配信サービスの視聴がテレビ需要を喚起する大きな要因のひとつになっています。
本村 昔はテレビ売り場にWiFi環境が未整備で、「テレビ売り場にWiFiが来ていないのは、アンテナをつないでいないのと同じことですよ」と声高に訴えていた時代がありました(笑)。今では売り場もWiFiの環境が整えられています。レグザはネット動画の特性に合わせた画質処理を行っていることもひとつの強みで、ネット動画をアピールする取り組みも強化しています。
槇本 スマホの小さな画面で見るのとは大違いですからね。YouTubeもまさかこんなにスムーズにテレビで見られるようになるなんて、3年前には考えられなかったことです。最近はアーティストの方もオンラインでライブを数多く配信されるようになり、家で見るのならやはりテレビの大きな画面で楽しみたいですね。
―― 2年半前に行った前回のインタビューで本村さんから、コロナ禍の変化のひとつとして、ネット動画の視聴を目的に若い人がテレビを買い始めているとの指摘がありました。
本村 メディアではよく若い人の「テレビ離れ」が指摘されます。スマホが台頭してテレビがもはや要らないのだと短絡的な発言をする人がいますが、正しい解釈は、リアル放送でテレビ番組を見ることが少なくなった“地上波ライブ視聴離れ”であり、決して映像としてのテレビを見ることを否定していません。
民放各局の大型ドラマは大きな話題になりますし、視聴率や「面白い」「期待外れだ」などのネット記事が数多く並ぶのも、それだけ皆さんの関心が高く、見ていることに他なりません。テレビでコンテンツの感動を最大化して楽しむ文化は、むしろ加速しています。その選択肢が増えているということです。
笠畑 昔は本を読んだり、雑誌を見たり、今はそうした時間に動画を楽しむ機会が格段と増えました。コンテンツによりますが、スマホの小さな画面より、テレビの大画面で見た方が感動や臨場感が高まるものが少なくないはずです。
本村 スマホで動画に接するのは当たり前ですが、それをテレビで見た方が面白いぞと気づき始めました。スマホへの依存度が高い若い人ほどそうしたアクションが大きい。大画面はスマホやパソコンでは代替えできませんから、テレビの基本である大画面・高画質・高音質は不変と言えます。
■さらなる大画面化とクオリティアップの2つのうねり
―― 1月に開催された「CES2023」ではミリ波レーダーセンシングシステムによるさらなる高画質・高音質の視聴提案を展開されて注目を集めましたが、今年のテレビ市場をどのように展望されますか。
笹川 2023年には2つの大きなうねりが押し寄せます。それはさらなる大画面化とクオリティアップです。それを受け止め、お客様に感動いただけるモノづくりを進めていかなければなりません。
テレビを中心とする映像ビジネスを活気あふれるものにしていくため欠かせないのは、お客様の感動をより大きくできる付加価値、それをどれだけ提案できるかです。今、大画面を購入する必然性を訴えられるシナリオを、あれこれ知恵を絞りながら考案しています。「大画面だから見やすい、迫力がある」といった当たり前の表現ではなく、もっと直球勝負でお客様の心に響くものがあるはずです。
例えば、テレビの購入をご検討中のお客様が最もお知りになりたい適切な視聴距離は、4Kテレビの場合、よく画面の高さの1.5倍と説明されますが、それよりも、いつもお客様が実際にリビングでテレビを視聴される場所からテレビまでの距離に基づいてご提案するべきだと思いますし、番組表をテレビのサイズに合わせて変えて、見比べて判断していただくような手法もそのひとつとして考えています。
笠畑 大画面だとどうしても臨場感を全面に訴えたくなりますが、こういう身近な利便性を起点としたわかりやすさも大切なポイントです。
本村 最近は新聞をとらない家庭も増えていますし、テレビをつけると一度は番組表をご覧になられます。大画面で高精細だと本当に見やすくなる。今の番組表の文字は意外と小さいですから、番組表の文字が読めれば、番組中に流れるテロップも読むことができます。より身近に生活に落とし込み、大画面需要を開拓していきたいですね。
―― もっとわかりやすい伝え方がいろいろありそうですね。
本村 「高画質です」と言ったって心には響きません。何がどうキレイなのか。それぞれのお客様ごとに関心があるコンテンツやテーマにあわせて、具体例に落とし込むシナリオを考えていかなければいけないはずです。お客様が腑に落ちなければ、本当に伝えたことにはなりません。
―― メッセージの伝え方のひとつとして、「レグザチャンネル」が大変好評とお聞きしています。
本村 YouTubeの「レグザチャンネル」の登録者数が1万人を突破しました。こんなに皆さんから注目されているメーカー公式チャンネルも他にはないと思います。3月17日には「【後悔先に立たず】設置から地震対策まで!パネル破損を防ぐテクニック大公開」と題し、有機ELと液晶のパネルをなんとその場で破損して、注意を喚起しています。テレビを選ぶ時に参考にしていただきたい情報、買った後にもっとレグザファンになっていただくための情報、そして、ご販売店の皆様の勉強会としての役割も担い、数多くの皆さんにご覧いただいています。
―― もうひとつのうねり、クオリティアップのストーリーについてはいかがですか。
槇本 まずはタイムシフトマシンです。「いまさら放送を?」と首をかしげる方もいらっしゃるかもしれませんが、ネット動画の時代だからこそ逆に、タイムシフトマシンが重要になると考えています。タイムシフトマシンがあれば、ネット動画と同じように見たいコンテンツが見たいときに楽しめます。さらに多くのモデルに搭載していきたいですね。
本村 もちろん画質と音質もさらに進化します。液晶、有機ELの新パネルや新しいエンジンの開発を行っており、スピーカーも大幅に強化していきます。コンテンツ・オリエンテッドで、ネット動画もタイムシフトマシンもすべてをシームレスにお客様がより楽しめる提案で、テレビの価値の最大化を図ります。
■レグザファン創出に向け果敢にチャレンジ
―― コロナの行動制限解除に伴い一服感が出ているテレビ市場ですが、2023年の展望をお聞かせください。
笹川 台数は若干弱含みで約500万台を見込んでいます。ただし、1台1台が大型化、高付加価値化が進んでいくと思われ、お客様にレグザのベネフィットをご理解いただき、市場全体を盛り上げて参ります。
2022年はレグザファンを創出するさまざまな取り組みを展開しました。全国7会場での内覧会をはじめ、昨年末にはFIFAワールドカップサッカーが開催され、かなりの数の量販店のテレビ売り場で当社の販促物なども有効に活用いただき、レグザとワールドカップで大いに盛り上がり、お陰様で昨年末商戦は最後まで息切れすることがありませんでした。
3月にはWBCが始まり、秋にはラグビーワールドカップがフランスで開催され、2019年の熱気や興奮が再び訪れます。こうした機会を逃さず、「スポーツ見るなら断然レグザ」を掲げて、いろいろなチャレンジを行います。
“街の電気屋さん”として地域に密着した欠かせない存在である東芝ストアの皆さんにもレグザブランドをずっと愛していただいています。おひとりおひとりが本当に熱烈なレグザファンで、まさにレグザの大大応援団です。今後も引き続き宜しくお願いいたします。
―― それでは最後に本年への意気込みをお願いします。
笹川 総合金賞をいただいた「Z770L」「Z670L」はもちろんのこと、2K液晶の「V34シリーズ」、非常にコストパフォーマンスが高いお手頃価格のベストセラー商品「C350Xシリーズ」、さらに有機EL 、Mini LED、量子ドットに至るラインナップには一切手抜きはありません。レグザが昨年、テレビの年間販売台数で1位を獲得できたことは、お客様やご販売店のご支援の賜物と感謝しています。日本でお客様に一番購入していただいたテレビがレグザであることを、本当にうれしく思います。
レグザチャンネルや店頭でのVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)など、さらなるレグザファンの創出に向けた新しいチャレンジを日々重ねています。販促展開にもさらに工夫を凝らし、お客様にもっと喜んでいただけるように商品のラインナップもさらに充実して参ります。2023年のレグザにどうぞご期待ください。
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