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公開日 2017/10/20 13:54

【レビュー】ラックスマン「L-505uXII」ー クラスを超えた高S/N、高い完成度を誇るプリメイン

最新ODNF回路を搭載
石原 俊
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ラックスマンがプリメインアンプのベーシックモデル「L-505uX」をモデルチェンジし、マークIIバージョン「L-505uXII」(関連ニュース)に進化させた。

ラックスマン「L-505uXII」¥268,000円(税抜)

同社がラインナップしているプリメインアンプは3系統に分類することが可能だ。すなわち真空管アンプと、終段素子のバイアスがA級方式のソリッドステートアンプと、AB級方式のソリッドステートアンプである。

余談めくがこれら3系統のメリットとデメリットを記しておこう。真空管アンプは出力トランスを積んでいるのでスピーカーの逆起電力に強いが、通常のプリメイン規模のモデルでは大出力は望めない。A級動作のソリッドステートアンプは滑らかで温かみのある音色が得られるが、真空管アンプほどではないにしても大出力が得にくく、また発熱が大きい。AB級ソリッドステートアンプは大出力が得やすいものの、A級動作機のような滑らかな聴き味が得にくい。ただし、素子の発熱が少ないのでクールな表現が得られる。

L-505uXIIはAB級式の末弟に位置付けられるモデルだ。出力は100W×2(8Ω)。したがって、比較的安価な予算で低能率な現代の高性能スピーカーを鳴らすためのモデルと受け取ることができる。

L-505uXIIの製品プロフィール

本機の内容を見ていこう。筐体の横幅は440mmで、これは同社の他のソリッドステート式機と共通だ。エントリークラスのモデルではあるが、筐体はしっかりと作られており剛性が高い。ノブ/スイッチ類の感触もこの価格帯の製品としては上々で、積極的に操作したくなる。

プリアンプ部の心臓部の音量調整回路は電子式のLECUAだ。これは可変抵抗を使わず、多数の固定抵抗を電子制御することで88ステップの音量調整をするができるスグレモノである。左右バランス調整機能もLECUAで一元管理される。この種の回路は可変抵抗を使用しないので鮮度の高い音が得やすい。もちろん高いSN比が期待できる。トーンコントロール回路はLECUAではないが、これはバイパスすることが可能だ。

内部の様子

プリアンプ部の心臓部、高純度電子制御アッテネーターLECUAを採用

プリアンプ部の出力段には単体プリアンプ「C-900u」と同等のディスクリート・バッファー回路が起用されている。この回路は「パワーアンプをドライブする」という発想で作られており、トータル的な音質向上に資するものと思われる。なお、本機のプリ部とパワー部は、それぞれ単体としても使用可能だ。本機のプリアンプ部にはMM/MC対応のフォノイコライザーが搭載されている。

パワーアンプ部はラックスマンのお家芸であるODNF回路で、前モデルがバージョン2.3だったのに対して本機ではバージョン4.0になった。終段の素子はバイポーラ・トランジスタで、これをパラレル・プッシュプル接続することで、前述のように100W×2(8Ω)の出力を叩きだす。4Ω時の出力は150W×2で、インピーダンスの低下に対してリニアに上昇するわけではないが、このクラスのモデルとしては十分である。

ODNF回路は最新のバージョン4.0を搭載

出力段のスピーカーリレーは前モデルではシングルだったが、本機ではパラレル化された。この処理等によってダンピングファクターが、前モデルの180から210に上昇している。

ここでダンピングファクターについて少し解説しておこう。ダンピングファクターはパワーアンプのドライブ能力を表す指標としてしばしば使われる数値で、スピーカーの一般的なインピーダンスである8Ωの抵抗をパワーアンプに接続した時に生じるアンプ側の出力インピーダンスを測定し、その数値を分母に、分子に8Ωを代入して求める(単位で単位を割るので単位は消滅してしまう)。

ダンピングファクターを重視するか否かについては意見の分かれるところではある。しかしながら、終段の素子がスピーカーの逆起電力に対する抵抗になる、いわゆる従来型のアナログ式ソリッドステート式アンプにおいて、ダンピングファクターの数値は重要であるというのが筆者の見解だ。


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