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創業時から「ハイレゾ」を意識した製品作り

ATOMIC FLOYD創業者、ストロング氏インタビュー − ブランド初のヘッドホンも企画中

公開日 2014/05/16 09:00 インタビュー/記事構成:編集部・杉浦みな子
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音質のクオリティと外観のスタイリッシュさを両立したイヤホン製品を展開している英国の注目ブランド、ATOMIC FLOYD(アトミック・フロイド)。今年6月上旬には、航空宇宙グレードのチタン素材を採用した新イヤホン“ATOMIC FLOYD SuperDarts Titanium +Remote”「SAF-EP-000016」を国内で発売する(関連ニュース)。価格は46,000円(税抜)。

ATOMIC FLOYD SuperDarts Titanium +Remote

先日開催されたフジヤエービック主催のヘッドホンイベント「春のヘッドフォン祭2014」でも、同ブランドを取り扱うフォーカルポイントのブースには多くの来場者が詰めかけており、発売前の新モデルやブランドへの注目度の高さが伺えた。

今回Phile-webでは、この「春のヘッドフォン祭2014」にあわせて来日したATOMIC FLOYD の創業者兼CEO ジェームズ・ストロング氏に話を伺うことができた。ストロング氏はフィリップスのプロダクトデザイナーとして約10年間活動した経歴を持ち、その後2007年にATOMIC FLOYDを創業した人物。今回のインタビューでは、チタンを採用した新モデルの開発エピソードのほか、ATOMIC FLOYD初のヘッドホン製品を企画中という“こぼれ話”も飛び出した。

ジェームズ・ストロング氏

■新モデルにチタンを採用した理由

−− 今回は、新モデルATOMIC FLOYD SuperDarts Titanium +Remoteのお話をメインに伺いたいと思います。まずは、ATOMIC FLOYDというブランドの概要やイヤホン開発思想について簡単にお聞かせ下さい。

ジェームズ・ストロング氏(以下、ストロング氏): ATOMIC FLOYDは2007年に創業したブランドで、日本で展開が始まったのは2009年でした。ATOMIC FLOYDのイヤホン開発フィロソフィーは、「機能」と「スタイル」の両立です。製品は全てハイパフォーマンスでハイスタイルなものとし、何より音質にこだわっています。ブランドロゴに使用している図形も、“完璧なサウンドカーブ”の波形をモチーフにしたものです。

ブランドロゴ。完璧なサウンドカーブをモチーフにしている

−− この5年間、変わらないフィロソフィーで製品開発を行っているわけですね。

ストロング氏: ずっと変わりません。今度6月に日本で発売する新モデルATOMIC FLOYD SuperDarts Titanium +Remoteも、もちろん「機能」と「スタイル」の両立という開発思想が根底にあります。

−− 早速、その最新モデルについて伺いたいと思います。新製品は「SuperDarts +Remote(関連ニュース)」をベースにしているのですね。

ストロング氏: はい。SuperDarts +Remoteをベースとして、アコースティック・チャンバーや筐体部、プラグ部やマイク付きリモコン部に、航空グレードのチタン素材を使っていることが最大の特徴です。


−− なぜチタンを使用したんですか?

ストロング氏: まずメリットとして挙げられるのが、アコースティック・チャンバー部分を薄く生成できることです。これによって内部の容積を広く確保し、クオリティの高いコンポーネントを使うことができますし、内部の空気の流れを音質に好影響を与えるよう調整できます。

デザイン性や素材の目新しさだけでチタンを使っているのではなく、音質のクオリティを高めるために使用しているのです。加えて、チタンを使用することによって耐久性や軽量性など、イヤホンそのものの機能性が向上したことも大きなポイントです。

ATOMIC FLOYD SuperDarts Titanium +Remoteを装着したところ

軽くなったことでフィット性も高まっている

−− 確かに軽いです。軽くなったことで耳へのフィット感も高まりますね。

ストロング氏: もちろん、先ほどお話した通り「機能」と「スタイル」の両立がフィロソフィーとしてありますから、デザイン性にも配慮していますよ。SuperDarts +Remoteと同じデザインとしていますが、この網目状の筐体をチタンで生産するのがとても難しいんです。表面だけにチタンを乗せているわけではなく、ちゃんと削り出しで生成しているのですが、この網目状に削る所用時間が1個あたり45分、左右あわせて1時間半かかるんですよ(笑)。製造時に一番大変なのがこの部分です。

製造時に一番大変なのが筐体の網目状デザイン部だという

−− チタンという素材には前から注目していたんですか?

ストロング氏: はい。先ほどお話したようなメリットを持つ素材として目をつけまして、ここ2年間くらいで使用してみようと思っていました。ATOMIC FLOYD全体として、こういった「難しい素材を使って製品開発を行う」というチャレンジ意識が元々あるので、それに則った形です。

−− なるほど。ちなみに製品の発想から実際の完成まで、開発にはどれくらいかかりましたか?

ストロング氏: 6ヶ月くらいはかかるだろう、と思っていたら最終的に1年半かかりました(笑)

■ベースモデル「SuperDarts +Remote」との違いは?

−− 本製品のベースとなったSuperDarts +Remoteとの違いについて教えて下さい。内部のドライバーなどに違いはあるのでしょうか?

ストロング氏: どちらも低域用のダイナミック型と中高域用のバランスドアーマチュア型というハイブリッド構成ですが、ドライバー自体は同じものを使用しています。ダイナミックドライバーの大きさも同じで口径9mmです。ただ、チューニングは変えています。

−− 具体的にどういったチューニングを行ったのですか?

ストロング氏: 従来モデルSuperDarts +Remoteの方は、試聴された方から「ドンシャリ傾向の音」という感想を頂いていました。これに対して今回のチタンモデルでは、自然な低音と優しく伸びのある高域による「なめらかな音調」を目指したんです。結果、響きが豊かでセパレーションが良く、立体感のある音を実現できたと思います。

ATOMIC FLOYD SuperDarts Titanium +Remoteを試聴する編集長・風間

−− あとケーブルの色が赤から黒に変わっていますね。

ストロング氏: ケーブルは、素材は従来モデルと同じケブラー被覆を使用したものなのですが、多少太くすることでタッチノイズを低減しています。また、チタンモデルには新たにコンプライのイヤホンチップを付属していることもポイントです。

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