【第76回】妹たちが耳元で囁く！「シスコイ!!2」でダミーヘッド録音の凄さを体感

■これが高橋敦のバレンタイン − ダミーヘッド録音ドラマCDでバーチャル妹と超接近

イヤホンやヘッドホンの弱点のひとつとして「実際にその場で音を聴いているときのような臨場感が薄い」ということはよく挙げられる。スピーカー再生と比べてイヤホンやヘッドホンにもそれ独特の臨場感はあるのだが、その独特さは弱点でもあるのだ。

その要因のひとつは、人間が音を受け取る際の重要な過程のいくつかが、イヤホンやヘッドホンでのリスニングではすっ飛ばされてしまうことにある。

それは「頭部や外耳が音にもたらす影響」だ。人間が実際にその場で何かの音を聴く場合、音の空気振動は、人間の頭部の形状に対して複雑に反射・回折して、また耳の形状にも同じく影響され、そしてから鼓膜に届く。対してマイク録音した音をほぼ直接に鼓膜に送り込むイヤホンやヘッドホンでの再生では、それらの要素のうち多くがすっ飛ばされてしまう。結果、その場で実際に聴く音とは感触が異なってしまうのだ。

ということなのだが…。

「…じゃあ、頭とか耳とかに影響されたあとの音を録音すればよくない？」

という発想で考案されたのが「ダミーヘッドマイク」だ。発想としても仕組みとしても基本は単純で、人間の頭の模型を作り、その耳の中にマイクを埋め込んである。なので「頭とか耳とかに影響されたあとの音」を録音できるのだ。

まあ見てもらえれば何となくわかってもらえるだろう。以下は本サイトのニュース記事「サザン音響、レコーディング用ダミーヘッドマイク“SAMREC”新製品を発売」からの引用写真だ。

これを使って録音した音源であれば、イヤホンやヘッドホンでも生々しい音が聴ける！というかイヤホンやヘッドホンで聴かないと意味がない！音源なわけだ。近年はイヤホンやヘッドホンの仕事が多い僕としては、純粋にビジネスとしての興味で、これは体験しておかなくてはいけないだろう。

…というわけで今回は、人気女性声優さんの演じる三姉妹＋従姉妹の台詞をダミーヘッドマイク収録したシチュエーションドラマCD「シスコイ!!2」を、純粋にあくまでも研究目的で聴き込んでみるよ！