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公開日 2006/10/19 18:08
<FPD2006>「フルHD時代の大画面テレビ 私はこう評価する」 ― 村瀬氏らによるセッションが開催
10月18日に開幕したフラットパネルディスプレイに関する総合展示会「FPD International 2006」。本項では、本日9:30よりPA-3ルームで行われたセッションの模様をお伝えする。
本セッションは「フルHD時代の大画面テレビ 私はこう評価する」と題し、日本画質学会/(有)AVC 代表取締役の村瀬孝矢氏、AV評論家の山之内正氏、日本画質学会の藤原陽祐氏、AV評論家の小原由夫氏の4人がフルHDテレビについての見解を述べた。
会場前面にはパワーポイントを投射するスクリーンに加え、液晶テレビとプラズマテレビが1台ずつ設置されており、同一ソースを見比べながら会が進められた。
まず村瀬氏は、テレビなどフルHDに対応したハードを持っていても、フルHD画質のソースがそれほど多くないのが一番の問題点である、と指摘。今後3年間ほどはSD画質ソースが主流であるだろうと予想した。
以上をふまえ、「SD画質のソースをフルHDパネルに美しく出力する」ことを主眼に置き、おなじみのデモDVDディスク「DTS SURROUND.9」を使用しながらクオリティチェックのポイントを挙げていった。
また同氏は、テレビに内蔵されたスケーリング機構の重要さを指摘。60インチ以下のテレビであれば、スケーリングすればDVDもHDもさほど変わらない、と述べた。
続いて山之内氏がSDとHDの画質の違いについて発表した。
同氏は映像ソース自体の質や視聴環境の変化を指摘。テレビの近くで視聴する機会が増えたことにより、視聴者は動きボケなどに気づきやすくなった。また、解像度の向上により細部のコントラストも向上し、細部まで観えてしまうようになった、と述べた。
同氏は、このような変化に伴い、今までとは違う新たな画質評価基準を制定するべきだと主張。さらに、その基準は液晶/プラズマ/SEDなどパネル方式によって制約されない標準化されたものであるべきだ、と主張した。
最後に、ソースや視聴環境の変化を視野に入れるなど、SD画質以上に精密な評価基準が必要であることを強調し、発表を締めくくった。
藤原氏は、薄型テレビ市場の動向を分析。32V型以下の液晶、および42V型以下のプラズマテレビの大幅な価格低下により、普及率が高まっていると説明した。さらに、シャープやソニーを中心とした大画面・フルHD液晶の台頭に対し、プラズマ陣営は60V型以上の超大画面で対抗し、高級機市場の確立を図っている、と述べた。
さらにパナソニック/シャープ/パイオニア/日立/ソニー/東芝/ビクターの7テレビメーカーの画づくりの特徴についてそれぞれ解説した。
続いて小原氏が「スリーピー・ホロウ」「フロム・ヘル」などのソフトを用い、ゲーテの最期の言葉「もっと光を!」になぞらえ、「もっと黒を!」と題し、暗部の表現に着目したクオリティチェックのポイントを挙げた。
同氏は現在のFPDについて、輝度は十分にあるので、今後は黒の表現を追究していくべきだと主張した。
最後に、村瀬氏を司会に据えてパネルディスカッションが行われた。以下に主な内容を掲載する。
村瀬 フルHDテレビに何を期待するか?
小原 なんといっても解像感を期待する。どれだけダイレクトにインパクトを与えてくれるかに注目している。動画解像度と階調表現に優れたものがよい。
藤原 スペックの数字だけが先行していて、実際視聴してみるとさほど実感がないものも多い。精度の高いI/P変換機能を持ったテレビを期待する。
山之内 フルHDは大スクリーンで視聴するには勿論素晴らしいが、50V型以下のテレビならばさほど必要性を感じない。SD画質でもフルHDとほぼ同等の画質が観られるところに注目して欲しい。また、現在主流であるSDソースを美しく観られることも大事なのではないか。いいスケーラーを入れてくれないと、せっかくのフルHDパネルの良さも活かせない。
村瀬 どのくらいのサイズが欲しいか。
小原 デスクトップに置ける20V型くらいのフルHDディスプレイが欲しい。昔で言うマスターモニターのFPD版のような感じだ。PCでの作業の合間に高精細な映像を観ることができたりするものがあったらいいと考える。ミニマムな高精細デスクトップシステムは、個人的にかなり欲しい。
藤原 ボケ感を払拭した37V型フルHDテレビがあったら是非欲しい。
村瀬 今後はどういう方向性のフルHDテレビが求められると考えているか?
山之内 2011年には地デジが始まるし、来年末にはSEDが登場する。3年後をターゲットに考えて画づくりをすると良いと考える。フルHD対応でないテレビは長期的にみればだんだん減っていくだろう。しかしSD画質のソースはずっと残っている。SDの映像資産をいかに美しく観るか、ということも考えて欲しい。
村瀬 現行のフルHD製品の黒表現に評価をつけるとしたらどのくらいか。
小原 今までは視聴してもどこかしらに不満の残る仕上がりのものが多かったが、回路の精度をアップしたおかげで、このところようやく買いたいものが出てきた、という感じだ。
セッション終了後、同会場では各社のFPDを展示してシュートアウトが行われた。パナソニックの65V型プラズマ「TH-65PZ2600」(製品データベース)やビクターの52V型リアプロ「HD-52MH700」(製品データベース)などが展示されており、大勢の人が足を止め、各製品の画質を見比べていた。
(Phile-web編集部)
本セッションは「フルHD時代の大画面テレビ 私はこう評価する」と題し、日本画質学会/(有)AVC 代表取締役の村瀬孝矢氏、AV評論家の山之内正氏、日本画質学会の藤原陽祐氏、AV評論家の小原由夫氏の4人がフルHDテレビについての見解を述べた。
会場前面にはパワーポイントを投射するスクリーンに加え、液晶テレビとプラズマテレビが1台ずつ設置されており、同一ソースを見比べながら会が進められた。
まず村瀬氏は、テレビなどフルHDに対応したハードを持っていても、フルHD画質のソースがそれほど多くないのが一番の問題点である、と指摘。今後3年間ほどはSD画質ソースが主流であるだろうと予想した。
以上をふまえ、「SD画質のソースをフルHDパネルに美しく出力する」ことを主眼に置き、おなじみのデモDVDディスク「DTS SURROUND.9」を使用しながらクオリティチェックのポイントを挙げていった。
また同氏は、テレビに内蔵されたスケーリング機構の重要さを指摘。60インチ以下のテレビであれば、スケーリングすればDVDもHDもさほど変わらない、と述べた。
続いて山之内氏がSDとHDの画質の違いについて発表した。
同氏は映像ソース自体の質や視聴環境の変化を指摘。テレビの近くで視聴する機会が増えたことにより、視聴者は動きボケなどに気づきやすくなった。また、解像度の向上により細部のコントラストも向上し、細部まで観えてしまうようになった、と述べた。
同氏は、このような変化に伴い、今までとは違う新たな画質評価基準を制定するべきだと主張。さらに、その基準は液晶/プラズマ/SEDなどパネル方式によって制約されない標準化されたものであるべきだ、と主張した。
最後に、ソースや視聴環境の変化を視野に入れるなど、SD画質以上に精密な評価基準が必要であることを強調し、発表を締めくくった。
藤原氏は、薄型テレビ市場の動向を分析。32V型以下の液晶、および42V型以下のプラズマテレビの大幅な価格低下により、普及率が高まっていると説明した。さらに、シャープやソニーを中心とした大画面・フルHD液晶の台頭に対し、プラズマ陣営は60V型以上の超大画面で対抗し、高級機市場の確立を図っている、と述べた。
さらにパナソニック/シャープ/パイオニア/日立/ソニー/東芝/ビクターの7テレビメーカーの画づくりの特徴についてそれぞれ解説した。
続いて小原氏が「スリーピー・ホロウ」「フロム・ヘル」などのソフトを用い、ゲーテの最期の言葉「もっと光を!」になぞらえ、「もっと黒を!」と題し、暗部の表現に着目したクオリティチェックのポイントを挙げた。
同氏は現在のFPDについて、輝度は十分にあるので、今後は黒の表現を追究していくべきだと主張した。
最後に、村瀬氏を司会に据えてパネルディスカッションが行われた。以下に主な内容を掲載する。
村瀬 フルHDテレビに何を期待するか?
小原 なんといっても解像感を期待する。どれだけダイレクトにインパクトを与えてくれるかに注目している。動画解像度と階調表現に優れたものがよい。
藤原 スペックの数字だけが先行していて、実際視聴してみるとさほど実感がないものも多い。精度の高いI/P変換機能を持ったテレビを期待する。
山之内 フルHDは大スクリーンで視聴するには勿論素晴らしいが、50V型以下のテレビならばさほど必要性を感じない。SD画質でもフルHDとほぼ同等の画質が観られるところに注目して欲しい。また、現在主流であるSDソースを美しく観られることも大事なのではないか。いいスケーラーを入れてくれないと、せっかくのフルHDパネルの良さも活かせない。
村瀬 どのくらいのサイズが欲しいか。
小原 デスクトップに置ける20V型くらいのフルHDディスプレイが欲しい。昔で言うマスターモニターのFPD版のような感じだ。PCでの作業の合間に高精細な映像を観ることができたりするものがあったらいいと考える。ミニマムな高精細デスクトップシステムは、個人的にかなり欲しい。
藤原 ボケ感を払拭した37V型フルHDテレビがあったら是非欲しい。
村瀬 今後はどういう方向性のフルHDテレビが求められると考えているか?
山之内 2011年には地デジが始まるし、来年末にはSEDが登場する。3年後をターゲットに考えて画づくりをすると良いと考える。フルHD対応でないテレビは長期的にみればだんだん減っていくだろう。しかしSD画質のソースはずっと残っている。SDの映像資産をいかに美しく観るか、ということも考えて欲しい。
村瀬 現行のフルHD製品の黒表現に評価をつけるとしたらどのくらいか。
小原 今までは視聴してもどこかしらに不満の残る仕上がりのものが多かったが、回路の精度をアップしたおかげで、このところようやく買いたいものが出てきた、という感じだ。
セッション終了後、同会場では各社のFPDを展示してシュートアウトが行われた。パナソニックの65V型プラズマ「TH-65PZ2600」(製品データベース)やビクターの52V型リアプロ「HD-52MH700」(製品データベース)などが展示されており、大勢の人が足を止め、各製品の画質を見比べていた。
(Phile-web編集部)