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公開日 2017/05/08 16:01
4K有機EL BRAVIAは「テレビとしての究極形」。ソニー幹部が開発の狙いを語る
【実機動画レポート有り】
別項の通り、ソニーは4K HDR対応の有機ELテレビ“BRAVIA”「A1シリーズ」を発表。発表会ではソニー(株)執行役EVPでソニービジュアルプロダクツ(株)代表取締役社長の高木一郎氏と、ソニーマーケティング(株)代表取締役社長の河野弘氏が製品開発の背景や販売戦略を語った。
なおA1シリーズは65型の「KJ-65A1」と55型の「KJ-55A1」を6月10日に発売。65型が80万円前後、55型が50万円前後での販売が予想される。詳細は別項のニュース記事、および評論家の折原一也氏による速攻レビュー記事でいただきたい。また、下記はA1シリーズについての動画レポートだ。
発表会で最初に登壇した高木氏は、2012年の初代4Kモデル投入からの歴史を振り返り、高画質を軸に高付加価値化を推進してきたとコメント。4KおよびHDRへの取り組みで市場拡大にチャレンジしており、こうした結果、55インチ以上の大型テレビでは全世界で金額シェア3位、日本メーカーでは1位という高いシェアを獲得していることを紹介。「テレビ事業の収益は年々改善している」と語る。
そして、2001年に当時としては世界最大の13型フルカラー有機ELディスプレイの試作機を発表したこと、2007年に世界初の11型有機ELテレビ「XEL-1」を発売したことなど、ソニーとしての有機ELテレビへの取り組みの歴史を改めて紹介。「これまでの歴史と技術の蓄積があったからこそA1シリーズを産み出せた」とした。
また、「ソニーが培ってきた高画質技術をすべて組み合わせることで、究極のコントラスト表現を可能にした」と画質をアピールする一方で、音質面についても、サウンティーナなどのオーディオ製品で培った技術を惜しみなく投入したとコメント。2008年に発売した「XEL-1」欧州向けモデルで採用した「スクリーンフレームトゥイーター」で、すでに今回のA1シリーズにつながる画音一体への取り組みを行っていたことも紹介した。
A1シリーズの「アコースティックサーフェス」による音質面については、河野氏も「(前面に)スピーカー部分がなく、画面が一枚だけ。高画質が浮かんでいるようなたたずまいだ。映像と音が一体になって楽しめる、ある意味でテレビとしての究極形だ」とアピール。
「通常のテレビでは、大画面になるほどスピーカーと画面の距離が離れてしまう。しかしA1シリーズは画面そのものがスピーカーになるため、映像と音声の一体感が体験できる」と特徴を改めて説明した。
河野氏はまた、A1シリーズのこうした高画質・高音質によって没入感を高めることに加えて、Android TVによってテレビの新しい楽しみ方を提案することにも2017年にはチャレンジしていくと宣言。
同社の調査によれば、テレビがスマートフォンやインターネットと連動するようになったことで、テレビ視聴時間が以前よりも月10時間以上長くなっているとのことで、「新しいテレビの楽しみ方が生まれて定着しつつあると感じている」と河野氏は述べる。
そして、ブラビアはネットに接続して使っているユーザーが非常に多く、なかでも音声検索機能が特に活用されていると紹介。リモコンの音声検索ボタンの利用率は月平均46.2回とほぼ毎日使われているそうで、「今までのテレビとの接し方を受動的なものだとすれば、音声操作でコンテンツを積極的に検索するこうした動きは、テレビに対する能動的な付き合い方の現れだと受け止めている」とし、テレビの進化でユーザーの使い方にも変化が起きていると語った。
河野氏は、高画質化・高音質化での“圧倒的な”没入感の向上、およびスマートTV化での機能の進化という両方の軸によって、「テレビを見る」から「テレビを楽しむ」ものへと変えていきたいとコメント。新モデルの投入で「テレビの概念を変えていきたい」と語った。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.画質と音質での他社に対する優位点はどこにあるのか。
A.画質プロセッサーのX1 Extremeによって、輝度や解像感、色合い、全てに関して液晶モデルのフラグシップ機「Z9D」とほぼ同等の画質を実現している。他社との比較はぜひご自分で見ていただければわかっていただけると思う。音は没入感にこだわった。左右や下にスピーカーがあるタイプに比べて、画面のなかから音が定位するようなアルゴリズムを自社開発している。よって、画面のなかの人物がそこで話している声や音楽を再生できている点が他社との違いだと考えている。
Q.有機ELテレビ普及の課題をどう見ているか。
A.テレビの価値を再定義したいと話したが、いいものを楽しみたいという、テレビの価値を改めて提案していかなければならないと思っている。そのためにも、量販店店頭などでも、付加価値をしっかり届けられる取り組みをしていきたい。
Q.有機ELの国内市場の見通しについて聞きたい。また、A1シリーズの販売目標はどれくらいか。
A.個別モデルの目標台数などは開示していない。ただし今回のモデルは市場を広げる役割を担うと思っており、少しでも、新しい体験でもって市場が広がればいいのかなと思っている。なお、液晶が有機ELに取って代わられるというのではなく、現在の液晶の市場にプラスして、市場がどれくらい伸びるかということにチャレンジしていく。4Kテレビの伸びはやはり大型が牽引している。その牽引力になる商品だと位置づけている。
Q.液晶の「Z9D」、有機ELの「A1」と画質の上位モデルを展開しているが、ユーザーにとってどのような場合にどちらがオススメなのかを改めて聞きたい。
A.やはり台数的には90%以上は液晶モデルになるだろう。有機ELの良さは、コンテンツをいかに楽しめるかに集約される。自発光デバイスという特徴を活かした、映画やスポーツなどは有機ELのA1シリーズだろう。映画好き、スポーツ好きには有機ELがもっとも適している。その映像を活かす音声体験もようやくできあがった。
Q.他社からも参入が続いているが、量販店の売場づくりはどうしていくのか。
A.業界に必要なのは何かしらの活性剤。登場感のあるような展開をやろうと話している。「ちょっと見に行ってみようか」ということを演出できるような盛り上げ方をしていきたい。
Q.有機ELテレビの想定ターゲットをどこに置いているのか。高価格帯かと思うが、ここに特化していく狙いは。
A.高付加価値な機能や楽しみ方にお金を払っていただく、逆に言えばそれだけの価値を提供していくという、プレミアム戦略の一環だ。そうした価値を認めてもらえる製品に特化している。(A1シリーズの開発にあたっては)新しい価値を提供できるものがたくさんあるので、すべてを活かしたいと思った。ガラスを振動させて音を出すことは他社でもできるだろうが、きっちりとした音にするのは技術の蓄積がないとできない。結果として、Z9Dと同等のフラグシップモデルとして感動体験を提案できるものにできた。
Q.プレミアム戦略は今後も続けていくのか。それとも低価格化を実現できた際にはターゲットを広げていくのか。
A.基本戦略として、いたずらに数を追わないということでやっている。この3年は年間ほぼ1,200万台でやってきている。その1,200万台の内容について、より高付加価値のものに製品ミックスを変えていきたいという思いはある。自然なミックスの変化のなかで、しっかりと利益率を維持しながら市場拡大を狙えるという見通しがあれば戦略の自由度は広げていきたいが、基本的にはプレミアムな価値を提案していきたい。
Q.高木氏と河野氏の両方に聞きたい。Z9DとA1をもし自宅に置くとしたら、どちらを選ぶか。
A.
(高木)リビングにはZ9D、プラベートルームにA1を置いて、A1ではひとりで映画やスポーツを楽しみたい。特に映画は楽しみにしている。
(河野)私は2台持つ余裕がないので(笑)、A1を持ちたい。A1が持つ新しい提案の価値は非常に大きく、テレビの位置づけが変わってくると思っているためだ。
Q.今後の有機ELテレビの拡充方針を聞きたい。そして、それを実現するための課題をどう見ているのか。
A.具体的な商品戦略は差し控えたい。ただ、パネルは年々改良されているし、液晶テレビでは最近は各社とも2年に1回位はプロセッサーも新しくしている。有機ELもおそらく同じ流れだろう。今後は有機ELパネルの開発サイクルも早くなるだろう。2020年に向けて、パネルメーカーに対して国内メーカーからもいろんな要求が出るだろうし、確実に進化していくと見ている。
なおA1シリーズは65型の「KJ-65A1」と55型の「KJ-55A1」を6月10日に発売。65型が80万円前後、55型が50万円前後での販売が予想される。詳細は別項のニュース記事、および評論家の折原一也氏による速攻レビュー記事でいただきたい。また、下記はA1シリーズについての動画レポートだ。
発表会で最初に登壇した高木氏は、2012年の初代4Kモデル投入からの歴史を振り返り、高画質を軸に高付加価値化を推進してきたとコメント。4KおよびHDRへの取り組みで市場拡大にチャレンジしており、こうした結果、55インチ以上の大型テレビでは全世界で金額シェア3位、日本メーカーでは1位という高いシェアを獲得していることを紹介。「テレビ事業の収益は年々改善している」と語る。
そして、2001年に当時としては世界最大の13型フルカラー有機ELディスプレイの試作機を発表したこと、2007年に世界初の11型有機ELテレビ「XEL-1」を発売したことなど、ソニーとしての有機ELテレビへの取り組みの歴史を改めて紹介。「これまでの歴史と技術の蓄積があったからこそA1シリーズを産み出せた」とした。
また、「ソニーが培ってきた高画質技術をすべて組み合わせることで、究極のコントラスト表現を可能にした」と画質をアピールする一方で、音質面についても、サウンティーナなどのオーディオ製品で培った技術を惜しみなく投入したとコメント。2008年に発売した「XEL-1」欧州向けモデルで採用した「スクリーンフレームトゥイーター」で、すでに今回のA1シリーズにつながる画音一体への取り組みを行っていたことも紹介した。
A1シリーズの「アコースティックサーフェス」による音質面については、河野氏も「(前面に)スピーカー部分がなく、画面が一枚だけ。高画質が浮かんでいるようなたたずまいだ。映像と音が一体になって楽しめる、ある意味でテレビとしての究極形だ」とアピール。
「通常のテレビでは、大画面になるほどスピーカーと画面の距離が離れてしまう。しかしA1シリーズは画面そのものがスピーカーになるため、映像と音声の一体感が体験できる」と特徴を改めて説明した。
河野氏はまた、A1シリーズのこうした高画質・高音質によって没入感を高めることに加えて、Android TVによってテレビの新しい楽しみ方を提案することにも2017年にはチャレンジしていくと宣言。
同社の調査によれば、テレビがスマートフォンやインターネットと連動するようになったことで、テレビ視聴時間が以前よりも月10時間以上長くなっているとのことで、「新しいテレビの楽しみ方が生まれて定着しつつあると感じている」と河野氏は述べる。
そして、ブラビアはネットに接続して使っているユーザーが非常に多く、なかでも音声検索機能が特に活用されていると紹介。リモコンの音声検索ボタンの利用率は月平均46.2回とほぼ毎日使われているそうで、「今までのテレビとの接し方を受動的なものだとすれば、音声操作でコンテンツを積極的に検索するこうした動きは、テレビに対する能動的な付き合い方の現れだと受け止めている」とし、テレビの進化でユーザーの使い方にも変化が起きていると語った。
河野氏は、高画質化・高音質化での“圧倒的な”没入感の向上、およびスマートTV化での機能の進化という両方の軸によって、「テレビを見る」から「テレビを楽しむ」ものへと変えていきたいとコメント。新モデルの投入で「テレビの概念を変えていきたい」と語った。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.画質と音質での他社に対する優位点はどこにあるのか。
A.画質プロセッサーのX1 Extremeによって、輝度や解像感、色合い、全てに関して液晶モデルのフラグシップ機「Z9D」とほぼ同等の画質を実現している。他社との比較はぜひご自分で見ていただければわかっていただけると思う。音は没入感にこだわった。左右や下にスピーカーがあるタイプに比べて、画面のなかから音が定位するようなアルゴリズムを自社開発している。よって、画面のなかの人物がそこで話している声や音楽を再生できている点が他社との違いだと考えている。
Q.有機ELテレビ普及の課題をどう見ているか。
A.テレビの価値を再定義したいと話したが、いいものを楽しみたいという、テレビの価値を改めて提案していかなければならないと思っている。そのためにも、量販店店頭などでも、付加価値をしっかり届けられる取り組みをしていきたい。
Q.有機ELの国内市場の見通しについて聞きたい。また、A1シリーズの販売目標はどれくらいか。
A.個別モデルの目標台数などは開示していない。ただし今回のモデルは市場を広げる役割を担うと思っており、少しでも、新しい体験でもって市場が広がればいいのかなと思っている。なお、液晶が有機ELに取って代わられるというのではなく、現在の液晶の市場にプラスして、市場がどれくらい伸びるかということにチャレンジしていく。4Kテレビの伸びはやはり大型が牽引している。その牽引力になる商品だと位置づけている。
Q.液晶の「Z9D」、有機ELの「A1」と画質の上位モデルを展開しているが、ユーザーにとってどのような場合にどちらがオススメなのかを改めて聞きたい。
A.やはり台数的には90%以上は液晶モデルになるだろう。有機ELの良さは、コンテンツをいかに楽しめるかに集約される。自発光デバイスという特徴を活かした、映画やスポーツなどは有機ELのA1シリーズだろう。映画好き、スポーツ好きには有機ELがもっとも適している。その映像を活かす音声体験もようやくできあがった。
Q.他社からも参入が続いているが、量販店の売場づくりはどうしていくのか。
A.業界に必要なのは何かしらの活性剤。登場感のあるような展開をやろうと話している。「ちょっと見に行ってみようか」ということを演出できるような盛り上げ方をしていきたい。
Q.有機ELテレビの想定ターゲットをどこに置いているのか。高価格帯かと思うが、ここに特化していく狙いは。
A.高付加価値な機能や楽しみ方にお金を払っていただく、逆に言えばそれだけの価値を提供していくという、プレミアム戦略の一環だ。そうした価値を認めてもらえる製品に特化している。(A1シリーズの開発にあたっては)新しい価値を提供できるものがたくさんあるので、すべてを活かしたいと思った。ガラスを振動させて音を出すことは他社でもできるだろうが、きっちりとした音にするのは技術の蓄積がないとできない。結果として、Z9Dと同等のフラグシップモデルとして感動体験を提案できるものにできた。
Q.プレミアム戦略は今後も続けていくのか。それとも低価格化を実現できた際にはターゲットを広げていくのか。
A.基本戦略として、いたずらに数を追わないということでやっている。この3年は年間ほぼ1,200万台でやってきている。その1,200万台の内容について、より高付加価値のものに製品ミックスを変えていきたいという思いはある。自然なミックスの変化のなかで、しっかりと利益率を維持しながら市場拡大を狙えるという見通しがあれば戦略の自由度は広げていきたいが、基本的にはプレミアムな価値を提案していきたい。
Q.高木氏と河野氏の両方に聞きたい。Z9DとA1をもし自宅に置くとしたら、どちらを選ぶか。
A.
(高木)リビングにはZ9D、プラベートルームにA1を置いて、A1ではひとりで映画やスポーツを楽しみたい。特に映画は楽しみにしている。
(河野)私は2台持つ余裕がないので(笑)、A1を持ちたい。A1が持つ新しい提案の価値は非常に大きく、テレビの位置づけが変わってくると思っているためだ。
Q.今後の有機ELテレビの拡充方針を聞きたい。そして、それを実現するための課題をどう見ているのか。
A.具体的な商品戦略は差し控えたい。ただ、パネルは年々改良されているし、液晶テレビでは最近は各社とも2年に1回位はプロセッサーも新しくしている。有機ELもおそらく同じ流れだろう。今後は有機ELパネルの開発サイクルも早くなるだろう。2020年に向けて、パネルメーカーに対して国内メーカーからもいろんな要求が出るだろうし、確実に進化していくと見ている。