公開日 2022/01/26 06:30
メイド・イン・ジャパンのスピーカーブランド「DEER」。60年を超える音質ノウハウをカーオーディオに投入!
【PR】励磁型ホーム用スピーカーも展開
メイド・イン・ジャパンにこだわるスピーカーブランド、DEER(ディアー)。あまり聞き慣れないブランド名かもしれないが、実は60年以上にも渡り、日本のスピーカーづくりの根底を支えていた会社・ローヤル産業が、2014年からスタートさせた自社ブランドである。有名ブランドのOEM、携帯電話やテレビにもそのスピーカーは搭載されており、「縁の下の力持ち」的な存在として日本のオーディオ産業を支えてきた。
DEERが現在主力として手掛けるのは、ホームリスニング用の励磁型スピーカーと、カスタムインストール用の車載スピーカーの2系統である。年初に、カーオーディオのフラグシップライン「RCXシリーズ」を取り付けたデモカーが完成したということで、カーオーディオコンテストの審査員も務める小原由夫氏に、そのサウンドを早速レポートしていただいた。
■数多くのOEMを手掛けてきた実績を武器に、自社ブランドDEERを設立
DEERは、ローヤル産業が擁するスピーカーの自社ブランド。ホーム用励磁スピーカーとカーオーディオ用モデルを複数機種展開しているが、ここでは先頃完成したばかりの同社のデモカーAudi Q5に搭載されたカーオーディオ用スピーカー「RCXシリーズ」をメインに紹介しよう。
本題に入る前に、ごく簡潔にローヤル産業の沿革を記しておきたい。今年設立60周年(創業75周年)を迎える同社は、知る人ぞ知るスピーカーメーカーと言ってよい。設立当初から他社ブランドのOEM開発と生産を引き受けており、全盛期の「CORAL」(70年代にFOSTEXと人気を二分した国内スピーカーメーカー)を影で支えた。現在は主に内外のカーオーディオブランドや、テレビ/スマホ用のスピーカーの開発を請け負っている。こうしてみると、黎明期から今日までの日本のオーディオを影で支えてきた1社といっては言い過ぎだろうか。もしかすると貴方が使っているスマホや自宅で観ているテレビに、ローヤル産業の技術が活かされたスピーカーが搭載されているかもしれない。
そんな黒子的な存在だった同社だが、それは「今までは」、という注釈がつく。
2014年、同社は満を持して自社ブランド「DEER」を立ち上げる。半世紀余りの他社ブランドとの仕事を通じて培ったテクノロジーやノウハウを傾注し、オリジナルの励磁型スピーカーを開発。17年にはその技術を永久磁石に転用して車載用スピーカー市場にも進出した。いずれも他社がやっていない独創性を重視している点がセールスポイント。
3代目となる現社長の小久保公二氏には、猛烈な自信と絶対的な後ろ盾がある。共に歩んできた技術部長の深澤重樹さんとの強力なタッグがあるからだ。
■採算度外視で生み出したカーオーディオのフラグシップシリーズ「RCX」
今回試聴したRCXシリーズはDEERのフラグシップ機であり、メーカーサイドにてクロスオーバーネットワーク等の用意のない、純粋なマルチアンプ用スピーカーだ(他に姉妹モデルのRJシリーズがある)。採算を度外視し、妥協を排して持てる技術を傾注した自信作とのこと。
基本的なマテリアルやメソッドは、ホーム用励磁スピーカーRFシリーズのそれを活用しているが、温度・湿度環境や振動など、ホーム用とは使用状況が異なる車載用ならではのモディファイが盛り込まれている。
17cmウーファーの「RCX170」は、真鍮削り出し後にニッケルクロムメッキ加工したフェイズプラグや、無垢アルミ材から削り出した磁気回路カバーなど、実に贅沢な仕様。強力なダンピングファクターを目指し、磁束密度が従来比25%増しとなっている。
ミッドレンジドライバーの「RCX080」はカーボンダストキャップを採用することで応答性を重視。取り付け性も考慮されたドライバーだ。
トゥイーター「RCX050」は、振動伝播速度を重視し、カーボン製ダイアフラムを採用した。フランジリングはデータ検証や試聴の繰り返しで決定された形状による、無垢真鍮材からの削り出し。仕上げはニッケルメッキとなっている。
これらのドライバーユニットは、いずれも設計者(深澤氏)自ら手組し、測定した後にペアマッチングが取られ、ミュージックでのエージングを行った後に出荷されるという、正真正銘のハンドメイド、メイド・イン・ジャパンである。
■ユニットの動的なS/Nも良好で、圧倒的な情報量を描き出す
デモカー/Audi Q5は、独メーカーBRAX社のDSPやアンプ類と組み合わせて取り付けられている。インストール作業は茨城の某有名ショップが担当したとのこと。前述の3ウェイに加え、30cmサブウーファー「RJ300」がラゲッジスペースにマウントされている。音源はソニー製DAPからのハイレゾコンテンツを聴いた。
一聴して感じられるのは、圧倒的な情報量だ。各ドライバーユニットの動的なS/Nもおそらくいいのだろう、微細な情報がありありと描写され、分解能が非常に高いのが分かる。加えてステレオイメージの奥行き感、立体感に長けているのも、先の高S/Nの恩恵であり、音楽の表情がたいそう豊かに聴こえるのが魅力。
クラシックのオーケストラはスケール感が雄大で、ホールのアンビエントがリッチな余韻を伴って広がっている。個々の楽器の質感もリアルで、ハーモニー/アンサンブルの構造がわかるようだ。
一方でヴォーカルは、ピンポイントな定位で音像フォルムが結ばれ、いたずらに肥大していない。実体感があり、語尾のニュアンスやイントネーションの様子もリアルに感じられる。
ローエンドはすっきりとしたタイトなもので、人によってはもう少し厚みがほしいと指摘するかもしれないが、深く沈んだ、しかも伸びのある低音が出ている。この辺りはインストールの方法でチューニングできそうだ。何しろ、鈍重さとは無縁のクイックな反応のよい低音であることに私は好感を持った。音量を上げていっても崩れることがなく、骨格・重心がしっかりしているのである。
取付け完了からまだ数日しか経っておらず、慣らし運転状態という感じなのか、3ウェイのまとまりという点ではこれから日毎によくなっていくと想像するが、ポテンシャルはかなりのレベルと感じた次第。大手メーカー製モデルとは違うSomethingを求める方にぜひ聴いてほしいDEER RCXスピーカーである。
【編集部より】
ローヤル産業が手掛けるホーム励磁型スピーカー「RSS-3000」「RSS-173」「RSS-133」の音質レビューについては、2月21日発売予定の『Audio Accessory vol.174』に掲載されます。こちらも合わせてお楽しみください。
(提供:ローヤル産業)
DEERが現在主力として手掛けるのは、ホームリスニング用の励磁型スピーカーと、カスタムインストール用の車載スピーカーの2系統である。年初に、カーオーディオのフラグシップライン「RCXシリーズ」を取り付けたデモカーが完成したということで、カーオーディオコンテストの審査員も務める小原由夫氏に、そのサウンドを早速レポートしていただいた。
■数多くのOEMを手掛けてきた実績を武器に、自社ブランドDEERを設立
DEERは、ローヤル産業が擁するスピーカーの自社ブランド。ホーム用励磁スピーカーとカーオーディオ用モデルを複数機種展開しているが、ここでは先頃完成したばかりの同社のデモカーAudi Q5に搭載されたカーオーディオ用スピーカー「RCXシリーズ」をメインに紹介しよう。
本題に入る前に、ごく簡潔にローヤル産業の沿革を記しておきたい。今年設立60周年(創業75周年)を迎える同社は、知る人ぞ知るスピーカーメーカーと言ってよい。設立当初から他社ブランドのOEM開発と生産を引き受けており、全盛期の「CORAL」(70年代にFOSTEXと人気を二分した国内スピーカーメーカー)を影で支えた。現在は主に内外のカーオーディオブランドや、テレビ/スマホ用のスピーカーの開発を請け負っている。こうしてみると、黎明期から今日までの日本のオーディオを影で支えてきた1社といっては言い過ぎだろうか。もしかすると貴方が使っているスマホや自宅で観ているテレビに、ローヤル産業の技術が活かされたスピーカーが搭載されているかもしれない。
そんな黒子的な存在だった同社だが、それは「今までは」、という注釈がつく。
2014年、同社は満を持して自社ブランド「DEER」を立ち上げる。半世紀余りの他社ブランドとの仕事を通じて培ったテクノロジーやノウハウを傾注し、オリジナルの励磁型スピーカーを開発。17年にはその技術を永久磁石に転用して車載用スピーカー市場にも進出した。いずれも他社がやっていない独創性を重視している点がセールスポイント。
3代目となる現社長の小久保公二氏には、猛烈な自信と絶対的な後ろ盾がある。共に歩んできた技術部長の深澤重樹さんとの強力なタッグがあるからだ。
■採算度外視で生み出したカーオーディオのフラグシップシリーズ「RCX」
今回試聴したRCXシリーズはDEERのフラグシップ機であり、メーカーサイドにてクロスオーバーネットワーク等の用意のない、純粋なマルチアンプ用スピーカーだ(他に姉妹モデルのRJシリーズがある)。採算を度外視し、妥協を排して持てる技術を傾注した自信作とのこと。
基本的なマテリアルやメソッドは、ホーム用励磁スピーカーRFシリーズのそれを活用しているが、温度・湿度環境や振動など、ホーム用とは使用状況が異なる車載用ならではのモディファイが盛り込まれている。
17cmウーファーの「RCX170」は、真鍮削り出し後にニッケルクロムメッキ加工したフェイズプラグや、無垢アルミ材から削り出した磁気回路カバーなど、実に贅沢な仕様。強力なダンピングファクターを目指し、磁束密度が従来比25%増しとなっている。
ミッドレンジドライバーの「RCX080」はカーボンダストキャップを採用することで応答性を重視。取り付け性も考慮されたドライバーだ。
トゥイーター「RCX050」は、振動伝播速度を重視し、カーボン製ダイアフラムを採用した。フランジリングはデータ検証や試聴の繰り返しで決定された形状による、無垢真鍮材からの削り出し。仕上げはニッケルメッキとなっている。
これらのドライバーユニットは、いずれも設計者(深澤氏)自ら手組し、測定した後にペアマッチングが取られ、ミュージックでのエージングを行った後に出荷されるという、正真正銘のハンドメイド、メイド・イン・ジャパンである。
■ユニットの動的なS/Nも良好で、圧倒的な情報量を描き出す
デモカー/Audi Q5は、独メーカーBRAX社のDSPやアンプ類と組み合わせて取り付けられている。インストール作業は茨城の某有名ショップが担当したとのこと。前述の3ウェイに加え、30cmサブウーファー「RJ300」がラゲッジスペースにマウントされている。音源はソニー製DAPからのハイレゾコンテンツを聴いた。
一聴して感じられるのは、圧倒的な情報量だ。各ドライバーユニットの動的なS/Nもおそらくいいのだろう、微細な情報がありありと描写され、分解能が非常に高いのが分かる。加えてステレオイメージの奥行き感、立体感に長けているのも、先の高S/Nの恩恵であり、音楽の表情がたいそう豊かに聴こえるのが魅力。
クラシックのオーケストラはスケール感が雄大で、ホールのアンビエントがリッチな余韻を伴って広がっている。個々の楽器の質感もリアルで、ハーモニー/アンサンブルの構造がわかるようだ。
一方でヴォーカルは、ピンポイントな定位で音像フォルムが結ばれ、いたずらに肥大していない。実体感があり、語尾のニュアンスやイントネーションの様子もリアルに感じられる。
ローエンドはすっきりとしたタイトなもので、人によってはもう少し厚みがほしいと指摘するかもしれないが、深く沈んだ、しかも伸びのある低音が出ている。この辺りはインストールの方法でチューニングできそうだ。何しろ、鈍重さとは無縁のクイックな反応のよい低音であることに私は好感を持った。音量を上げていっても崩れることがなく、骨格・重心がしっかりしているのである。
取付け完了からまだ数日しか経っておらず、慣らし運転状態という感じなのか、3ウェイのまとまりという点ではこれから日毎によくなっていくと想像するが、ポテンシャルはかなりのレベルと感じた次第。大手メーカー製モデルとは違うSomethingを求める方にぜひ聴いてほしいDEER RCXスピーカーである。
【編集部より】
ローヤル産業が手掛けるホーム励磁型スピーカー「RSS-3000」「RSS-173」「RSS-133」の音質レビューについては、2月21日発売予定の『Audio Accessory vol.174』に掲載されます。こちらも合わせてお楽しみください。
(提供:ローヤル産業)