公開日 2014/10/31 09:51
AKG「Y45BT」 − モノとしての魅力と音質、先進機能を兼ね備えたBluetoothヘッドホンをレビュー
AKG ― オーストリア発の名門ブランドであり、数々のレコーディングスタジオでリファレンスとして用いられる"モニター調"のオープンエアー型ヘッドホンの雄であることは、ヘッドホン好きにはよく知られていることだ。そのAKGが新規に展開する「Yシリーズ」は、プロサウンドを志向したAKGの伝統から一歩踏み出し、音質とデザインの両立を目指したヘッドホンとして企画された新ラインだ(関連ニュース)。
なかでも実売価格にして1万円台前半で登場した「Y45BT」は、コンパクトながら素材の質感を活かしたシンプルな外見にも心くすぐられる、Bluetooth接続によるワイヤレスリスニング対応のオンイヤー型ヘッドホンとなる。
まず、本製品のデザインは“スカンジナビアンデザイン”、つまり北欧デザインを心がけているという。筆者は「Y45BT」を一目見て、そして手に取って細部の意匠を観察すればするほど、本機の持つモノとしての魅力にハマった事を告白しておきたい。
特に注目して欲しいのは、アルミ素材の表面に、光の角度に応じて光沢感の変わる円形の表面研磨をかけ仕上げられた筐体の美しさ。筆者はブラックを使用してみたが、つや消しブラックの一言では片付けられない質感を生み出している。シンプルに中心に「AKG」のロゴが彫り込まれ、一見無骨なようだがマテリアルで高級感を演出しているところが、Y45BTのスカンジナビアンデザインたる所以だろう。ホワイトでも、アルミの素材感を残した美しいデザイン性は共通だ。
本機はBluetoothヘッドホン故に、ハウジングにはボリュームボタンや3.5mmステレオミニ端子、USB端子なども備えられているが、さりげない処理の美しさや、下側に「HIGH PERFORMANCE BLUETOOTH HEADSET」と刻まれた文字の配置までもがしっかりとデザインされており、徹底した美の追求を感じる。ちなみに、アーム部も構造に合わせたライン入りの金属素材を採用。パーツの細部に注目すればするほどに、その作り込みには驚嘆するばかりだ。
筐体のブラックとはニュアンスの異なるラバー素材を配した、チャコールグレーのヘッドバンド部との色の調和も見事だ。Y45BTはドライバー部の全体が内側を折りたためる構造であり(Y45BTと型番がプリントされたこのブリッジ部も異素材でデザイン的なアクセントとなっている)、スマートフォンと組み合わせた持ち歩きも前提にしている。
ちなみに、Y45BTの実物を目にする機会があったら、付属のキャリングポーチにもぜひ注目してほしい。昔懐かしのポータブルCDプレーヤーとほぼ同サイズの、グレーのファブリック製ポーチで、折りたたんだY45BTをピタリと収納できる。筆者はヘッドホンを持ち歩く際にもキャリングポーチは使わない派なのだが、Y45BT付属のこのポーチは外見、そしてY45BTを取り出す様までもお洒落で、Y45BTのブラックと合わせて是非使いたいと思わせるほどに良くできている。
細部まで丁寧に作り込まれた本体デザインの美しさもさることながら、付属のキャリングポーチも含めて、「Y45BT」は折り畳みヘッドホンの外見のカッコ良さNo.1モデルとしてプッシュしたい。
モノとしての魅力と音質パフォーマンスを両立
Y45BTのデザインに惚れ込んだあまり外見の話が長くなってしまったので、早速音質レビューに移ろう。
40mm径ダイナミックドライバー採用のオンイヤータイプ。再生周波数特性は17Hz〜20kHzとなっており、Bluetooth接続にも対応。Bluetooth はver3.0対応で、SBC、AAC、aptXコーデックの伝送にも対応した。さらにNFC対応によるワンタッチ・ペアリングも可能。ハウジング本体内蔵のマイクによる通話も可能だ。
Y45BTはBluetoothヘッドホンではあるが、3.5mmステレオミニプラグを備え、通常のヘッドホンとしても使うことができる。まずはプレーヤーと有線接続した状態でクオリティをテストしてみよう。
音質の基本思想はモニター系よりもカジュアルに振った、ズシリと空間に響く低音を特徴としている。しかし名門AKGの音質チューニングらしく、それだけではない。DaftPunkのアルバム『Random Access Memories』ではハイハットの空気感が伸びやかに響くし、音の止めがタイトに響くため歯切れよく刻むリズムも気持ち良い。低音は量的なパワー感を持たせているが、音楽的なバランスは崩さない。オンイヤー型ながら耳を包み込むような空間再現性と、頭の上に浮かび上がるような丁寧な空間再現性は、同価格帯のオンイヤーヘッドホンのなかでも随一だろう。一方、宇多田ヒカルの『FIRST LOVE』やアニソンのようなボーカル曲も、ピアノやバックバンドの演奏とボーカルをセパレートしながら鳴らし分ける器用さもある。
続いてBluetoothの接続を試してみよう。NFCのマークはついていないが筐体右側にNFCが内蔵されており、筆者のXperia Z1を近づけるとワンタッチペアリングが完了した。
Bluetoothリスニング時も基本的な音質傾向は有線接続とほぼ共通だが、音のエネルギー感はよりパワー重視へと降られる。Daft Punkのアルバム『Random Access Memories』でも量的に重低音をカバーしてくれるし、空間再現のスケール感は有線と同じく広大で聞き取りやすい。一方で、中域のキレの丁寧さは流石に有線の方が微細音まで鳴らし分けるが、ボーカルがピタリとセンターに定位しバンドとセパレートするという特性は共通のため、ボーカル曲のリスニングにも安心して薦められる。
新機軸のデザインを特徴として登場したAKGの「Yシリーズ」。「Y45BT」の実物に触れてみて、丁寧に作り込まれた外見にまず惚れ込み、そしてAKGらしいハイパフォーマンスなサウンドにも魅力を感じた。
「Y45BT」は、ワイヤレスヘッドホンでファッション性とサウンドクオリティを両立させた総合的な完成度の高いモデルだ。一度は実物を手に取り、そのデザインに触れ、確かな音質を体験してみてほしい。
なかでも実売価格にして1万円台前半で登場した「Y45BT」は、コンパクトながら素材の質感を活かしたシンプルな外見にも心くすぐられる、Bluetooth接続によるワイヤレスリスニング対応のオンイヤー型ヘッドホンとなる。
まず、本製品のデザインは“スカンジナビアンデザイン”、つまり北欧デザインを心がけているという。筆者は「Y45BT」を一目見て、そして手に取って細部の意匠を観察すればするほど、本機の持つモノとしての魅力にハマった事を告白しておきたい。
特に注目して欲しいのは、アルミ素材の表面に、光の角度に応じて光沢感の変わる円形の表面研磨をかけ仕上げられた筐体の美しさ。筆者はブラックを使用してみたが、つや消しブラックの一言では片付けられない質感を生み出している。シンプルに中心に「AKG」のロゴが彫り込まれ、一見無骨なようだがマテリアルで高級感を演出しているところが、Y45BTのスカンジナビアンデザインたる所以だろう。ホワイトでも、アルミの素材感を残した美しいデザイン性は共通だ。
本機はBluetoothヘッドホン故に、ハウジングにはボリュームボタンや3.5mmステレオミニ端子、USB端子なども備えられているが、さりげない処理の美しさや、下側に「HIGH PERFORMANCE BLUETOOTH HEADSET」と刻まれた文字の配置までもがしっかりとデザインされており、徹底した美の追求を感じる。ちなみに、アーム部も構造に合わせたライン入りの金属素材を採用。パーツの細部に注目すればするほどに、その作り込みには驚嘆するばかりだ。
筐体のブラックとはニュアンスの異なるラバー素材を配した、チャコールグレーのヘッドバンド部との色の調和も見事だ。Y45BTはドライバー部の全体が内側を折りたためる構造であり(Y45BTと型番がプリントされたこのブリッジ部も異素材でデザイン的なアクセントとなっている)、スマートフォンと組み合わせた持ち歩きも前提にしている。
ちなみに、Y45BTの実物を目にする機会があったら、付属のキャリングポーチにもぜひ注目してほしい。昔懐かしのポータブルCDプレーヤーとほぼ同サイズの、グレーのファブリック製ポーチで、折りたたんだY45BTをピタリと収納できる。筆者はヘッドホンを持ち歩く際にもキャリングポーチは使わない派なのだが、Y45BT付属のこのポーチは外見、そしてY45BTを取り出す様までもお洒落で、Y45BTのブラックと合わせて是非使いたいと思わせるほどに良くできている。
細部まで丁寧に作り込まれた本体デザインの美しさもさることながら、付属のキャリングポーチも含めて、「Y45BT」は折り畳みヘッドホンの外見のカッコ良さNo.1モデルとしてプッシュしたい。
モノとしての魅力と音質パフォーマンスを両立
Y45BTのデザインに惚れ込んだあまり外見の話が長くなってしまったので、早速音質レビューに移ろう。
40mm径ダイナミックドライバー採用のオンイヤータイプ。再生周波数特性は17Hz〜20kHzとなっており、Bluetooth接続にも対応。Bluetooth はver3.0対応で、SBC、AAC、aptXコーデックの伝送にも対応した。さらにNFC対応によるワンタッチ・ペアリングも可能。ハウジング本体内蔵のマイクによる通話も可能だ。
Y45BTはBluetoothヘッドホンではあるが、3.5mmステレオミニプラグを備え、通常のヘッドホンとしても使うことができる。まずはプレーヤーと有線接続した状態でクオリティをテストしてみよう。
音質の基本思想はモニター系よりもカジュアルに振った、ズシリと空間に響く低音を特徴としている。しかし名門AKGの音質チューニングらしく、それだけではない。DaftPunkのアルバム『Random Access Memories』ではハイハットの空気感が伸びやかに響くし、音の止めがタイトに響くため歯切れよく刻むリズムも気持ち良い。低音は量的なパワー感を持たせているが、音楽的なバランスは崩さない。オンイヤー型ながら耳を包み込むような空間再現性と、頭の上に浮かび上がるような丁寧な空間再現性は、同価格帯のオンイヤーヘッドホンのなかでも随一だろう。一方、宇多田ヒカルの『FIRST LOVE』やアニソンのようなボーカル曲も、ピアノやバックバンドの演奏とボーカルをセパレートしながら鳴らし分ける器用さもある。
続いてBluetoothの接続を試してみよう。NFCのマークはついていないが筐体右側にNFCが内蔵されており、筆者のXperia Z1を近づけるとワンタッチペアリングが完了した。
Bluetoothリスニング時も基本的な音質傾向は有線接続とほぼ共通だが、音のエネルギー感はよりパワー重視へと降られる。Daft Punkのアルバム『Random Access Memories』でも量的に重低音をカバーしてくれるし、空間再現のスケール感は有線と同じく広大で聞き取りやすい。一方で、中域のキレの丁寧さは流石に有線の方が微細音まで鳴らし分けるが、ボーカルがピタリとセンターに定位しバンドとセパレートするという特性は共通のため、ボーカル曲のリスニングにも安心して薦められる。
新機軸のデザインを特徴として登場したAKGの「Yシリーズ」。「Y45BT」の実物に触れてみて、丁寧に作り込まれた外見にまず惚れ込み、そしてAKGらしいハイパフォーマンスなサウンドにも魅力を感じた。
「Y45BT」は、ワイヤレスヘッドホンでファッション性とサウンドクオリティを両立させた総合的な完成度の高いモデルだ。一度は実物を手に取り、そのデザインに触れ、確かな音質を体験してみてほしい。