AKG倶楽部 レビュー
AKG「K545」を聴く − ポータビリティーを高めた高解像ヘッドホン
「K550」とデザインコンセプトを共有しつつもサイズダウンしたことでよりポータビリティの高さを追求したコンパクト・オーバーヘッド機が「K545」だ。K550と同じ50mmドライバーユニットを搭載するが、サイズダウンしたハウジングに最適化させることで、より解像感や切れ味の良いサウンドを実現している。
ケーブルが着脱仕様となったことに加え、iOSデバイス用とAndroid系などのスマートフォン用、各々に対応するリモコンを備えた2種類のケーブルが付属。ホワイトカラーも追加され、より広いユーザー層へアピールするAKGの新たなスタンダードモデルだ。装着時の課題である側圧と重量も適度なレベルに抑えられており、プロテインレザーによる低反発性イヤーパッドの採用によってフィット感も良い。
同一ドライバーをベースにしていることもあり、K550とサウンド傾向は近いが、本機の方がよりソリッドな印象を受ける。iPod touch(第4世代)に直結したときのサウンドとしては透明度の高さ、アタックの付帯感のなさを軸とした素直で解像感の良いものである。クラシックのハーモニーは管弦楽器が鮮やかに立ち上がり、余韻の粒立ちもすっきりと見通せ、アタックのキレの良さも際立つ。空間のS/Nも高く、定位感や低域の音調の細やかさもモニター級だ。ボーカルのクリアさ、エッジの分離感、リリースのキレの良さも見事で、低域もダンピング良くまとめて爽やかさに溢れる。
ただiPod環境ではややドライブ力が不足している感触もあり、ソニー「PCM-D100」にも繋ぎ換えての試聴も試みた。
まずクラシックのレヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では、管弦楽器の旋律はキレ良く鮮明で、ローエンドの制動感も高い。ハーモニーは付帯感なく、奥行きの深い響きを聴かせてくれた。解像感も高く澄んだホールトーンを堪能できる。
ジャズ音源のオスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)においては、かっちりとしたハードタッチなピアノのアタックをにじみなくトレース。ウッドベースの弦のタッチも克明で、弾力良く引き締まった胴鳴りも分離鮮やかだ。ハイハットとスネアブラシのニュアンスもきちんと描き分け、音像が立体的に感じられる。
ロックのデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では、輪郭くっきりと引き締まったドラムと密度良い弾力感を持つベースによって過不足ない低域再現性を持たせており、ディストーションギターもキレ良く粘りあるリフを聴かせる。中高域の質感を丁寧にトレースしており、シンバルワークやソロギターのプレイニュアンスも極めて細やかに描き出す。ボーカルも口元の動きをリアルにまとめ、ボトム表現もスマートだ。
さらにハイレゾ音源のイ・ソリスティ・ディ・ペルージャ『ヴィヴァルディ:四季』〜春(HQM:192kHz/24bit)においてはストリングスの旋律を抑揚良く鮮明に浮き立たせてくれる。チェンバロも透明感溢れるタッチだ。ハーモニーも澄んでおり、上品かつ流麗な響きに満たされる。低域の量感コントロールも巧みで、ハイレゾならではの空気感のリアルさをダイレクトに感じ取ることができた。
飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(e-onkyo:96kHz/24bit)でもきめ細やかなオーケストラサウンドを楽しめるが、広がり良いホールの豊潤な響きも同時に味わうことができる。定位感や奥行きも素直に感じ取れ、ソースの持つ解像度、S/Nの高さを存分に堪能できた。
最後にDSD音源も聴いてみた。まず長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜ゲット・バック(筆者による2.8MHz・DSD録音)では、アタックのキレ良く鮮明なボーカルの音像と倍音の煌めき感をほんのりと感じさせるアコギやウッドベースの弦のタッチが高解像に融合。S/Nも高く、楽器にかぶりつくように聴いているかのようなダイレクトかつストレートなサウンドだ。
Suara『DSDライブセッション』〜桜(OTOTOY:2.8MHz・DSD)においてはスカッと鮮やかに浮き立つバイオリン、ギターのアタック感と分離良くくっきりと空間に浮かぶボーカルのリアルな描写が付帯感なく聴くことができる。爽快でくすみが全く感じられない高鮮度なサウンドで、リヴァーブの清々しさも高S/Nな音場再現力により分離良くきめ細やかに表現。音像はスリムだが、ディティールをとことん突き詰めたリアルさに溢れた描写力を実感した。
高域にかけての倍音表現は適度なハリを感じさせるが、AKGらしい上品な音色にまとめられており、リズム隊もキレ良くすっきり聴かせてくれる。「K545」は、スタジオ系密閉モニターの系譜を色濃く感じさせる、高解像度サウンドを身上としたニュートラル基調のコンパクト機といえるのではないだろうか。
ケーブルが着脱仕様となったことに加え、iOSデバイス用とAndroid系などのスマートフォン用、各々に対応するリモコンを備えた2種類のケーブルが付属。ホワイトカラーも追加され、より広いユーザー層へアピールするAKGの新たなスタンダードモデルだ。装着時の課題である側圧と重量も適度なレベルに抑えられており、プロテインレザーによる低反発性イヤーパッドの採用によってフィット感も良い。
同一ドライバーをベースにしていることもあり、K550とサウンド傾向は近いが、本機の方がよりソリッドな印象を受ける。iPod touch(第4世代)に直結したときのサウンドとしては透明度の高さ、アタックの付帯感のなさを軸とした素直で解像感の良いものである。クラシックのハーモニーは管弦楽器が鮮やかに立ち上がり、余韻の粒立ちもすっきりと見通せ、アタックのキレの良さも際立つ。空間のS/Nも高く、定位感や低域の音調の細やかさもモニター級だ。ボーカルのクリアさ、エッジの分離感、リリースのキレの良さも見事で、低域もダンピング良くまとめて爽やかさに溢れる。
ただiPod環境ではややドライブ力が不足している感触もあり、ソニー「PCM-D100」にも繋ぎ換えての試聴も試みた。
まずクラシックのレヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では、管弦楽器の旋律はキレ良く鮮明で、ローエンドの制動感も高い。ハーモニーは付帯感なく、奥行きの深い響きを聴かせてくれた。解像感も高く澄んだホールトーンを堪能できる。
ジャズ音源のオスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)においては、かっちりとしたハードタッチなピアノのアタックをにじみなくトレース。ウッドベースの弦のタッチも克明で、弾力良く引き締まった胴鳴りも分離鮮やかだ。ハイハットとスネアブラシのニュアンスもきちんと描き分け、音像が立体的に感じられる。
ロックのデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では、輪郭くっきりと引き締まったドラムと密度良い弾力感を持つベースによって過不足ない低域再現性を持たせており、ディストーションギターもキレ良く粘りあるリフを聴かせる。中高域の質感を丁寧にトレースしており、シンバルワークやソロギターのプレイニュアンスも極めて細やかに描き出す。ボーカルも口元の動きをリアルにまとめ、ボトム表現もスマートだ。
さらにハイレゾ音源のイ・ソリスティ・ディ・ペルージャ『ヴィヴァルディ:四季』〜春(HQM:192kHz/24bit)においてはストリングスの旋律を抑揚良く鮮明に浮き立たせてくれる。チェンバロも透明感溢れるタッチだ。ハーモニーも澄んでおり、上品かつ流麗な響きに満たされる。低域の量感コントロールも巧みで、ハイレゾならではの空気感のリアルさをダイレクトに感じ取ることができた。
飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(e-onkyo:96kHz/24bit)でもきめ細やかなオーケストラサウンドを楽しめるが、広がり良いホールの豊潤な響きも同時に味わうことができる。定位感や奥行きも素直に感じ取れ、ソースの持つ解像度、S/Nの高さを存分に堪能できた。
最後にDSD音源も聴いてみた。まず長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜ゲット・バック(筆者による2.8MHz・DSD録音)では、アタックのキレ良く鮮明なボーカルの音像と倍音の煌めき感をほんのりと感じさせるアコギやウッドベースの弦のタッチが高解像に融合。S/Nも高く、楽器にかぶりつくように聴いているかのようなダイレクトかつストレートなサウンドだ。
Suara『DSDライブセッション』〜桜(OTOTOY:2.8MHz・DSD)においてはスカッと鮮やかに浮き立つバイオリン、ギターのアタック感と分離良くくっきりと空間に浮かぶボーカルのリアルな描写が付帯感なく聴くことができる。爽快でくすみが全く感じられない高鮮度なサウンドで、リヴァーブの清々しさも高S/Nな音場再現力により分離良くきめ細やかに表現。音像はスリムだが、ディティールをとことん突き詰めたリアルさに溢れた描写力を実感した。
高域にかけての倍音表現は適度なハリを感じさせるが、AKGらしい上品な音色にまとめられており、リズム隊もキレ良くすっきり聴かせてくれる。「K545」は、スタジオ系密閉モニターの系譜を色濃く感じさせる、高解像度サウンドを身上としたニュートラル基調のコンパクト機といえるのではないだろうか。