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公開日 2012/09/29 00:38

デノンの音質技術と最新デジタルが融合した最上位AVアンプ「AVR-4520」

定位の確かさと移動感の鮮明さに圧倒される
鴻池賢三
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9chのパワーアンプを搭載するデノンのAVアンプ最上位モデル「AVR-4520」は、その設計思想を同社のフラッグシップ・マルチチャンネルパワーアンプ「POA-A1HD」から継承。9chのディスクリート・モノラル・コンストラクションを採用するなど、音質面でクラスを超えた基礎能力の高さが目を引く。もちろん、ネットワーク再生などの機能面や、画音のデジタル信号処理精度でも、最先端テクノロジーが満載で、豪級の注目モデルと言えるだろう。

AVR-4520

基礎となるパワーアンプ部は、各チャンネルが独立したモノラルアンプの集合体で、筐体内では各アンプをL/Rに分離した上で、電源も独立供給される。マルチチャンネルで重要なチャンネル間の分離と音色の高精度な統一を狙った設計だ。

デジタル音声信号処理部は、入り口から出口までフルに32bitプロセッシングに対応した「D.D.S.C.-HD32」へ進化。400MIPSの高い処理能力を誇るアナログデバイセス社製32bitフローティングポイントDSPをデコード部に1基、AL32プロセッシングに1基、音場補正に1基、合計3基を使用する贅沢な仕様だ。これにより、デノン独自のアナログ波形再現技術であるAL32は、「AL32 Processing Multi Channel」へと進化した。

映像面では4Kアップスケーリングにも対応。そのクオリティは、エッジの滑らかさ、ディテールの精細感など、AVアンプとしては間違い無く一級品だ。

本機の背面端子部

まずは2chハイレゾ音源を収録したBDをHDMI経由で再生した。印象的なのが低域の力感だ。トルクフルで余裕のあるドライブが心地良い。ボーカルには肉声のコクが感じられ、センタースピーカーが存在するかのような正確な定位も聴く者を惹き付ける。弦楽器は余韻にふくよかさを伴い、音楽性も豊かだ。CDの音質を同軸デジタル接続でも確認したが、鮮度と滑らかさは先述のHDMIでのハイレゾ再生に勝るとも劣らない出来だ。

次に、7.1ch収録のBD『ロストワールド:ジュラシックパーク』でサラウンド音声を確認した。一聴して、定位感の鋭さと移動感の鮮明さが感じ取れる。この辺りは、「ディスクリート・モノラル・コンストラクション」が効いている。オーケストラのブラス系楽器は歪み感がなく、大音量でもうるさくならない。むしろ滑らかで艶があり、気持ち良く聴ける。ダイナミックレンジが広く、かつ、階調表現も緻密だ。低域のドライブ能力の余裕と、高精度なプロセッシングの効用で、サブウーファーとの繋がりも良く、音場の広い。音楽ソフトでは、楽器の分離が良く、ハイエンド機らしい厚みのある音色で躍動感も楽しめた。

ネットワーク再生機能については、192kHz/24bitのWAVおよびFLACに加え、ALAC再生もサポートする。WAVとFLACについてはギャップレス再生にも対応している。その音質はHDMIからの入力に極めて近い傾向だが、ハイエンドのBDプレーヤーに対し、比較的安価なNASを使用した結果であることを踏まえると、ネットワーク再生の利点を引き出していると言える。

同社製の対応BDプレーヤーと組み合わせての「DENON LINK HD」を有効にすると、元々高いS/Nが、さらによくなる。映画BD『ロストワールド:ジュラシックパーク』では、雨粒の解像感が増し、森の奥深さがより遠くまで感じられる。音楽再生では低域の音離れが良くなりボーカルのブレスにも粒立ちが感じられる。総じて重心が下がって安定し、繊細な音が浮かび上がって来る印象だ。なお、同機能の利用には追加で1本の同軸ケーブ必要となる。

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