AKG「K845BT」レビュー − 高い基礎力に先進機能を搭載したBluetoothヘッドホン
新たなAKG密閉型のあり方を提示した「K550」の流れを踏襲し、コンパクトにまとめ上げた弟分のオーバーイヤー密閉型モデル「K545」。この「K545」をベースに、Bluetooth技術を積み込んだワイヤレスヘッドホンが「K845BT」である。
ペアリングを簡易に実施できるNFCも搭載したほか、電源を入れずともパッシブなヘッドホンとして使用できるステレオミニジャック・アナログ入力も装備。ただしケーブル着脱口は一般的な片出し方式とは逆のRch側に設けられる。
「K545」と同じ50mmドライバーを搭載し、背面側の圧力を最適化するベンチレーション・システムやバスレフポートを備える内部ハウジング構造により、振動板のスムーズな振幅を助けるインナー・バスレフ・エンクロージャーも採用。ハンズフリー通話やプレーヤーの操作・ボリューム調整を行うリモコンキーをハウジングに備えたほか、プロテインレザーと低反発素材によるクッション材によるイヤーパッドの効果もあり、オーバーイヤー型であっても快適な装着感を実現している。
Bluetoothヘッドホンはある種、ブランドの考える理想のヘッドホンの音鳴りを具現化させた設計となっていると言えるのではないか。というのは、ヘッドホンアンプの特性を含めてサウンドチューニングができるため、そのヘッドホンの持つ特性をありのまま発揮させることができるからだ。それはこの「K845BT」も同じようで、接続環境によって順応な反応を示すスマートな「K545」のサウンドとは対照的に、倍音表現も豊かで安定感ある膨らみ良い低域も味わえる耳馴染み良いサウンド傾向を持つ。
■無線/有線どちらの再生にも対応
取材したところaptX接続も可能
試聴はiPod touch(第4世代)とBluetooth接続して行った。レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜「木星」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)の弦はほっそりとしているが、ホーンはボディが太く、ティンパニもボディの響きの太さが際立つ。ローエンドは堂々としており、高域のハリの鮮やかさとバランスが取れた音質傾向だ。音場は平面的だが、解像感は程よく保たれている。
続いてジャズ音源である、オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では、ピアノのアタックは軽く明確だが、中低域にかけての倍音の伸びも素直で、ハーモニクスの厚みも程よく感じられる。ウッドベースの胴鳴りはむっちりと響き、弦のたわみもハリ良くくっきりと描く。ドラムの胴の太さも良く、スネアブラシの際立ちもバランス良い。リッチなスリーピースだ。
そしてロック音源のデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜「メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)はエレキのザクザク感、リヴァーブも良く響くが、ベースやキックの厚みをリッチに表現。ギターのディストーションはコシが深く、厚みも出てリッチなボディを堪能できた。ボーカルはハリ良い口元に厚みがあり、際立ちと太さのバランスが良い。スネアのアタック、シンバルの輝きも艶があり、軽やかな余韻もヌケ良くまとめる。
『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜「届かない恋」「夢であるように」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)のベースは豊かな胴鳴りを聴かせ、ホーンの階調細やかでハリ鮮やかなタッチも彩り良く際立つ。ピアノのタッチもクリアでシンバルワークも爽やかだ。キックドラムのアタックはベースよりも引っ込んでいる。アンビエント表現は倍音豊かでハリ良く華やかに響きが拡散。ボーカルはハリ良い艶の乗った口元を滑らかに表現。ボトムの厚みもあり重心の下がった安定感ある音色となる。
ここで試しにアナログケーブルで接続したワイヤード状態の音色も確認してみたが、ややフォーカスが甘くなるものの、素直なサウンドとなり、音像の厚みも自然で滑らかに表現。ボトムもふっくらとして安定感ある。高域の艶とハリもナチュラル指向で耳当たりが良い。
さらにAndroid端末である“AQUOS PHONE”「WX04SH」を用いてのBluetooth接続を試みたところ、aptXが有効となった。aptXはBluetooth接続環境において高音質・低遅延を実現するコーデックである。しかし「K845BT」のマニュアルやパッケージには全くaptXの記載がないのでこの事象には驚きを隠せなかったが、aptXなしの設定に切り替えて聴き比べるとその音質差は歴然としており、aptXへの対応はほぼ間違いないと思われる。
aptX有効時のサウンドはディティールのかさついた質感が改善され、滑らかで有機的なタッチに進化。倍音成分のハリも適度に抑えられ、ローエンドにおけるアタックの甘さやストリングスのハーモニーのくすみもなくなり、さらにリアルさが増した。ピアノのアタックも素直で、倍音のコントロールや音伸びも良い。ドラムの音色は程よく制動が効いてウッドベースも弾力良い。スネアブラシの脚色も抑えられ、弦のアタックも艶良くナチュラルだ。オーケストラの弦もきめ細やかでティンパニのアタックも皮と胴の響きが程よく融合。低域の厚みは変わらずリッチだが分解能は高めとなる。
エレキのリフはミュートの厚みがより良く描かれ、ボーカルも深みある口元のエッジが際立つ。ベースはリッチに押し出し、スネアドラムの胴も厚みがある。重心は下がり、どっしりとしたトーンが味わえた。ボーカルにかけられたリヴァーブの余韻も澄み渡り、低域のアタックもタイトで音場の見通しが向上した。
基本的なスペックも高い「K845BT」であるが、aptXによってその安定度はさらに盤石なものになると言えるだろう。
ペアリングを簡易に実施できるNFCも搭載したほか、電源を入れずともパッシブなヘッドホンとして使用できるステレオミニジャック・アナログ入力も装備。ただしケーブル着脱口は一般的な片出し方式とは逆のRch側に設けられる。
「K545」と同じ50mmドライバーを搭載し、背面側の圧力を最適化するベンチレーション・システムやバスレフポートを備える内部ハウジング構造により、振動板のスムーズな振幅を助けるインナー・バスレフ・エンクロージャーも採用。ハンズフリー通話やプレーヤーの操作・ボリューム調整を行うリモコンキーをハウジングに備えたほか、プロテインレザーと低反発素材によるクッション材によるイヤーパッドの効果もあり、オーバーイヤー型であっても快適な装着感を実現している。
Bluetoothヘッドホンはある種、ブランドの考える理想のヘッドホンの音鳴りを具現化させた設計となっていると言えるのではないか。というのは、ヘッドホンアンプの特性を含めてサウンドチューニングができるため、そのヘッドホンの持つ特性をありのまま発揮させることができるからだ。それはこの「K845BT」も同じようで、接続環境によって順応な反応を示すスマートな「K545」のサウンドとは対照的に、倍音表現も豊かで安定感ある膨らみ良い低域も味わえる耳馴染み良いサウンド傾向を持つ。
■無線/有線どちらの再生にも対応
取材したところaptX接続も可能
試聴はiPod touch(第4世代)とBluetooth接続して行った。レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜「木星」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)の弦はほっそりとしているが、ホーンはボディが太く、ティンパニもボディの響きの太さが際立つ。ローエンドは堂々としており、高域のハリの鮮やかさとバランスが取れた音質傾向だ。音場は平面的だが、解像感は程よく保たれている。
続いてジャズ音源である、オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では、ピアノのアタックは軽く明確だが、中低域にかけての倍音の伸びも素直で、ハーモニクスの厚みも程よく感じられる。ウッドベースの胴鳴りはむっちりと響き、弦のたわみもハリ良くくっきりと描く。ドラムの胴の太さも良く、スネアブラシの際立ちもバランス良い。リッチなスリーピースだ。
そしてロック音源のデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜「メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)はエレキのザクザク感、リヴァーブも良く響くが、ベースやキックの厚みをリッチに表現。ギターのディストーションはコシが深く、厚みも出てリッチなボディを堪能できた。ボーカルはハリ良い口元に厚みがあり、際立ちと太さのバランスが良い。スネアのアタック、シンバルの輝きも艶があり、軽やかな余韻もヌケ良くまとめる。
『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜「届かない恋」「夢であるように」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)のベースは豊かな胴鳴りを聴かせ、ホーンの階調細やかでハリ鮮やかなタッチも彩り良く際立つ。ピアノのタッチもクリアでシンバルワークも爽やかだ。キックドラムのアタックはベースよりも引っ込んでいる。アンビエント表現は倍音豊かでハリ良く華やかに響きが拡散。ボーカルはハリ良い艶の乗った口元を滑らかに表現。ボトムの厚みもあり重心の下がった安定感ある音色となる。
ここで試しにアナログケーブルで接続したワイヤード状態の音色も確認してみたが、ややフォーカスが甘くなるものの、素直なサウンドとなり、音像の厚みも自然で滑らかに表現。ボトムもふっくらとして安定感ある。高域の艶とハリもナチュラル指向で耳当たりが良い。
さらにAndroid端末である“AQUOS PHONE”「WX04SH」を用いてのBluetooth接続を試みたところ、aptXが有効となった。aptXはBluetooth接続環境において高音質・低遅延を実現するコーデックである。しかし「K845BT」のマニュアルやパッケージには全くaptXの記載がないのでこの事象には驚きを隠せなかったが、aptXなしの設定に切り替えて聴き比べるとその音質差は歴然としており、aptXへの対応はほぼ間違いないと思われる。
aptX有効時のサウンドはディティールのかさついた質感が改善され、滑らかで有機的なタッチに進化。倍音成分のハリも適度に抑えられ、ローエンドにおけるアタックの甘さやストリングスのハーモニーのくすみもなくなり、さらにリアルさが増した。ピアノのアタックも素直で、倍音のコントロールや音伸びも良い。ドラムの音色は程よく制動が効いてウッドベースも弾力良い。スネアブラシの脚色も抑えられ、弦のアタックも艶良くナチュラルだ。オーケストラの弦もきめ細やかでティンパニのアタックも皮と胴の響きが程よく融合。低域の厚みは変わらずリッチだが分解能は高めとなる。
エレキのリフはミュートの厚みがより良く描かれ、ボーカルも深みある口元のエッジが際立つ。ベースはリッチに押し出し、スネアドラムの胴も厚みがある。重心は下がり、どっしりとしたトーンが味わえた。ボーカルにかけられたリヴァーブの余韻も澄み渡り、低域のアタックもタイトで音場の見通しが向上した。
基本的なスペックも高い「K845BT」であるが、aptXによってその安定度はさらに盤石なものになると言えるだろう。