公開日 2019/06/04 11:49

さよなら、iTunes。誕生、成長、混乱、そして終焉までの18年間を振り返る

次期アプリの使い勝手に期待

2010年:インターフェース変更とクラウド傾倒の始まり

Ver.8系列ではあまり印象的な出来事はなかった。強いて言えば前述の「パーティーシャッフルが『iTunes DJ』に名称変更」したことくらいだろうか。そしてVer.9でも「インターフェース刷新」があったとのことだが、やはり、あまり記憶にない。

だがしかし!2010年9月登場のVer.10から流れが変わる。このVer.10には、「iTunes Ping」が搭載されたのだ!……ソレナンデシタッケ?

Pingとは音楽を軸にしたSNSや相互レコメンドネットワーク的なもので、ジョブズ氏曰く「FacebookとTwitterがiTunesに出会ったようなもの」なのだ!……いや僕も使ったことないからわからんけど。そして早くも2012年9月30日にサービス終了しているので、今から確かめることもできない。


「iTunes Ping」搭載!ナンデスカソレ!
思うにこれ、サブスク時代にこそヒットしたかもしれないサービスだったのではなかろうか。早すぎたんだ…。

このVer.10系列では、2011年10月の10.5で「iTunes in the Cloud」に対応、2011年11月の10.5.1でiTunes Matchに対応と、アメリカなどではクラウド系機能の追加ラッシュが始まった。終わりの始まりは、この頃かもしれない。


Ver10.5で「iTunes in the Cloud」に対応

Ver10.5.1でiTunes Matchに対応
これらのクラウド機能については、ユーザーがローカルで手動整理していたタグ情報やアートワークが、クラウド側の情報をもとに改変されてしまうという事態の報告を「稀に」とは言えないほどの頻度で見かけた。それは困ると、個人的には今日に至るまで利用を回避し続けている。

その問題があったため、その後iTunesと統合されたApple Musicの利用に二の足を踏んでいるというユーザーも、少なからずいるのではないだろうか。

2012年から現在まで:混沌のるつぼは、新アプリへの序章?

2012年11月発表のVer.11.0ではまたも、インターフェース刷新(「次はこちら」搭載、Cover Flow廃止など)、iCloud連携の強化が行われるも、その後は大きな改良も機能追加もなく、2014年10月にVer.12.0.1が登場。そこでさらに、またもやインターフェース刷新が行われる。


Ver.12.0.1でさらなるインターフェースの刷新
時代ごとに求められる機能性も変わってくるのだから、不変のインターフェースにこだわりすぎる必要はない。しかし、普遍的な使いやすさや美しさを備えたインターフェースデザインであれば、わずか二年での連続刷新ということにはならないだろう。

この頻繁なインターフェース刷新は、近年のiTunesにアップル自身が確信を持てていなかったからなのではなかろうか。そう思えてしまう。

そして2015年7月にリリースされたVer.12.2でのApple Music対応、2017年9月に登場したVer.12.7でのApp購入&管理機能の廃止は、以前より指摘されていた「機能増改築」「肥大化」への明確な対策の始まりと言えるだろう。

今回、音楽機能のみに特化した「Apple Music」アプリに生まれ変わるわけだが、その準備はすでに始まっていたというわけだ。

この時期の混乱は、次なる音楽アプリを生み出すために必要な試行錯誤だった。結果的にこの混沌があってこそ、素晴らしい新アプリが生み出された。そんな風に思える未来が来るとよいのだが…。

そして2019年:再び最高の音楽アプリへと生まれ変わる最大最後のチャンス!

そんなわけで、近年のiTunesは「インターフェース刷新」も「機能追加」も空回りしていた印象だ。ユーザーがバージョンアップに期待ではなく不安を覚えるという、実に悲しい状況だった。

今回発表された「Apple Music」アプリがどのような仕上がりになるのか、執筆時点ではわからない。

だが何にせよ、その新アプリを一から育てていけるここからの数年を逃せば、ユーザーからの厚く熱い支持を取り戻せるチャンスは、二度と再び訪れない可能性が高いだろう。


「Apple Music」アプリに期待!「世界最高かつ最も使いやすいジュークボックス」をもう一度!
アップルさん、いまです!このチャンスに全力で!「世界最高かつ最も使いやすいジュークボックスソフトウェア」をもう一度お願いします!

(高橋 敦)

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