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タコは非常に優れた擬態能力、高い知能、そして人をはるかに超える複雑な遺伝子を持っている。ヒトの遺伝子の数は2万5000以下だが、それに対してタコは約3万3000もの遺伝子を持っている。これは2015年発表の研究において判明したもので、半ば本気で地球外を起源とする生物ではないかとの意見もささやかれていた。
そして、新たに発表されたタコの脳に関する研究論文では、研究者らが理解できない複雑な脳波信号がタコの脳から発せられているのがわかったという。
Current Biology誌に掲載されたこの研究では、最大12時間にわたりタコの脳活動を記録できるデータロガーと電極をワモンダコの脳に埋め込んだ。タコはその器用な足で、体に取り付けられた異物を取り除けるため、足の届かないところに装置を埋め込む必要があった。そこで研究者らは、自由に空を飛び回る鳥の脳活動を記録するために設計されたデータロガーと電極を用いて、タコの体内に埋め込める大きさのプラスチックチューブを作って使うことにした。
問題はその装置を埋め込む場所だ。タコには頭蓋骨がないが、脳は軟骨でできたカプセルのようなものに包まれている。その脳に電極を取り付けるため、研究者は麻酔をかけたタコの胴体(外観上は頭に見えるところ)の筋肉壁にある空洞内にデータロガー部を埋め込み、電極はタコの脳の垂直葉と、中央上前頭葉に埋め込んだ。この領域は、視覚学習や記憶などの脳プロセスにも重要であると考えられている。
こうして、研究者らはタコの明確な脳波を記録し調べることが可能になり、その脳波からは人間の脳活動に似ている様子が確認された。しかし研究者が困惑したのは、タコの脳活動は行動とまったく関連していない部分がたくさんあり、パターンが人や哺乳類とはまったく違うばかりか、過去の科学的な文献には見つけられないものもあったというところだった。
この謎のパターンが何を意味しているのかは、まだわかっていない。電極を取り付けた位置はタコが何らかの学習や記憶を扱った作業をするときに使う領域とのことだが、研究者いわくその最中にタコがなにかを学び、なにか暗記しようとしているようには見えなかったとのことだ。もちろん、研究者が実験中にタコにハチマキを巻いて、何かを勉強させようとしたわけでもない。結局、研究者はこれらの脳活動パターンを特定の行動に結び付けることができなかったという。
とはいえ研究者らは、この結果はまったく驚くものでないとし、「これは学習と記憶に関連する領域であるため、この回路を調べるには、タコに繰り返し記憶作業を行わせる必要がある。それは今後すぐにでも、われわれが実施したいことでもある」と説明した。また別の研究者は「これは非常に重要な研究ですが、あくまで最初のステップに過ぎない」「タコはとても賢い生き物だが、いまのところは彼らの脳の働きについてはほとんどわかっていない。今回の実験手法は、タコが特定のタスクを実行しているときに、その脳が何をしているかを覗き込めるようになったことを意味する」と述べ、今後のさらなる研究に期待を持たせている。
Source: Current Biology
via: OIST, EurekAlert
そして、新たに発表されたタコの脳に関する研究論文では、研究者らが理解できない複雑な脳波信号がタコの脳から発せられているのがわかったという。
Current Biology誌に掲載されたこの研究では、最大12時間にわたりタコの脳活動を記録できるデータロガーと電極をワモンダコの脳に埋め込んだ。タコはその器用な足で、体に取り付けられた異物を取り除けるため、足の届かないところに装置を埋め込む必要があった。そこで研究者らは、自由に空を飛び回る鳥の脳活動を記録するために設計されたデータロガーと電極を用いて、タコの体内に埋め込める大きさのプラスチックチューブを作って使うことにした。
問題はその装置を埋め込む場所だ。タコには頭蓋骨がないが、脳は軟骨でできたカプセルのようなものに包まれている。その脳に電極を取り付けるため、研究者は麻酔をかけたタコの胴体(外観上は頭に見えるところ)の筋肉壁にある空洞内にデータロガー部を埋め込み、電極はタコの脳の垂直葉と、中央上前頭葉に埋め込んだ。この領域は、視覚学習や記憶などの脳プロセスにも重要であると考えられている。
こうして、研究者らはタコの明確な脳波を記録し調べることが可能になり、その脳波からは人間の脳活動に似ている様子が確認された。しかし研究者が困惑したのは、タコの脳活動は行動とまったく関連していない部分がたくさんあり、パターンが人や哺乳類とはまったく違うばかりか、過去の科学的な文献には見つけられないものもあったというところだった。
この謎のパターンが何を意味しているのかは、まだわかっていない。電極を取り付けた位置はタコが何らかの学習や記憶を扱った作業をするときに使う領域とのことだが、研究者いわくその最中にタコがなにかを学び、なにか暗記しようとしているようには見えなかったとのことだ。もちろん、研究者が実験中にタコにハチマキを巻いて、何かを勉強させようとしたわけでもない。結局、研究者はこれらの脳活動パターンを特定の行動に結び付けることができなかったという。
とはいえ研究者らは、この結果はまったく驚くものでないとし、「これは学習と記憶に関連する領域であるため、この回路を調べるには、タコに繰り返し記憶作業を行わせる必要がある。それは今後すぐにでも、われわれが実施したいことでもある」と説明した。また別の研究者は「これは非常に重要な研究ですが、あくまで最初のステップに過ぎない」「タコはとても賢い生き物だが、いまのところは彼らの脳の働きについてはほとんどわかっていない。今回の実験手法は、タコが特定のタスクを実行しているときに、その脳が何をしているかを覗き込めるようになったことを意味する」と述べ、今後のさらなる研究に期待を持たせている。
Source: Current Biology
via: OIST, EurekAlert