公開日 2010/04/23 10:00
ポータブルメディアプレーヤー“第3の選択肢”を探せ − COWON「V5」の実力とは
HD動画も再生可能
ポータブルメディアプレーヤーの代名詞的存在で、市場シェアNo.1の製品といえば、言わずと知れたアップルのiPodシリーズ。国内ではソニーのウォークマンシリーズがそれに続く大きなシェアを確保しており、国内市場はこの2シリーズで占められていると言っても過言ではない。
iPodはiTunesも含めた総合的な使いやすさが強みだ。一方のウォークマンもノイズキャンセル機能や日本市場に合わせた細部の作り込みなどの強みを持っている。
しかしどのような製品でも、搭載する機能や仕様の取捨選択は行われている。iPodやウォークマンで切り捨てられている機能・仕様が必要で、その受け皿となる製品をお探しの方も多いことだろう。今回はその受け皿になり得る製品のひとつとして、COWONのプレーヤー「COWON V5」を紹介しよう。
■COWON V5のプロフィール
COWONは韓国に本拠を置くデジタル機器メーカーで、携帯プレーヤーを事業の柱としている。製品は日本法人であるコウォンジャパンによって国内にも導入されており、大手家電量販店などで購入できる。
今回ピックアップしたV5は現在のポータブルメディアプレーヤーらしいスタイル、すなわちタッチパネルによるインターフェースを備えており、同社ラインナップの中でも注目モデルだ。Windows 7/Vista/XP/2000/Meはすべての機能に対応し、Mac OS 10以上とLinux v2.4以上の場合はファイル転送のみが行える。
サイズや重さの感触はニンテンドーDS Liteに近い、といえばイメージが伝わるだろうか。ポータブルメディアプレーヤーとしてはやや大柄だ。
ただしその分ディスプレイは4.8型と大型で、解像度も800×480と高い。さらにはHDMI出力まで備えており、動画再生プレーヤーとして高い能力を備えている。内蔵メモリーは8GB/16GB/32GBの3タイプを用意しており、SDメモリーカードによって容量の拡張も可能だ。
さらにWindows CEベースで動作している本機は、独自のGUIを抜けてWindows機としても使用することができる。非常に多機能なので、もはやポータブルメディアプレーヤーと言う枠を飛び越えている。いま話題を席巻しているスレート型デバイスをさらに小型化したような、新タイプのデバイスという印象だ。
■動画再生能力を検証 − 大型画面と対応ファイルの多さが特長
まず本機の最大の特長である動画再生能力について、その性能を検証していこう。
注目したいのが、その画面の大きさと解像度の高さだ。他社の主なポータブルメディアプレーヤーの画面サイズと解像度は、iPod touch/iPhoneが3.5型で480×320ドット、ウォークマンのフラグシップモデルであるXシリーズが3.0型の432×240ドット、そしてPSP-3000が480×272ドット。対するV5は4.8型の800×480ドットで、その性能が飛び抜けていることがわかるだろう。
再生対応形式の多さも群を抜く。AVI(DivX/XviD)/WMV/ASF/MP4/MKV/MPG/MPEG/DAT/TS/TP/TRP/M2TS/3GPなどが公式に対応しているファイル形式で、最大1,280×720の高解像度ファイルが再生できる点も特筆できる。さらに形式と解像度の制限がさほど厳しくないため、上記以外の形式でも、PCで再生しているファイルをそのまま転送して再生できる場合がある。
通勤や通学時などで、iPodやウォークマン、あるいはPSPなどに転送した動画コンテンツなどを視聴しているという方も多いだろう。PCでダウンロードしたり、録画したファイルをそのまま再生できたら、エンコードにかける手間と時間が不要になり、これはユーザーメリットに直結する。
実際に試してみよう。今回のテストでは、元ソースとしてパナソニックの「DMC-GH1」で撮影した1,280×720/60pのAVCHD映像を使用した。まずPC経由で取り込んだMTSファイルをそのまま再生できないかと思い、V5に転送してみたが、さすがに対応していないファイルだけに、ファイルそのものが表示されなかった。なお本機が非対応のファイル形式や規格外のファイルについては、Windowsで動作するバンドルソフト「JetAudio」で再生できる形式に変換することも可能なのでご安心を。
次に、AVCHD映像をH.264のMKVファイルに変換してみた。解像度とフレームレートはそのままで、1,280×720/60pだ。ポータブルメディアプレーヤーにとってはかなり高負荷のファイルだが、再生ボタンを押すとあっけなく表示が開始され、拍子抜けしてしまった。コマ落ちなども全く起きず、画面をタップしてフルスクリーン再生すると、800×480ドットの高解像度画面の恩恵が強く感じられる。
続いて同じくH.264で、720×400ドットのm4vファイルに変換した。いわゆるApple Universal形式なのだが、フレームレートはあえて60pのままにした。当然、V5はこのファイルも難なく再生する。なお、この解像度の場合、フルスクリーン表示ではスケーリングして表示していることになるが、細密感は損なわれていない。スケーラーの性能も優秀なようだ。
ほかの機種ではどうだろうと、iPhone 3GSに転送してみようとしたが、iTunesで対応していないファイルである旨のエラーが表示され、転送することはできなかった。iPhone 3GS/iPod touchは640×480ピクセル、30フレームまでの映像にしか対応していないので、これは当然といえば当然だ。あるいはビットレートが高すぎたのかもしれない。
付け加えておくと、iPhone 3GSで再生を確認した480×272ドットのmp4ファイルも30p/60pの2種類を生成し、V5で再生してみたが、もちろんこれらも何の問題もなく再生できた。
公式には対応していないVOBやFLVファイルはどうか。様々なファイルを試してみたら、一部は再生することができた。解像度やビットレート、動画圧縮フォーマットなどによって、再生できるかどうかは「やってみなければ分からない」というのが率直なところだが、使っているうちに、どんなファイルなら再生できるか、ある程度見極めることができるようになるだろう。
■解像度が高く自然な色合い、動画プレーヤーとしての実力は高い
液晶ディスプレイの画面の大きさと解像度の高さについてはすでに触れたが、スペック上の数値が高いだけでなく、実際の映像を見てみても、精細感が非常に高く、ディテールの隅々まで見渡せるのは実に気分が良い。発色も鮮やかで、なおかつ色合いも自然な印象だ。
同じファイルで見比べても、iPhone 3GSでは白茶けた印象になってしまうシーンでも、V5では非常に鮮明な映像を再現する。白が飽和したり色乗りが良すぎるといった不自然な画作りではなく、良い意味で節度のある、コンテンツのポテンシャルをそのまま引き出すクリーンな画質傾向であるのが好ましい。
また青空などは、通常はグラデーションの部分に不自然な縞模様(バンディング)が現れるプレーヤーが多いのだが、本機はパネル性能が高いためか、難しい階調処理もしっかりとこなし、自然な映像として再現できている。外出先での動画視聴を頻繁に行う方なら、この画質が手に入るというだけでも、本機を導入する価値があると思う。
本機をの利用シーンは外出先だけにとどまらない。別売りのオプションである専用のHDMIケーブルを購入すれば、本機からテレビへHDMI出力することが可能なのだ。HD映像を本機に入れておけば、大画面テレビで思う存分その画質を堪能できるということになる。HDMIケーブルは直販サイト価格で1,900円(税込)と比較的安価なので、同時購入すると良いだろう。
動画再生を行う際に重要となるバッテリー持続時間についても触れておきたい。今回のテストでは様々な動画を再生したのだが、V5は驚くほどバッテリーが減らないのだ。公称数値では約10時間の連続再生が可能ということだが、これは決して大げさではないと実感させられた。国内出張程度なら、往復や宿泊先で好みの動画を見続けても、充電の必要がないケースがほとんどだろう。
なお、後述する音楽再生の場合は約45時間の連続再生が可能なので、たとえば通勤時間が1時間の方が往復の電車で音楽を聴いたとして、20日程度は充電せずに済むことになる。この高いスタミナ性能がどれほど便利なものか、ポータブルメディアプレーヤーを使っている方ならすぐにおわかりいただけるはずだ。
iPodはiTunesも含めた総合的な使いやすさが強みだ。一方のウォークマンもノイズキャンセル機能や日本市場に合わせた細部の作り込みなどの強みを持っている。
しかしどのような製品でも、搭載する機能や仕様の取捨選択は行われている。iPodやウォークマンで切り捨てられている機能・仕様が必要で、その受け皿となる製品をお探しの方も多いことだろう。今回はその受け皿になり得る製品のひとつとして、COWONのプレーヤー「COWON V5」を紹介しよう。
■COWON V5のプロフィール
COWONは韓国に本拠を置くデジタル機器メーカーで、携帯プレーヤーを事業の柱としている。製品は日本法人であるコウォンジャパンによって国内にも導入されており、大手家電量販店などで購入できる。
今回ピックアップしたV5は現在のポータブルメディアプレーヤーらしいスタイル、すなわちタッチパネルによるインターフェースを備えており、同社ラインナップの中でも注目モデルだ。Windows 7/Vista/XP/2000/Meはすべての機能に対応し、Mac OS 10以上とLinux v2.4以上の場合はファイル転送のみが行える。
サイズや重さの感触はニンテンドーDS Liteに近い、といえばイメージが伝わるだろうか。ポータブルメディアプレーヤーとしてはやや大柄だ。
ただしその分ディスプレイは4.8型と大型で、解像度も800×480と高い。さらにはHDMI出力まで備えており、動画再生プレーヤーとして高い能力を備えている。内蔵メモリーは8GB/16GB/32GBの3タイプを用意しており、SDメモリーカードによって容量の拡張も可能だ。
さらにWindows CEベースで動作している本機は、独自のGUIを抜けてWindows機としても使用することができる。非常に多機能なので、もはやポータブルメディアプレーヤーと言う枠を飛び越えている。いま話題を席巻しているスレート型デバイスをさらに小型化したような、新タイプのデバイスという印象だ。
■動画再生能力を検証 − 大型画面と対応ファイルの多さが特長
まず本機の最大の特長である動画再生能力について、その性能を検証していこう。
注目したいのが、その画面の大きさと解像度の高さだ。他社の主なポータブルメディアプレーヤーの画面サイズと解像度は、iPod touch/iPhoneが3.5型で480×320ドット、ウォークマンのフラグシップモデルであるXシリーズが3.0型の432×240ドット、そしてPSP-3000が480×272ドット。対するV5は4.8型の800×480ドットで、その性能が飛び抜けていることがわかるだろう。
再生対応形式の多さも群を抜く。AVI(DivX/XviD)/WMV/ASF/MP4/MKV/MPG/MPEG/DAT/TS/TP/TRP/M2TS/3GPなどが公式に対応しているファイル形式で、最大1,280×720の高解像度ファイルが再生できる点も特筆できる。さらに形式と解像度の制限がさほど厳しくないため、上記以外の形式でも、PCで再生しているファイルをそのまま転送して再生できる場合がある。
通勤や通学時などで、iPodやウォークマン、あるいはPSPなどに転送した動画コンテンツなどを視聴しているという方も多いだろう。PCでダウンロードしたり、録画したファイルをそのまま再生できたら、エンコードにかける手間と時間が不要になり、これはユーザーメリットに直結する。
実際に試してみよう。今回のテストでは、元ソースとしてパナソニックの「DMC-GH1」で撮影した1,280×720/60pのAVCHD映像を使用した。まずPC経由で取り込んだMTSファイルをそのまま再生できないかと思い、V5に転送してみたが、さすがに対応していないファイルだけに、ファイルそのものが表示されなかった。なお本機が非対応のファイル形式や規格外のファイルについては、Windowsで動作するバンドルソフト「JetAudio」で再生できる形式に変換することも可能なのでご安心を。
次に、AVCHD映像をH.264のMKVファイルに変換してみた。解像度とフレームレートはそのままで、1,280×720/60pだ。ポータブルメディアプレーヤーにとってはかなり高負荷のファイルだが、再生ボタンを押すとあっけなく表示が開始され、拍子抜けしてしまった。コマ落ちなども全く起きず、画面をタップしてフルスクリーン再生すると、800×480ドットの高解像度画面の恩恵が強く感じられる。
続いて同じくH.264で、720×400ドットのm4vファイルに変換した。いわゆるApple Universal形式なのだが、フレームレートはあえて60pのままにした。当然、V5はこのファイルも難なく再生する。なお、この解像度の場合、フルスクリーン表示ではスケーリングして表示していることになるが、細密感は損なわれていない。スケーラーの性能も優秀なようだ。
ほかの機種ではどうだろうと、iPhone 3GSに転送してみようとしたが、iTunesで対応していないファイルである旨のエラーが表示され、転送することはできなかった。iPhone 3GS/iPod touchは640×480ピクセル、30フレームまでの映像にしか対応していないので、これは当然といえば当然だ。あるいはビットレートが高すぎたのかもしれない。
付け加えておくと、iPhone 3GSで再生を確認した480×272ドットのmp4ファイルも30p/60pの2種類を生成し、V5で再生してみたが、もちろんこれらも何の問題もなく再生できた。
公式には対応していないVOBやFLVファイルはどうか。様々なファイルを試してみたら、一部は再生することができた。解像度やビットレート、動画圧縮フォーマットなどによって、再生できるかどうかは「やってみなければ分からない」というのが率直なところだが、使っているうちに、どんなファイルなら再生できるか、ある程度見極めることができるようになるだろう。
■解像度が高く自然な色合い、動画プレーヤーとしての実力は高い
液晶ディスプレイの画面の大きさと解像度の高さについてはすでに触れたが、スペック上の数値が高いだけでなく、実際の映像を見てみても、精細感が非常に高く、ディテールの隅々まで見渡せるのは実に気分が良い。発色も鮮やかで、なおかつ色合いも自然な印象だ。
同じファイルで見比べても、iPhone 3GSでは白茶けた印象になってしまうシーンでも、V5では非常に鮮明な映像を再現する。白が飽和したり色乗りが良すぎるといった不自然な画作りではなく、良い意味で節度のある、コンテンツのポテンシャルをそのまま引き出すクリーンな画質傾向であるのが好ましい。
また青空などは、通常はグラデーションの部分に不自然な縞模様(バンディング)が現れるプレーヤーが多いのだが、本機はパネル性能が高いためか、難しい階調処理もしっかりとこなし、自然な映像として再現できている。外出先での動画視聴を頻繁に行う方なら、この画質が手に入るというだけでも、本機を導入する価値があると思う。
本機をの利用シーンは外出先だけにとどまらない。別売りのオプションである専用のHDMIケーブルを購入すれば、本機からテレビへHDMI出力することが可能なのだ。HD映像を本機に入れておけば、大画面テレビで思う存分その画質を堪能できるということになる。HDMIケーブルは直販サイト価格で1,900円(税込)と比較的安価なので、同時購入すると良いだろう。
動画再生を行う際に重要となるバッテリー持続時間についても触れておきたい。今回のテストでは様々な動画を再生したのだが、V5は驚くほどバッテリーが減らないのだ。公称数値では約10時間の連続再生が可能ということだが、これは決して大げさではないと実感させられた。国内出張程度なら、往復や宿泊先で好みの動画を見続けても、充電の必要がないケースがほとんどだろう。
なお、後述する音楽再生の場合は約45時間の連続再生が可能なので、たとえば通勤時間が1時間の方が往復の電車で音楽を聴いたとして、20日程度は充電せずに済むことになる。この高いスタミナ性能がどれほど便利なものか、ポータブルメディアプレーヤーを使っている方ならすぐにおわかりいただけるはずだ。