公開日 2012/08/01 00:36
エソテリックのクロックジェネレーター「G-01」「G-02」登場
■表現力に優れたプレーヤーに向けた最新のクロックジェネレーター
CDプレーヤーであれば、クロック回路を持っていない製品はない。特にエソテリックのK-01やK-03のような贅を尽くした一体型プレーヤーであれば、高い精度の黒く回路を搭載している。具体的に言えば、VCXO(電圧制御型推奨発振器)であり、しかもそこにクロック専用の安定化電源回路を持っているほどの念の入れようだ。その向上出荷時の精度は±0.5ppmであるという。
にもかかわらず、単体のマスタークロックジェネレーターが世の中には存在し、エソテリックブランドにもラインナップされている。もちろん、ひとえに音のためだ。クロックの精度を高めることによって、音像のフォーカスや音場空間の拡大、あるいは音の立ち上がる瞬間の情報量は増大する。
と同時に、音楽的表現力も変化する。どう変化するのか?この疑問に焦点を当てつつこの文章全体を書き進めたいのだが、ひとつポイントとしてあるのは、K-01/03から始まった、エソテリックの新しい世代の音楽表現力の存在だ。
ハイエンド方向ではSACD/CDトランスポート0-02、DAコンバーターD-02によって昇華し、そのエッセンスを注入されたK-05/07と展開している芳醇とも言えるような音楽表現力に対して、どのようにクロックジェネレーターが働きかけるのか。
考えてみれば、K-01/03以降、初めて登場してきたマスタークロックジェネレーターがG-02とG-01だからだ。
■ルビジウム発振器とこだわりにより最強モデルとして登場した最上位機「G-01」
G-01は、ポジショニング的には2007年3月に発売されたG-0Rbの後継機種であり、最上位の製品だ。その概要をまとめておこう。
心臓部にはオーディオ用クロックとして理想的な安定性を誇る、アメリカ製のルビジウム発振器を使用。さらに音質と安定度の観点から品質管理を施した特別仕様のものを採用している。周波数精度としては±0.05ppb。つまりppmに換算すると±0.00005ppmというケタ違いの精度を持った発振器をベースに、オーディオ用コンポーネントとして隙のない構成を取っている。
この制度自体はG-0Rbと同じだが、それだけでクロックジェネレーターのオーディオ的性能や音色的表現力は決まらない。心臓部である発振器自体の性能が大事なのはもちろんだが、それを出力する部分の構成であったり、電源部であったりというのが再生音にとって大切な要素になっている。
クロックジェネレーターは、超高速で安定したデジタル波形を出力しなければいけないが、以前のモデルであればICチップを採用したデジタル波形を出力しなければいけないが、以前のモデルであればICチップを採用していた部分をG-01では高速トランジスタを使ったディスクリート回路で新しく設計しなおしている。また、そうした出力のベースとなる電源部も徹底的な設計が施されている。
回路ブロックごとに専用の電源回路を持たせるべく、合計15個もの電源レギュレーターを使用。これによって回路ブロック同士の相互干渉を最小にしている。また、ロスや磁束の漏れの少ない大型のトロイダルトランスの存在も大きい。
そして、コンデンサーを複数組み合わせ、ショットキーバリアダイオードを採用した平滑回路によって、高速なデジタル処理にも俊敏に反応し、オーディオコンポーネントとしての高い基礎体力を誇っている。
また、多彩な出力を持っていることもこのG-01の特色だ。A/B/C3系統(それぞれ2端子)の出力を持ち、そのそれぞれが別の周波数を出力することが可能。周波数系列としては、100kHzと10MHzの他、基本となる44.1kHz/48kHzの1、2、4、512倍(つまり、22.5792MHz/24.576MHz)。さらに周波数拡張モード(EXPモード)によって、8、16、32、128、256倍のクロック周波数出力に対応している。
ちなみに、いま紹介した周波数の波形は短形波だが、正弦波(サイン波)の10MHzも出力できて、しかもそれは専用の出力端子を持っている。これは専用のディスクリート出力ドライバー、専用電源回路を持たせたもので、個別にON/OFFすることもできる。
結果として、業務用機器を含む、極めて幅広い機器へクロック出力を供給できる一方、単純に周波数の数字の大きさだけでは語れない、音色訴求、音楽表現の道具としての側面も充実していると言える。
また、GPSクロックなどを接続して、外部から10MHz/1ppsの基準信号も入力できるのも実にマニアックな装備だ。そのままクロック発振のマスターとしても使えるし、内蔵するルビジウムの発信と同期させるやりかたも選べる。
G-01はG-0Rbの後継機種とはいえ、かなりの部分を新しく設計し直しているマスタークロックジェネレーターだ。
■G-03Xの後継となる中堅モデル「G-02」
G-01に先立って発売されたのがG-02だ。G-03Xの後継機種にあたる。心臓部にはオーディオ用クロックとして高い安定性を誇る水晶発振器(OCXO)を採用。OCXOは、Oven Controllde Crystal Osillatorのことで、内部温度を一定に保つオーブンに水晶振動子と発振回路を内蔵する構造だ。外部温度がマイナス20度から70度までという、相当に厳しい条件下で±0.01ppmという精度を確保している。
また10MHzクロックや同社の「ダイレクト・マスタークロックLINK」に対応した22.5792MHz/24.576MHzの出力が可能なのもうれしい。また、外部からの10MHzの基準信号を入力できる端子を備え、ルビジウムクロックやGPSクロックなどを接続。さらにシステムアップすることも可能だ。
と、紹介していくと、設計思想については上位機のG-01と同様のことが多い。さすがにG-01のように15個もの電源レギュレーターは持っていないが、回路ブロックごとに専用電源回路を搭載し、ブロック同士の相互干渉を最小にするデザインになっている。G-01、G−02に共通して、デジタルプレーヤーでも使われている肉厚のアルミシャーシを採用。上から見たカタチは共通で厚みだけが違う形状だが、クロック精度に影響を与えるミクロ単位の振動に対処している。
クロックジェネレーターというと、精度だけを追求する計測機器のようなイメージを持っている方がいるかもしれないが、再生音に与える役割としては紛れもないオーディオコンポーネントだ。こうしたボディ全体のコンストラクションからエレクトロニクスの構成まで手を抜かない造りが音にきちんと出てしまうのだ。
さて、その付加による効果だが、両モデルとも空間表現力が向上するのはもちろんだが、音楽のリアリティやヴァイタリティを、いい意味で増大させてくれることを確認できた。
まさにマニアック向けのコンポーネントだが、その価値は十分ある魅力的な製品といえるだろう。
CDプレーヤーであれば、クロック回路を持っていない製品はない。特にエソテリックのK-01やK-03のような贅を尽くした一体型プレーヤーであれば、高い精度の黒く回路を搭載している。具体的に言えば、VCXO(電圧制御型推奨発振器)であり、しかもそこにクロック専用の安定化電源回路を持っているほどの念の入れようだ。その向上出荷時の精度は±0.5ppmであるという。
にもかかわらず、単体のマスタークロックジェネレーターが世の中には存在し、エソテリックブランドにもラインナップされている。もちろん、ひとえに音のためだ。クロックの精度を高めることによって、音像のフォーカスや音場空間の拡大、あるいは音の立ち上がる瞬間の情報量は増大する。
と同時に、音楽的表現力も変化する。どう変化するのか?この疑問に焦点を当てつつこの文章全体を書き進めたいのだが、ひとつポイントとしてあるのは、K-01/03から始まった、エソテリックの新しい世代の音楽表現力の存在だ。
ハイエンド方向ではSACD/CDトランスポート0-02、DAコンバーターD-02によって昇華し、そのエッセンスを注入されたK-05/07と展開している芳醇とも言えるような音楽表現力に対して、どのようにクロックジェネレーターが働きかけるのか。
考えてみれば、K-01/03以降、初めて登場してきたマスタークロックジェネレーターがG-02とG-01だからだ。
■ルビジウム発振器とこだわりにより最強モデルとして登場した最上位機「G-01」
G-01は、ポジショニング的には2007年3月に発売されたG-0Rbの後継機種であり、最上位の製品だ。その概要をまとめておこう。
心臓部にはオーディオ用クロックとして理想的な安定性を誇る、アメリカ製のルビジウム発振器を使用。さらに音質と安定度の観点から品質管理を施した特別仕様のものを採用している。周波数精度としては±0.05ppb。つまりppmに換算すると±0.00005ppmというケタ違いの精度を持った発振器をベースに、オーディオ用コンポーネントとして隙のない構成を取っている。
この制度自体はG-0Rbと同じだが、それだけでクロックジェネレーターのオーディオ的性能や音色的表現力は決まらない。心臓部である発振器自体の性能が大事なのはもちろんだが、それを出力する部分の構成であったり、電源部であったりというのが再生音にとって大切な要素になっている。
クロックジェネレーターは、超高速で安定したデジタル波形を出力しなければいけないが、以前のモデルであればICチップを採用したデジタル波形を出力しなければいけないが、以前のモデルであればICチップを採用していた部分をG-01では高速トランジスタを使ったディスクリート回路で新しく設計しなおしている。また、そうした出力のベースとなる電源部も徹底的な設計が施されている。
回路ブロックごとに専用の電源回路を持たせるべく、合計15個もの電源レギュレーターを使用。これによって回路ブロック同士の相互干渉を最小にしている。また、ロスや磁束の漏れの少ない大型のトロイダルトランスの存在も大きい。
そして、コンデンサーを複数組み合わせ、ショットキーバリアダイオードを採用した平滑回路によって、高速なデジタル処理にも俊敏に反応し、オーディオコンポーネントとしての高い基礎体力を誇っている。
また、多彩な出力を持っていることもこのG-01の特色だ。A/B/C3系統(それぞれ2端子)の出力を持ち、そのそれぞれが別の周波数を出力することが可能。周波数系列としては、100kHzと10MHzの他、基本となる44.1kHz/48kHzの1、2、4、512倍(つまり、22.5792MHz/24.576MHz)。さらに周波数拡張モード(EXPモード)によって、8、16、32、128、256倍のクロック周波数出力に対応している。
ちなみに、いま紹介した周波数の波形は短形波だが、正弦波(サイン波)の10MHzも出力できて、しかもそれは専用の出力端子を持っている。これは専用のディスクリート出力ドライバー、専用電源回路を持たせたもので、個別にON/OFFすることもできる。
結果として、業務用機器を含む、極めて幅広い機器へクロック出力を供給できる一方、単純に周波数の数字の大きさだけでは語れない、音色訴求、音楽表現の道具としての側面も充実していると言える。
また、GPSクロックなどを接続して、外部から10MHz/1ppsの基準信号も入力できるのも実にマニアックな装備だ。そのままクロック発振のマスターとしても使えるし、内蔵するルビジウムの発信と同期させるやりかたも選べる。
G-01はG-0Rbの後継機種とはいえ、かなりの部分を新しく設計し直しているマスタークロックジェネレーターだ。
■G-03Xの後継となる中堅モデル「G-02」
G-01に先立って発売されたのがG-02だ。G-03Xの後継機種にあたる。心臓部にはオーディオ用クロックとして高い安定性を誇る水晶発振器(OCXO)を採用。OCXOは、Oven Controllde Crystal Osillatorのことで、内部温度を一定に保つオーブンに水晶振動子と発振回路を内蔵する構造だ。外部温度がマイナス20度から70度までという、相当に厳しい条件下で±0.01ppmという精度を確保している。
また10MHzクロックや同社の「ダイレクト・マスタークロックLINK」に対応した22.5792MHz/24.576MHzの出力が可能なのもうれしい。また、外部からの10MHzの基準信号を入力できる端子を備え、ルビジウムクロックやGPSクロックなどを接続。さらにシステムアップすることも可能だ。
と、紹介していくと、設計思想については上位機のG-01と同様のことが多い。さすがにG-01のように15個もの電源レギュレーターは持っていないが、回路ブロックごとに専用電源回路を搭載し、ブロック同士の相互干渉を最小にするデザインになっている。G-01、G−02に共通して、デジタルプレーヤーでも使われている肉厚のアルミシャーシを採用。上から見たカタチは共通で厚みだけが違う形状だが、クロック精度に影響を与えるミクロ単位の振動に対処している。
クロックジェネレーターというと、精度だけを追求する計測機器のようなイメージを持っている方がいるかもしれないが、再生音に与える役割としては紛れもないオーディオコンポーネントだ。こうしたボディ全体のコンストラクションからエレクトロニクスの構成まで手を抜かない造りが音にきちんと出てしまうのだ。
さて、その付加による効果だが、両モデルとも空間表現力が向上するのはもちろんだが、音楽のリアリティやヴァイタリティを、いい意味で増大させてくれることを確認できた。
まさにマニアック向けのコンポーネントだが、その価値は十分ある魅力的な製品といえるだろう。