公開日 2021/12/08 06:30
“開放型+ワイヤレス”という個性。オーディオテクニカ「ATH-HL7BT」は今こそ注目のヘッドホンだ
【特別企画】傑作級の音質と利便性を両立
音楽リスニングの定番アイテムであるヘッドホンには、密閉型/開放型、有線/ワイヤレス、さらにはノイキャン対応モデルなど様々なバリエーションが登場している。
しかし、“開放型のワイヤレス” というヘッドホンは市場全体を見渡しても珍しい。オーディオテクニカから登場した「ATH-HL7BT」は、ヘッドホンラバーならぜひ押さえておきたい、そんな希少な開放型ワイヤレスヘッドホンだ。
本記事では、開放型とワイヤレス接続のメリットを兼ね備えた、ATH-HL7BTの個性的な魅力を徹底紹介。オーディオ評論家による製品紹介および音質レビューと、編集部員が実際使って感じた製品の魅力を、前後編に分けて詳しくお伝えしよう。
開放感+ワイヤレス。「ATH-HL7BT」は今の時代にピッタリな高音質ヘッドホン
■自然と周りの音が聞こえる “開放型ならではの価値”が、今のライフスタイルにマッチする
ヘッドホンは100年以上前に密閉型として誕生したが、やがて快適な装着感や音のヌケの良さを求める新方式として開放型(オープン・エア型とも呼ばれる)が登場。イヤーパッド内の音反射の影響を受けない自然な鳴りや、外の音との一体感を理由に、音楽制作やハイエンド用に脈々と受け継がれてきた。
オーディオテクニカもまた、「ATH-ADX5000」を頂点とする開放型ヘッドホンを作り続けている老舗の一社だ。
なぜ、開放型ヘッドホンなのか。在宅時間の伸びた2021年という今、オーディオテクニカの開放型モデル最新機として登場したATH-HL7BTに触れてみると、以前とは違った捉え方もできる。
まず、ATH-HL7BTは見た目以上に軽く、その質量はたった220g。軽さというのは開放型ヘッドホンの特徴でもあり、長時間装着しても圧倒的にラクだ。また開放型ヘッドホンは音漏れするというネガティブな捉えられ方をすることもあるが、おかげで長時間装着していても、密閉感から来るストレスがない。
さらに、来客のインターホンや人から呼びかけられる声など “自然と外の音が聞こえて便利” だったりもする。家で過ごす時間が長くなり、音漏れを気にせずヘッドホンを使えるシーンが増えたことで、メリットばかりが前に立つようになった。もしかしたら、開放型ヘッドホンに過去一番の追い風が吹いている時が、今かもしれない。
そしてBluetooth接続が現在のトレンドであることは言うまでもない。ワイヤレスの利便性はすでに誰しもが承知の通りだろうし、そこに上述のオーディオテクニカならではの作り込みによる開放型ヘッドホンの特徴が加わったATH-HL7BTは、まさに唯一無二と呼べる。
■密閉型のような迫力も兼備したサウンド。情報量豊かで見通しよく、リッチな鳴りが魅力
実際にATH-HL7BTを、Androidスマートフォン「Xperia1II」とBluetoothで接続して音楽再生を試してみる。その音質はかなり良好だ。宇多田ヒカル「あなた」を聴くと、鮮やかに歌声が引き立ち、情報量も豊富でリッチに再現してくれる。
開放型だけあって音場の見通しも良く、その一方で、楽器の確かな存在も感じさせるチューニングが巧みだ。低音のリズム感もしっかり出ていて、意外なほどに密閉型の鳴りに近い。
YOASOBI「群青」を聴いても、さまざまな楽器の中でクリアに響く歌声の通りの良さ、どこまでも広がるコーラスの空間再現は秀逸。Official髭男dism「Pretender」も、ギター、ピアノ、ボーカル全てにエネルギーを秘めたような情熱的なサウンドが心地よい。
ATH-HL7BTは付属の3.5mmケーブルで有線接続することで、ハイレゾ再生も可能だ。今度はXperia1IIと有線接続して音質をチェック。Bluetooth接続時と同傾向にまとめつつ、宇多田ヒカル「あなた」では音の繊細さがアップしている。YOASOBI「群青」では声の情報量が増し、よりクリアになる。Official髭男dism「Pretender」も音の分解能が増して、より多くの楽器の音を聴き分けられるようになる。
そして本機は、ソニーの立体音響『360 Reality Audio』認定ヘッドホンでもある。接続をBluetoothに戻して、Amazon Musicで360 Reality Audioを有効にし、YOASOBI「群青」を聴いてみると、その効果を存分に発揮してくれた。
楽曲のボーカルはセンターの頭上近くに定位。キーボードの音は遊び心たっぷりに左右に移動する。音空間も広さだけでなく、位置感も正確になり、コーラスはセンターからワイドへと広がる。これが360 Reality Audioが目指していた、新しい臨場感の音楽体験なのか!とリアルに実感する。
ヘッドホン選びで一番重視するポイントはまず音質だと思うが、ATH-HL7BTは、同価格のヘッドホンの中でもかなりのサウンドクオリティ。正直、この高音質だけでも傑作級の出来栄えといえる。
そして開放型で装着していてラクで、外の音も聞こえて、ハイレゾ対応で、360 Reality Audio対応と付加機能も満載。あまりに推しポイントの多いATH-HL7BTは、ヘッドホン好きなら一台確保しておくことをオススメしたい。
(文:折原一也)
「ATH-HL7BT」と過ごす一日、生活に溶け込むヘッドホン
実際に1人のヘッドホン好きが、生活のなかでATH-HL7BTをどう活用していくのか? 時系列に沿ってレポートしたい。
しかし、“開放型のワイヤレス” というヘッドホンは市場全体を見渡しても珍しい。オーディオテクニカから登場した「ATH-HL7BT」は、ヘッドホンラバーならぜひ押さえておきたい、そんな希少な開放型ワイヤレスヘッドホンだ。
本記事では、開放型とワイヤレス接続のメリットを兼ね備えた、ATH-HL7BTの個性的な魅力を徹底紹介。オーディオ評論家による製品紹介および音質レビューと、編集部員が実際使って感じた製品の魅力を、前後編に分けて詳しくお伝えしよう。
開放感+ワイヤレス。「ATH-HL7BT」は今の時代にピッタリな高音質ヘッドホン
■自然と周りの音が聞こえる “開放型ならではの価値”が、今のライフスタイルにマッチする
ヘッドホンは100年以上前に密閉型として誕生したが、やがて快適な装着感や音のヌケの良さを求める新方式として開放型(オープン・エア型とも呼ばれる)が登場。イヤーパッド内の音反射の影響を受けない自然な鳴りや、外の音との一体感を理由に、音楽制作やハイエンド用に脈々と受け継がれてきた。
オーディオテクニカもまた、「ATH-ADX5000」を頂点とする開放型ヘッドホンを作り続けている老舗の一社だ。
なぜ、開放型ヘッドホンなのか。在宅時間の伸びた2021年という今、オーディオテクニカの開放型モデル最新機として登場したATH-HL7BTに触れてみると、以前とは違った捉え方もできる。
まず、ATH-HL7BTは見た目以上に軽く、その質量はたった220g。軽さというのは開放型ヘッドホンの特徴でもあり、長時間装着しても圧倒的にラクだ。また開放型ヘッドホンは音漏れするというネガティブな捉えられ方をすることもあるが、おかげで長時間装着していても、密閉感から来るストレスがない。
さらに、来客のインターホンや人から呼びかけられる声など “自然と外の音が聞こえて便利” だったりもする。家で過ごす時間が長くなり、音漏れを気にせずヘッドホンを使えるシーンが増えたことで、メリットばかりが前に立つようになった。もしかしたら、開放型ヘッドホンに過去一番の追い風が吹いている時が、今かもしれない。
そしてBluetooth接続が現在のトレンドであることは言うまでもない。ワイヤレスの利便性はすでに誰しもが承知の通りだろうし、そこに上述のオーディオテクニカならではの作り込みによる開放型ヘッドホンの特徴が加わったATH-HL7BTは、まさに唯一無二と呼べる。
■密閉型のような迫力も兼備したサウンド。情報量豊かで見通しよく、リッチな鳴りが魅力
実際にATH-HL7BTを、Androidスマートフォン「Xperia1II」とBluetoothで接続して音楽再生を試してみる。その音質はかなり良好だ。宇多田ヒカル「あなた」を聴くと、鮮やかに歌声が引き立ち、情報量も豊富でリッチに再現してくれる。
開放型だけあって音場の見通しも良く、その一方で、楽器の確かな存在も感じさせるチューニングが巧みだ。低音のリズム感もしっかり出ていて、意外なほどに密閉型の鳴りに近い。
YOASOBI「群青」を聴いても、さまざまな楽器の中でクリアに響く歌声の通りの良さ、どこまでも広がるコーラスの空間再現は秀逸。Official髭男dism「Pretender」も、ギター、ピアノ、ボーカル全てにエネルギーを秘めたような情熱的なサウンドが心地よい。
ATH-HL7BTは付属の3.5mmケーブルで有線接続することで、ハイレゾ再生も可能だ。今度はXperia1IIと有線接続して音質をチェック。Bluetooth接続時と同傾向にまとめつつ、宇多田ヒカル「あなた」では音の繊細さがアップしている。YOASOBI「群青」では声の情報量が増し、よりクリアになる。Official髭男dism「Pretender」も音の分解能が増して、より多くの楽器の音を聴き分けられるようになる。
そして本機は、ソニーの立体音響『360 Reality Audio』認定ヘッドホンでもある。接続をBluetoothに戻して、Amazon Musicで360 Reality Audioを有効にし、YOASOBI「群青」を聴いてみると、その効果を存分に発揮してくれた。
楽曲のボーカルはセンターの頭上近くに定位。キーボードの音は遊び心たっぷりに左右に移動する。音空間も広さだけでなく、位置感も正確になり、コーラスはセンターからワイドへと広がる。これが360 Reality Audioが目指していた、新しい臨場感の音楽体験なのか!とリアルに実感する。
ヘッドホン選びで一番重視するポイントはまず音質だと思うが、ATH-HL7BTは、同価格のヘッドホンの中でもかなりのサウンドクオリティ。正直、この高音質だけでも傑作級の出来栄えといえる。
そして開放型で装着していてラクで、外の音も聞こえて、ハイレゾ対応で、360 Reality Audio対応と付加機能も満載。あまりに推しポイントの多いATH-HL7BTは、ヘッドホン好きなら一台確保しておくことをオススメしたい。
(文:折原一也)
「ATH-HL7BT」と過ごす一日、生活に溶け込むヘッドホン
実際に1人のヘッドホン好きが、生活のなかでATH-HL7BTをどう活用していくのか? 時系列に沿ってレポートしたい。
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