公開日 2013/06/11 14:41
富士フイルムとパナソニック、有機CMOSイメージセンサー技術を開発
ダイナミックレンジ拡大や感度アップなど実現
富士フイルムとパナソニックは、イメージセンサーの受光部に、光を電気信号に変換する機能を持つ有機薄膜を用いることで、従来のパナソニック製イメージセンサーを超える性能を実現する「有機CMOSイメージセンサー」技術を開発した。
本技術をデジタルカメラなどのイメージセンサーに使用することで、さらなるダイナミックレンジの拡大や感度アップなどを実現。明るいところで白飛びなく、暗い被写体でも鮮明で質感豊かな映像を可能にするという。
これまでパナソニックでは、同社の半導体デバイス技術を駆使してイメージセンサーの高画質化技術を磨いてきた。一方、富士フイルムは、受光部にシリコンフォトダイオードではなく、光の吸収係数が大きい高信頼性の有機薄膜を開発し、新しいイメージセンサーの技術構築を進めてきた。
今回、両社では富士フイルムの有機薄膜技術とパナソニックの半導体デバイス技術を融合して有機CMOSイメージセンサー技術を共同開発。今後、この有機CMOSイメージセンサー技術を、監視・車載カメラ、モバイル端末、デジタルカメラなど幅広い用途に提案していくとしている。
従来のイメージセンサーは、受光部のシリコンフォトダイオード、金属配線、カラーフィルター、オンチップマイクロレンズで構成されている。新開発の有機CMOSイメージセンサー技術では、シリコンフォトダイオードに代えて、光吸収係数が大きい有機薄膜を採用。シリコンフォトダイオードの数分の1である0.5ミクロンまで受光部の薄膜化を可能にした。
そしてパナソニックの半導体デバイス技術により、信号の飽和値を従来のイメージセンサーに比べ4倍に高め、さらにノイズを抑える回路を新開発することで、業界最高の88dBのダイナミックレンジを実現した。
さらにパナソニックの半導体デバイス技術で形成した、画素内のトランジスターや金属配線などの上に、富士フイルムの有機材料技術により開発した有機薄膜を積層。従来必要だった各画素での金属配線や遮光膜を不要とし、センサー面で受ける光を全て有機薄膜で受光できるようにしたことで、従来の約1.2倍の感度を実現した。
また、光吸収係数が大きい有機薄膜を富士フイルムが開発。前述のように受光部の有機薄膜の厚さをシリコンフォトダイオードの数分の1である0.5ミクロンまで薄膜化した。従来のシリコンフォトダイオードは、30〜40度程度に光線入射角が制限されていたが、有機CMOSイメージセンサー技術では、薄膜化により60度の広い入射光線範囲を実現させた。斜めから入射する光を効率良く利用でき、混色のない忠実な色再現性を可能にすると同時に、レンズの設計自由度が増し、カメラの小型化にも繋がるという。
加えて富士フイルムは、有機薄膜を保護する無機薄膜を成膜するプロセス技術を開発。有機薄膜への水分および酸素の浸入を阻止することで、性能劣化を防ぐことを可能にした。温度、湿度、電圧、光などのストレス印加による信頼性試験をクリアし、幅広い用途で有機CMOSイメージセンサーの利用が可能としている。
両社では、6月11日に京都で開催される「2013 Symposium on VLSI Technology (VLSI2013)」、ならびに6月15日に米国ユタ州で開催される「2013 International Image Sensor Workshop」にて本研究成果を発表する。
【問い合わせ先】
富士フイルム(株) R&D統括本部 先端コア技術研究所
TEL/0465-85-6533
パナソニック(株) オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 広報グループ
TEL/06-6904-4732
本技術をデジタルカメラなどのイメージセンサーに使用することで、さらなるダイナミックレンジの拡大や感度アップなどを実現。明るいところで白飛びなく、暗い被写体でも鮮明で質感豊かな映像を可能にするという。
これまでパナソニックでは、同社の半導体デバイス技術を駆使してイメージセンサーの高画質化技術を磨いてきた。一方、富士フイルムは、受光部にシリコンフォトダイオードではなく、光の吸収係数が大きい高信頼性の有機薄膜を開発し、新しいイメージセンサーの技術構築を進めてきた。
今回、両社では富士フイルムの有機薄膜技術とパナソニックの半導体デバイス技術を融合して有機CMOSイメージセンサー技術を共同開発。今後、この有機CMOSイメージセンサー技術を、監視・車載カメラ、モバイル端末、デジタルカメラなど幅広い用途に提案していくとしている。
従来のイメージセンサーは、受光部のシリコンフォトダイオード、金属配線、カラーフィルター、オンチップマイクロレンズで構成されている。新開発の有機CMOSイメージセンサー技術では、シリコンフォトダイオードに代えて、光吸収係数が大きい有機薄膜を採用。シリコンフォトダイオードの数分の1である0.5ミクロンまで受光部の薄膜化を可能にした。
そしてパナソニックの半導体デバイス技術により、信号の飽和値を従来のイメージセンサーに比べ4倍に高め、さらにノイズを抑える回路を新開発することで、業界最高の88dBのダイナミックレンジを実現した。
さらにパナソニックの半導体デバイス技術で形成した、画素内のトランジスターや金属配線などの上に、富士フイルムの有機材料技術により開発した有機薄膜を積層。従来必要だった各画素での金属配線や遮光膜を不要とし、センサー面で受ける光を全て有機薄膜で受光できるようにしたことで、従来の約1.2倍の感度を実現した。
また、光吸収係数が大きい有機薄膜を富士フイルムが開発。前述のように受光部の有機薄膜の厚さをシリコンフォトダイオードの数分の1である0.5ミクロンまで薄膜化した。従来のシリコンフォトダイオードは、30〜40度程度に光線入射角が制限されていたが、有機CMOSイメージセンサー技術では、薄膜化により60度の広い入射光線範囲を実現させた。斜めから入射する光を効率良く利用でき、混色のない忠実な色再現性を可能にすると同時に、レンズの設計自由度が増し、カメラの小型化にも繋がるという。
加えて富士フイルムは、有機薄膜を保護する無機薄膜を成膜するプロセス技術を開発。有機薄膜への水分および酸素の浸入を阻止することで、性能劣化を防ぐことを可能にした。温度、湿度、電圧、光などのストレス印加による信頼性試験をクリアし、幅広い用途で有機CMOSイメージセンサーの利用が可能としている。
両社では、6月11日に京都で開催される「2013 Symposium on VLSI Technology (VLSI2013)」、ならびに6月15日に米国ユタ州で開催される「2013 International Image Sensor Workshop」にて本研究成果を発表する。
【問い合わせ先】
富士フイルム(株) R&D統括本部 先端コア技術研究所
TEL/0465-85-6533
パナソニック(株) オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 広報グループ
TEL/06-6904-4732