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公開日 2020/08/19 06:30

山下達郎が「MUSIC/SLASH」で行った高音質ライブ配信を、本気のオーディオで聴いてみた

『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』体感レポート
岩井 喬
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新型コロナウイルスの影響により、エンターテインメントの在り方が大きく変わりつつある今。音楽においてはライブの配信が多く行われ出しているが、去る7月30日、“業界最高水準”の音質を誇る「MUSIC/SLASH」のこけら落としとして、山下達郎のライブストリーミング『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』が開催された。さまざまな意味で注目を集めたこのライブ配信は、果たしてどれほどの完成度だったのだろうか。岩井 喬氏が評する。

“音楽を最高品質で提供する” 動画配信サービス「MUSIC/SLASH」

これまでの動画配信サービスとは一線を画す「MUSIC/SLASH」の取り組みが注目されている。「音楽を愛し、音楽を本当に届けたい人、届けて欲しいと願う人のために音楽を最高品質で提供する」という想いを持つ本サービス、その試金石となる山下達郎ライブストリーミング『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』が、去る7月30日に実施された。

「MUSIC/SLASH」は、オーディオファンがいま注目すべき動画配信サービスのひとつだ

まずはMUSIC/SLASHが誕生した背景について触れておこう。新型コロナウイルスの影響はエンターテインメント業界にも猛威を振るっており、アーティスト活動の要であるライブは、規模の大小にかかわらず、軒並み中止に追い込まれている。

この数か月、無観客でのライブを収録もしくは生中継し、有料動画配信・動画共有するサービスもいくつか登場しているが、有料とするには映像や音質のクオリティが低く割に合わないケースや、配信されたコンテンツを違法にアップロードする著作権侵害の温床となっているケースもあり、実際のライブ開催とのギャップを埋めるためにはまだまだ課題が山積している状態ともいえるだろう。そうした中、このような問題の数々を解決するべく生まれたのがMUSIC/SLASHである。
 
1回のライブ配信に対して最大視聴者数を無制限としたチケット販売、チケット購入者限定配信、デジタル著作権管理機能を搭載した配信、そして業界最高水準の高音質AAC-LC 384kbpsでの音声配信をワンパッケージとしたサービスだ。サービス名の「SLASH」、そして「/」には “区切り” という意味があるが、「現状に区切りをつけ、未来に繋げてゆく新たなサービス」という深い想いも込められているという。

オーディオファンとしては何よりも、高音質にこだわるストリーミング配信や、「音楽を最高品質で提供する」というコンセプトが特に胸に刺さる。これは応援せずにはいられないサービスだ。

MUSIC/SLASHの仕組み

山下達郎のライブが見られる! それだけでも貴重

『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』は、熱心なファンを中心にライブストリーミングの発表以降、高い関心が寄せられていた。その理由はまず、日本を代表するミュージシャンである山下達郎の映像作品そのものに触れることができる機会が極めて少ないからだ。

氏は今年でメジャーデビュー45周年を迎えるが、ライブ映像は過去に劇場作品『山下達郎 シアター・ライブPERFORMANCE 1984-2012』として公開されたことがあるくらいで、パッケージソフトにもされていないのである。だからこそ、今回のライブストリーミングは、非常に希少価値の高い機会として注目されていた。

事前に発表されていたのは、2018年に京都の老舗ライブハウス『拾得(じっとく)』で行われたアコースティックライブから数曲と、2017年『氣志團万博』での約40分間のパフォーマンスをノンカット配信するということ。さらに今回の配信に向け、あらかじめ山下達郎が自ら映像/音源をチェックしたうえ、MUSIC/SLASHのために最適化した音質でミックスを実施。テイクを差し替えるなどの編集を行っていない、リアルなライブの雰囲気を最良の形で楽しめるよう万全を期した特別仕様だ。

映像に関してはH.264(mp4)1080pのフルHD、音声は前述の通りAAC-LC 384kbpsの2chで配信を行う。なお、インターネット環境としては、MUSIC/SLASHでは常時15Mbps以上の通信速度の確保を推奨している。

この関係者の熱意が詰まった貴重なライブストリーミング配信を、できる限りの高音質で体感したい。その時間、1回限りのオンラインライブだから、こちらも失敗は許されない。そこで編集部の協力のもと、さまざまな機材を取り揃えて、約束の時、7月30日20時から音元出版の試聴室で検証をおこなうことにした。

注目のライブストリーミングに向けて、最高の環境をセッティング

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