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公開日 2009/01/12 11:40
最新ビデオカメラの動向を総ざらい − 北米でも顕著な「フルHD化」への流れ
会田肇のCES2009レポート
今年のCESほど、ビデオカメラ・メーカー各社の戦略に違いが出た年はなかったのではないか。これまではどのメーカーもほぼ横並びにフルラインナップを取り揃えることが多かった。しかし、それぞれのメーカーには得意分野があるわけで、消費者の目が肥えている状況の中で、無理してラインナップを取り揃えてもかえって弱点が見え隠れしてしまう。そんな現実を知ってか、今年は明らかにコンセプトの違うラインナップを用意し、それぞれの持ち味を活かした製品作りをする姿勢がはっきりと読み取れたのだ。
中でも持ちうる限りにダイナミックなパワーを見せつけたのがソニーである。昨年のCESでも大量のニューモデルを投入したが、今年も怒濤の13モデル+2モデルの計15モデルを新たにCES会場で発表。HD対応機からWebカメラに至るまで、隙間なくラインナップした。これによって、現在のトップシェアをより盤石なものにしようとする意志が感じられる。
搭載した新機能も目白押しだ。上位機種にはGPSによって撮影した場所をGoogleマップ上に表示できるようにし、映像面では低照度撮影での低ノイズ化や6枚絞りバネの採用によって画質へのこだわりを示した。さらにWebカメラとして誕生した「Webbie」も見逃せない。いわゆる米国を中心に急速にユーザーの裾野が広がっている“Webカメラ”とはいえ、スペック上は立派なHD(1440×1080/30P)ビデオカメラであることに確かだ。これらの緻密なソニーの隙間なし作戦には、トップシェアメーカーならではの意地がはっきりと読み取れる。
これを迎え撃つのはパナソニックやキヤノン、JVCの各社はどうか。パナソニックは、同社初となるメモリ内蔵モデルとなる「TMシリーズ」を新たにラインナップした。これにより、HD対応ビデオカメラはSDカード記録のSDシリーズ、SD+HD記録のHSシリーズと合わせ、計3つのシリーズが展開されることになった。なかでも注目すべきは、上位機種で305万画素×3にまで画素数アップを図り、解像度の面で大きな改善を図ったことだろう。これまでパナソニックのHD対応ビデオカメラは、3板式ならではの豊かな色再現性を確保していたものの、素子が持つ画素数の関係上、解像度の面でライバル機たちの後塵を拝していた面があった。今回のモデルチェンジによって、従来の劣勢を一気に挽回しようというわけだ。また、インターフェイスもタッチパネル方式を新採用し、ピントを合わせたい部分にタッチするだけで自動的にフォーカスする機能も搭載。さらに被写体の色を認識し、被写体が画面内を移動しても自動追従する「AF/AE Tracking」を採用している点もユーザーにとってメリットは大きいだろう。
キヤノンは昨年登場させた『ダブルメモリー』+『24Mbps記録』を踏襲したニューモデルを発表した。その中で上位モデルとして新登場したのが「HF Sシリーズ」の2モデルで、大型レンズを搭載しながら、撮像素子には新規開発の1/2.6インチ、8.9MピクセルのCMOSを採用。レンズ部分のデザイン面からも“撮る気”にさせる新シリーズとなり、ここにはカメラメーカーらしいこだわりを感じさせる。また、キヤノンも遅ればせながら顔認識機能に対応。これで人物を撮るときの露出面での対応が可能となった。HFシリーズ後継機としては、「HF20」「HF200」が登場した。HF20が内蔵メモリ32GBで、HF200が同スペックで内蔵メモリなしモデルとなる。レンズ倍率を光学15倍にまで拡大し、ボディをいっそうスリムにしたのが大きなポイントだ。
ビクター(JVC)はCES会場には出展せず、ラスベガスにあるホテルでの開催。そこで発表したのはスリムなボディと美しいボディカラーをラインナップしたHD対応機である。各社が数多くのラインナップを揃える中で、ユーザーに評価の高かったスリムボディのHD化を実現。カラーリングも3色を用意するなど、隙間的な展開ながらユーザーニーズの期待にしっかり応えていこうというわけだ。なかでも注目なのは、HDDモデル以外にJVC初となるSDカードのデュアルスロット機能を搭載したモデルの登場である。記録はAVCHDオンリーとし、レンズはコニカミノルタ製でF1.9、光学20倍ズームを採用。エンコーダも新規開発し、記録モードとしてキヤノンに続く24Mbps の「UXPモード」を記録モードに用意。汎用HDDなどにワンタッチ接続することで映像データの保存にも対応するなど、新規格への配慮も見せている。
その他で注目だったのはサムスンの64GB・SSDを内蔵したHD対応ビデオカメラ「HMX-H106」である。これだけ大容量の内蔵メモリを搭載したビデオカメラはもちろん世界初。SSDはHDDよりも起動時間が早い上に耐振性の高さも大きなポイントで、ここまで大容量化が実現すると機能面でHDDにこだわる必要はもうなくなる。あとは価格がいかほどで設定されるかにかかるだろう。ちなみにCES会場で価格について尋ねてみたが、市場にはまだ登場していないので答えられないとのことだった。ただ、海外でのサムスンの認知度は結構高く、使い勝手の上からもSSDを使ったHD対応ビデオカメラとして注目されるのは間違いない。
ここまで駆け足でCES2009で見たビデオカメラ各社の動向をレポートしたが、明らかなのはアメリカにおいても、もはやHD化の流れは止まらないということ。とくにWebカメラまでもHD化されている現状は、ビデオカメラにとって『HD』そのものがスタンダード化しつつある状況にあると言っていい。対応するPCの環境も着実に向上しており、今年はSDからHDへ実質的に大きく変わるターニングポイントとなるかもしれない。
中でも持ちうる限りにダイナミックなパワーを見せつけたのがソニーである。昨年のCESでも大量のニューモデルを投入したが、今年も怒濤の13モデル+2モデルの計15モデルを新たにCES会場で発表。HD対応機からWebカメラに至るまで、隙間なくラインナップした。これによって、現在のトップシェアをより盤石なものにしようとする意志が感じられる。
搭載した新機能も目白押しだ。上位機種にはGPSによって撮影した場所をGoogleマップ上に表示できるようにし、映像面では低照度撮影での低ノイズ化や6枚絞りバネの採用によって画質へのこだわりを示した。さらにWebカメラとして誕生した「Webbie」も見逃せない。いわゆる米国を中心に急速にユーザーの裾野が広がっている“Webカメラ”とはいえ、スペック上は立派なHD(1440×1080/30P)ビデオカメラであることに確かだ。これらの緻密なソニーの隙間なし作戦には、トップシェアメーカーならではの意地がはっきりと読み取れる。
これを迎え撃つのはパナソニックやキヤノン、JVCの各社はどうか。パナソニックは、同社初となるメモリ内蔵モデルとなる「TMシリーズ」を新たにラインナップした。これにより、HD対応ビデオカメラはSDカード記録のSDシリーズ、SD+HD記録のHSシリーズと合わせ、計3つのシリーズが展開されることになった。なかでも注目すべきは、上位機種で305万画素×3にまで画素数アップを図り、解像度の面で大きな改善を図ったことだろう。これまでパナソニックのHD対応ビデオカメラは、3板式ならではの豊かな色再現性を確保していたものの、素子が持つ画素数の関係上、解像度の面でライバル機たちの後塵を拝していた面があった。今回のモデルチェンジによって、従来の劣勢を一気に挽回しようというわけだ。また、インターフェイスもタッチパネル方式を新採用し、ピントを合わせたい部分にタッチするだけで自動的にフォーカスする機能も搭載。さらに被写体の色を認識し、被写体が画面内を移動しても自動追従する「AF/AE Tracking」を採用している点もユーザーにとってメリットは大きいだろう。
キヤノンは昨年登場させた『ダブルメモリー』+『24Mbps記録』を踏襲したニューモデルを発表した。その中で上位モデルとして新登場したのが「HF Sシリーズ」の2モデルで、大型レンズを搭載しながら、撮像素子には新規開発の1/2.6インチ、8.9MピクセルのCMOSを採用。レンズ部分のデザイン面からも“撮る気”にさせる新シリーズとなり、ここにはカメラメーカーらしいこだわりを感じさせる。また、キヤノンも遅ればせながら顔認識機能に対応。これで人物を撮るときの露出面での対応が可能となった。HFシリーズ後継機としては、「HF20」「HF200」が登場した。HF20が内蔵メモリ32GBで、HF200が同スペックで内蔵メモリなしモデルとなる。レンズ倍率を光学15倍にまで拡大し、ボディをいっそうスリムにしたのが大きなポイントだ。
ビクター(JVC)はCES会場には出展せず、ラスベガスにあるホテルでの開催。そこで発表したのはスリムなボディと美しいボディカラーをラインナップしたHD対応機である。各社が数多くのラインナップを揃える中で、ユーザーに評価の高かったスリムボディのHD化を実現。カラーリングも3色を用意するなど、隙間的な展開ながらユーザーニーズの期待にしっかり応えていこうというわけだ。なかでも注目なのは、HDDモデル以外にJVC初となるSDカードのデュアルスロット機能を搭載したモデルの登場である。記録はAVCHDオンリーとし、レンズはコニカミノルタ製でF1.9、光学20倍ズームを採用。エンコーダも新規開発し、記録モードとしてキヤノンに続く24Mbps の「UXPモード」を記録モードに用意。汎用HDDなどにワンタッチ接続することで映像データの保存にも対応するなど、新規格への配慮も見せている。
その他で注目だったのはサムスンの64GB・SSDを内蔵したHD対応ビデオカメラ「HMX-H106」である。これだけ大容量の内蔵メモリを搭載したビデオカメラはもちろん世界初。SSDはHDDよりも起動時間が早い上に耐振性の高さも大きなポイントで、ここまで大容量化が実現すると機能面でHDDにこだわる必要はもうなくなる。あとは価格がいかほどで設定されるかにかかるだろう。ちなみにCES会場で価格について尋ねてみたが、市場にはまだ登場していないので答えられないとのことだった。ただ、海外でのサムスンの認知度は結構高く、使い勝手の上からもSSDを使ったHD対応ビデオカメラとして注目されるのは間違いない。
ここまで駆け足でCES2009で見たビデオカメラ各社の動向をレポートしたが、明らかなのはアメリカにおいても、もはやHD化の流れは止まらないということ。とくにWebカメラまでもHD化されている現状は、ビデオカメラにとって『HD』そのものがスタンダード化しつつある状況にあると言っていい。対応するPCの環境も着実に向上しており、今年はSDからHDへ実質的に大きく変わるターニングポイントとなるかもしれない。