AKGブランドヒストリー − 思想と技術の源を探る
音響機器メーカー・AKGは、“音楽の都”として世界に知られる芸術の街、オーストリアのウィーンに誕生した。AKGのブランド名は「Akustische und Kino-Graete Gessellschaft m.b.H(英訳:Acoustic and Cinema Equipment)」のドイツ語から頭文字を取って名付けられた。物理学者であり、発明家/音楽家/画家の肩書きも持つラドルフ・ゲリケ博士は、電気音響学の分野で300以上の国際特許を取得した人物。ゲリケ博士とともに、エンジニアであるアーンスト・プレス氏の“2人のカリスマ”がAKGのファウンダーである。
ブランド誕生から約67年の歴史の間に、AKGはヘッドホンやマイクロホン、ワイヤレスに関連する1,200を超える特許技術を世に送り出してきた。1953年には大型のダイアフラムによって低周波のサウンドを明瞭に集音する、世界初の超指向性型「ダイナミック・カージオイド・マイク」が発明された。
AKGの画期的な技術はすぐさま世界に展開していった。50年代当時にはバディ・ホリーやエラ・フィッツジェラルドなど世界で活躍する多くのアーティストたちに、ダイナミック型マイクロホンの銘機と呼ばれる「D20」が人気を博し、極めてナチュラルなサウンドから定番のマイクとして愛される存在となる。
その後も、世界初のポータブル・リバーブユニット「BX20」を開発。1949年にはバイノーラル録音における成果も残した。そして1991年には同社の技術がいよいよ「宇宙」に到達。宇宙飛行士のFranz Viehboeck氏がAKGの「IVA(Individual Virtual Acoustics Technology)」搭載ヘッドセット「BAP1000」を、宇宙プロジェクト「Audimir」で使用したことが注目を浴びた。
AKGは音の「入口」と「出口」の機器を扱うスペシャリストとして、アーティストのパフォーマンスや、スタジオのサウンドを忠実かつ自然に再現することをブランドフィロソフィーとしている。創業当時から音響プロフェッショナル向けの録音機器や放送・映画制作の関連機器も数多く手がけ、殊にマイクロホンとヘッドホンの分野では、世界の著名レコーディングスタジオや放送局、映画スタジオや一流ミュージシャンから厚い信頼を獲得してきた。ブランドのモットーは「ユーザーひとり一人のニーズを汲み取って、芸術的な生産技術によるイノベーティブなソリューションを提供すること」。現在ではコンシューマー向けにヘッドホン、プロシューマー向けにはマイクやヘッドホン、ワイヤレス・システムを中心に製品の開発と販売をグローバル展開している。
AKGのR&D拠点はウィーンにあるが、一部のR&D部門と大規模な製造拠点については中国の深セン市にも展開している。なお、ヘッドホンやイヤホンなどの一部フラグシップクラスのハイエンド製品については、製造・組み立てもウィーンで行っている。
ヘッドホン・イヤホン製品の音づくりについては、自然なサウンドイメージの創出と細やかなディティールの再現力が大きな特徴である。単に正確さだけを追求するのではなく、音楽ソースが元から備えている躍動感や生命感を余さずに再現する音こそ“AKGらしさ”であるといえる。
現在ヘッドホン製品の開発はヘッドクオーターのウィーン、深センのほかに米国カリフォルニア州のノースリッジを加えた3つの拠点で行われている。新製品の開発時にはプロジェクトリーダー、メカニカルエンジニア、アコースティックエンジニア、デザイナー、品質管理などのスペシャリストが10人前後のチームを作って、一つのポートフォリオを進行する。ハイエンドモデルが開発される時にはより大規模なチーム編成になることもあるという。
プロダクトデザインはブランド内外、両方のデザイナーが商品の特性に合わせて起用される。外部のデザイナーについてはAKGブランドのこだわりを熟知する者だけがその責任を担ってきた。
ギミックを減らしてミニマルに仕上げることがAKGのデザインポリシーである。そのポリシーが最も色濃く表れているのが、AKGのオーバーヘッドホンの多くに採用されている独自のフォールディング機構「3D-Axis」だ。クールなルックスを保ったままヘッドホン本体をコンパクトに折りたたんで持ち歩くことができる。
AKGではコンシューマーとプロフェッショナルのヘッドホンをひとつのブランドで手がけながら、それぞれの歴史にヒットモデルを残してきた。コンシューマー機の代表的なモデルには、オープン型ヘッドホンのフラグシップモデルとして長年君臨し続けてきた「K701」がある。本機をベースに、著名音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズ氏がお墨付きを与えたシグネーチャーモデル「Q701」は現在のベストセラーとなっている。
中高域にBA型ドライバー、低域にダイナミック型ドライバーを搭載する「3ウェイ・ハイブリッド・テクノロジー」が異才を放つ、フラグシップイヤホン「K3003」は、多くのイヤホンファンにとって憧れの存在なのではないだろうか。日本国内でも特に人気の高いモデルだ。
プロフェッショナル・ヘッドホンとしては、セミオープン型のスタジオモニター「K240」がスタジオミュージシャンたちの「超定番」的存在だ。クインシー・ジョーンズ氏がプロデュースした名曲『We Are The World』のPVでミュージシャンたちが使用していたヘッドホンとしても広く知られている。
AKGはブランドの誕生から今日まで、実直にヘッドホン技術の進化を追い求め、数々の成果を残してきた。蓄えてきたそのノウハウを活かして、現在ではBluetoothワイヤレスヘッドホン、DJ用ヘッドホンなど多種多様な製品をラインナップに揃えている。
昨年は密閉型フラグシップモデルの「K545」が登場。オープンタイプのヘッドホンのように、透明で開放的なサウンドが高い評価を獲得している。本機をベースにしたNFC対応のBluetoothワイヤレスヘッドホン「K845BT」も、今年満を持して国内市場に投入された。また「K618 DJ」はファッションセンスの高いヘッドホンとして、世界中の若い音楽ファンに愛されている。
これまでにも、そしてこれからも、AKGはヘッドホンサウンドのスペシャリストとしてあらゆる音楽ファンに最高品質の音を届けるブランドで在り続けるだろう。
ブランド誕生から約67年の歴史の間に、AKGはヘッドホンやマイクロホン、ワイヤレスに関連する1,200を超える特許技術を世に送り出してきた。1953年には大型のダイアフラムによって低周波のサウンドを明瞭に集音する、世界初の超指向性型「ダイナミック・カージオイド・マイク」が発明された。
AKGの画期的な技術はすぐさま世界に展開していった。50年代当時にはバディ・ホリーやエラ・フィッツジェラルドなど世界で活躍する多くのアーティストたちに、ダイナミック型マイクロホンの銘機と呼ばれる「D20」が人気を博し、極めてナチュラルなサウンドから定番のマイクとして愛される存在となる。
その後も、世界初のポータブル・リバーブユニット「BX20」を開発。1949年にはバイノーラル録音における成果も残した。そして1991年には同社の技術がいよいよ「宇宙」に到達。宇宙飛行士のFranz Viehboeck氏がAKGの「IVA(Individual Virtual Acoustics Technology)」搭載ヘッドセット「BAP1000」を、宇宙プロジェクト「Audimir」で使用したことが注目を浴びた。
AKGは音の「入口」と「出口」の機器を扱うスペシャリストとして、アーティストのパフォーマンスや、スタジオのサウンドを忠実かつ自然に再現することをブランドフィロソフィーとしている。創業当時から音響プロフェッショナル向けの録音機器や放送・映画制作の関連機器も数多く手がけ、殊にマイクロホンとヘッドホンの分野では、世界の著名レコーディングスタジオや放送局、映画スタジオや一流ミュージシャンから厚い信頼を獲得してきた。ブランドのモットーは「ユーザーひとり一人のニーズを汲み取って、芸術的な生産技術によるイノベーティブなソリューションを提供すること」。現在ではコンシューマー向けにヘッドホン、プロシューマー向けにはマイクやヘッドホン、ワイヤレス・システムを中心に製品の開発と販売をグローバル展開している。
AKGのR&D拠点はウィーンにあるが、一部のR&D部門と大規模な製造拠点については中国の深セン市にも展開している。なお、ヘッドホンやイヤホンなどの一部フラグシップクラスのハイエンド製品については、製造・組み立てもウィーンで行っている。
ヘッドホン・イヤホン製品の音づくりについては、自然なサウンドイメージの創出と細やかなディティールの再現力が大きな特徴である。単に正確さだけを追求するのではなく、音楽ソースが元から備えている躍動感や生命感を余さずに再現する音こそ“AKGらしさ”であるといえる。
現在ヘッドホン製品の開発はヘッドクオーターのウィーン、深センのほかに米国カリフォルニア州のノースリッジを加えた3つの拠点で行われている。新製品の開発時にはプロジェクトリーダー、メカニカルエンジニア、アコースティックエンジニア、デザイナー、品質管理などのスペシャリストが10人前後のチームを作って、一つのポートフォリオを進行する。ハイエンドモデルが開発される時にはより大規模なチーム編成になることもあるという。
プロダクトデザインはブランド内外、両方のデザイナーが商品の特性に合わせて起用される。外部のデザイナーについてはAKGブランドのこだわりを熟知する者だけがその責任を担ってきた。
ギミックを減らしてミニマルに仕上げることがAKGのデザインポリシーである。そのポリシーが最も色濃く表れているのが、AKGのオーバーヘッドホンの多くに採用されている独自のフォールディング機構「3D-Axis」だ。クールなルックスを保ったままヘッドホン本体をコンパクトに折りたたんで持ち歩くことができる。
AKGではコンシューマーとプロフェッショナルのヘッドホンをひとつのブランドで手がけながら、それぞれの歴史にヒットモデルを残してきた。コンシューマー機の代表的なモデルには、オープン型ヘッドホンのフラグシップモデルとして長年君臨し続けてきた「K701」がある。本機をベースに、著名音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズ氏がお墨付きを与えたシグネーチャーモデル「Q701」は現在のベストセラーとなっている。
中高域にBA型ドライバー、低域にダイナミック型ドライバーを搭載する「3ウェイ・ハイブリッド・テクノロジー」が異才を放つ、フラグシップイヤホン「K3003」は、多くのイヤホンファンにとって憧れの存在なのではないだろうか。日本国内でも特に人気の高いモデルだ。
プロフェッショナル・ヘッドホンとしては、セミオープン型のスタジオモニター「K240」がスタジオミュージシャンたちの「超定番」的存在だ。クインシー・ジョーンズ氏がプロデュースした名曲『We Are The World』のPVでミュージシャンたちが使用していたヘッドホンとしても広く知られている。
AKGはブランドの誕生から今日まで、実直にヘッドホン技術の進化を追い求め、数々の成果を残してきた。蓄えてきたそのノウハウを活かして、現在ではBluetoothワイヤレスヘッドホン、DJ用ヘッドホンなど多種多様な製品をラインナップに揃えている。
昨年は密閉型フラグシップモデルの「K545」が登場。オープンタイプのヘッドホンのように、透明で開放的なサウンドが高い評価を獲得している。本機をベースにしたNFC対応のBluetoothワイヤレスヘッドホン「K845BT」も、今年満を持して国内市場に投入された。また「K618 DJ」はファッションセンスの高いヘッドホンとして、世界中の若い音楽ファンに愛されている。
これまでにも、そしてこれからも、AKGはヘッドホンサウンドのスペシャリストとしてあらゆる音楽ファンに最高品質の音を届けるブランドで在り続けるだろう。