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公開日 2016/12/05 19:28
2chや5.1chで「高さ方向」も再現。DTSが新バーチャルサラウンド技術「DTS VIRTUAL:X」披露
少スピーカーでイマーシブオーディオ
DTS JAPANは、トップスピーカーやイネーブルドスピーカーを使わずにイマーシブオーディオを実現する、新たなポストプロセッシング技術「DTS VIRTUAL:X」の説明会を開催した。
説明会にはDTS JAPANの代表取締役である黒川剣氏、同社シニア・アプリケーション・エンジニアの山口博紀氏が登場。本技術の説明やデモンストレーションを行った。
「DTS VIRTUAL:X」は、DTSの最新ポストプロセッシング技術。サウンドバーやAVアンプによる5.1chスピーカーシステムなど、天井に設置するトップスピーカーや天井に音を反射させるイネーブルドスピーカーを持たない機器や環境において、高さ方向の音を再現するイマーシブオーディオを実現する。ポストプロセッシングの名が示すとおり、入力された信号に対して機器側で処理を行いイマーシブオーディオを実現する、いわゆるバーチャルサラウンドの一種と言える。なお、現時点で正式発表されておらず、来年1月開催のCESにて本格的なデモを実施予定とのこと。詳細もここで発表されるという。
DTS VIRTUAL:Xのコンセプトは、「イマーシブオーディオによる体験を、いかに少ないスピーカー数で実現させるか」であると黒川氏は説明する。
AVアンプはDTS:Xやドルビーアトモスといったイマーシブオーディオへの対応が一般的になっているが、天井にトップスピーカー設置することはやはりハードルが高い。また、サウンドバーでイマーシブオーディオに対応したモデルも登場し始めているが、高価で筐体サイズも大きく、導入へのハードルはやはり高いという。
また、サウンドバーもイネーブルドスピーカーも、天井に音を反射させて高さ方向の音を再現するため、天井の高さやコンディションによって再現される音が大きく左右されてしまう懸念があるとのこと。
そこで、5.1chや7.1chといったレガシーなスピーカー構成や、2.1chなどのサウンドバーなど、より多くのユーザーが導入している、あるいは導入しやすい環境でイマーシブオーディオを実現するべく、DTS VIRTUAL:Xは開発されたという。
DTS VIRTUAL:Xを楽しむためには、当然ながら対応するプロセッサーを搭載した機器が必要となるのだが、DTS VIRTUAL:Xの特徴として「処理が非常に軽い」ことが挙げられるという。オブジェクトベースとチャンネルベースのハイブリッドであるDTS:Xは、処理が重く大きなCPUパワーが必要になる。そのために安価なサウンドバーやホームシアターシステムには搭載しにくいという事情があった。一方で処理の軽いDTS VIRTUAL:Xであれば、エントリークラスのサウンドバーのようなより安価な製品でも搭載が可能だという。
また、DTS VIRTUAL:Xはあらゆる入力信号に対して適用が可能。例えばDTS:Xを再生した場合は、一度PCMへのデコードを行い、高さ方向を含む全ての信号からポストプロセッシングを実施。5.1信号や2ch信号に対しても、同様にPCMにデコードしてからポストプロセッシングを行う。そもそも高さ方向の信号を含んでいるDTS:Xやドルビーアトモス収録コンテンツであれば、より精度の高いプロセッシングが可能になるという。
ちなみに開発の背景には、DTS:X登場以降、各メーカーから「もっと手軽にイマーシブオーディオを楽しめるようにはならないのか」という要望が多数寄せられたことがあったという。
説明会が行われたdts本社の試聴室にて、実際にDTS VIRTUAL:Xのサウンドを確認することができた。現時点では搭載製品は存在しないため、AVアンプでデコードした信号をパソコンに入力、パソコン側でDTS VIRTUAL:Xのポストプロセッシングを行って、2.1chサウンドバーと、5.1chスピーカーと組み合わせたAVアンプへ入力するという方法がとられた。
まずは2.1chサウンドバー(パイオニア製の海外モデル)でDTS:Xのデモディスクに収録された「Gravity」を再生。サウンドバーは一般的なのテレビ台の高さに設置されている。DTS VIRTUAL:Xがオフの状態では音場は想像通り平板だが、オンにすると高さ方向の音が記者の頭の位置くらいにまで持ち上がり、奥行きは横方向にまで音場が広がる。7.1ch DTS-HDマスターオーディオ収録のBD『ジャングルブック』では、DTS VIRTUAL:Xの効果がさらに実感できる。天井から音が降ってくるとまではいかないが、主人公が大木を駆け上っていくシーンでは、壁にかけられた75型テレビの画面の上端くらいにまで、足音が展開する。
最も大きな効果を感じたのは、5.1chスピーカー+AVアンプの組み合わせだった。あらゆる信号に適用するということで“あえて”再生された、ドルビーアトモス収録BD『マッドマックス 怒りのデスロード』冒頭では、マックスの脳内に響く声が「あれ、天井のスピーカーから鳴っているのかな」と一瞬思わせるくらい、自然に上方から聞こえてきた。この場合は前述の通り、収録されている高さ方向の情報も含めてポストプロセッシングが行われていることも、良い方向に働いているようだ。
実際の製品への投入については、2017年夏くらいになるのではとのこと。なお、技術的には従来のDTS:X対応AVアンプをアップデートでVIRTUAL:Xに対応させることも可能だというが、このあたりはメーカーに委ねられるとのことだ。
今回はサウンドバーとAVアンプでのデモだったが、VIRTUAL:Xの薄型テレビへの対応も計画されているという。VIRTUAL:Xを用いれば、スピーカーが下向き、あるいは後ろ向きについたテレビでも、画面前方に音場をしっかりと定位させることが可能になるという。また、オートモーティブへの展開も検討しているとのこと。CPU負担が少ないことから、比較的安価な自動車への搭載も視野に入ってくるのではとのことだった。
さらなる詳細は2017年1月開催のCESで明らかになるとのこと。続報を期待したい。
説明会にはDTS JAPANの代表取締役である黒川剣氏、同社シニア・アプリケーション・エンジニアの山口博紀氏が登場。本技術の説明やデモンストレーションを行った。
「DTS VIRTUAL:X」は、DTSの最新ポストプロセッシング技術。サウンドバーやAVアンプによる5.1chスピーカーシステムなど、天井に設置するトップスピーカーや天井に音を反射させるイネーブルドスピーカーを持たない機器や環境において、高さ方向の音を再現するイマーシブオーディオを実現する。ポストプロセッシングの名が示すとおり、入力された信号に対して機器側で処理を行いイマーシブオーディオを実現する、いわゆるバーチャルサラウンドの一種と言える。なお、現時点で正式発表されておらず、来年1月開催のCESにて本格的なデモを実施予定とのこと。詳細もここで発表されるという。
DTS VIRTUAL:Xのコンセプトは、「イマーシブオーディオによる体験を、いかに少ないスピーカー数で実現させるか」であると黒川氏は説明する。
AVアンプはDTS:Xやドルビーアトモスといったイマーシブオーディオへの対応が一般的になっているが、天井にトップスピーカー設置することはやはりハードルが高い。また、サウンドバーでイマーシブオーディオに対応したモデルも登場し始めているが、高価で筐体サイズも大きく、導入へのハードルはやはり高いという。
また、サウンドバーもイネーブルドスピーカーも、天井に音を反射させて高さ方向の音を再現するため、天井の高さやコンディションによって再現される音が大きく左右されてしまう懸念があるとのこと。
そこで、5.1chや7.1chといったレガシーなスピーカー構成や、2.1chなどのサウンドバーなど、より多くのユーザーが導入している、あるいは導入しやすい環境でイマーシブオーディオを実現するべく、DTS VIRTUAL:Xは開発されたという。
DTS VIRTUAL:Xを楽しむためには、当然ながら対応するプロセッサーを搭載した機器が必要となるのだが、DTS VIRTUAL:Xの特徴として「処理が非常に軽い」ことが挙げられるという。オブジェクトベースとチャンネルベースのハイブリッドであるDTS:Xは、処理が重く大きなCPUパワーが必要になる。そのために安価なサウンドバーやホームシアターシステムには搭載しにくいという事情があった。一方で処理の軽いDTS VIRTUAL:Xであれば、エントリークラスのサウンドバーのようなより安価な製品でも搭載が可能だという。
また、DTS VIRTUAL:Xはあらゆる入力信号に対して適用が可能。例えばDTS:Xを再生した場合は、一度PCMへのデコードを行い、高さ方向を含む全ての信号からポストプロセッシングを実施。5.1信号や2ch信号に対しても、同様にPCMにデコードしてからポストプロセッシングを行う。そもそも高さ方向の信号を含んでいるDTS:Xやドルビーアトモス収録コンテンツであれば、より精度の高いプロセッシングが可能になるという。
ちなみに開発の背景には、DTS:X登場以降、各メーカーから「もっと手軽にイマーシブオーディオを楽しめるようにはならないのか」という要望が多数寄せられたことがあったという。
説明会が行われたdts本社の試聴室にて、実際にDTS VIRTUAL:Xのサウンドを確認することができた。現時点では搭載製品は存在しないため、AVアンプでデコードした信号をパソコンに入力、パソコン側でDTS VIRTUAL:Xのポストプロセッシングを行って、2.1chサウンドバーと、5.1chスピーカーと組み合わせたAVアンプへ入力するという方法がとられた。
まずは2.1chサウンドバー(パイオニア製の海外モデル)でDTS:Xのデモディスクに収録された「Gravity」を再生。サウンドバーは一般的なのテレビ台の高さに設置されている。DTS VIRTUAL:Xがオフの状態では音場は想像通り平板だが、オンにすると高さ方向の音が記者の頭の位置くらいにまで持ち上がり、奥行きは横方向にまで音場が広がる。7.1ch DTS-HDマスターオーディオ収録のBD『ジャングルブック』では、DTS VIRTUAL:Xの効果がさらに実感できる。天井から音が降ってくるとまではいかないが、主人公が大木を駆け上っていくシーンでは、壁にかけられた75型テレビの画面の上端くらいにまで、足音が展開する。
最も大きな効果を感じたのは、5.1chスピーカー+AVアンプの組み合わせだった。あらゆる信号に適用するということで“あえて”再生された、ドルビーアトモス収録BD『マッドマックス 怒りのデスロード』冒頭では、マックスの脳内に響く声が「あれ、天井のスピーカーから鳴っているのかな」と一瞬思わせるくらい、自然に上方から聞こえてきた。この場合は前述の通り、収録されている高さ方向の情報も含めてポストプロセッシングが行われていることも、良い方向に働いているようだ。
実際の製品への投入については、2017年夏くらいになるのではとのこと。なお、技術的には従来のDTS:X対応AVアンプをアップデートでVIRTUAL:Xに対応させることも可能だというが、このあたりはメーカーに委ねられるとのことだ。
今回はサウンドバーとAVアンプでのデモだったが、VIRTUAL:Xの薄型テレビへの対応も計画されているという。VIRTUAL:Xを用いれば、スピーカーが下向き、あるいは後ろ向きについたテレビでも、画面前方に音場をしっかりと定位させることが可能になるという。また、オートモーティブへの展開も検討しているとのこと。CPU負担が少ないことから、比較的安価な自動車への搭載も視野に入ってくるのではとのことだった。
さらなる詳細は2017年1月開催のCESで明らかになるとのこと。続報を期待したい。