公開日 2012/11/21 11:30
マランツ「SA-11S3」は、幻の「SA-7S2」だった! − 貝山知弘が新たな銘機を聴く
【特別企画】いま明かされる誕生の背景
ところが、容赦ない環境の変化が襲った。第1弾がリーマンショック、第2弾の決定打は東日本大震災…。お蔵入りの窮地に陥ったそのコンセプト・技術を活かす道はただ一つ、11シリーズとしてまとめあげることだった。こうして誕生した「SA-11S3」。外観やシリーズ名称は11シリーズだが、内容はフラッグシップクラスという本機が誕生した。
もはやアップグレードの次元ではない最高峰を超える性能と音質
マランツの新しいデジタルプレーヤー「SA-11S3」の資料を見ると、この製品は2007年に登場し、ロングセラーを続けた「SA-11S2」の後継モデルと位置付けられている。後継モデルでは当然前作からアップグレードした箇所があるのが普通だが、本機の内容を調べていくと、アップグレードの度合いが著しく高いことに気づいた。
ここまでくるともうアップグレードの次元ではなく、1ランク上の製品への転化と取った方が分かりやすい。マランツのデジタルプレーヤーのフラグシップモデルは2006年に発表されたモデル「SA-7S1」だが、本機の内容はこの製品に限りなく近く、「SA-7S1」のマークIIと言っても過言ではないくらいだ。そして新開発の回路やパーツを加えたことにより、「SA-7S1」をさえ越える性能・音質が得られているのだ。
■「SA-11S3」に搭載された新技術
ディスク再生の精度を徹底追求
シャーシ以外の全パーツを見直す
「前モデルとの共通点はシャーシぐらい」というほど、本機では全てのパーツを見直している。その中にはヘッドフォンアンプの搭載やUSBの入力回路なども含まれているが、次ページからはCD/SACDの再生に直接影響する5つのポイントについて解説していく。