PR 公開日 2024/09/12 06:30
音場感に長けた “万能” 電源ケーブル。ゾノトーンの最新作「Grandio PS-10」レビュー
高純度無酸素銅「C1011」を初採用
各種銅導体を独自の比率でハイブリッドし、音質チューニングを行うことで定評あるZONOTONE(ゾノトーン)。同社より最新素材を活用した電源ケーブル「Grandio PS-10」が発売となった。新たな挑戦でゾノトーンの音はどこまで進化したのか、上位グレード「7NPS-Shupreme1」やエントリーモデル「6NPS-3.5 Meister」との聴き比べも通じて探ってみた。
電源ケーブルの性能を司るパラメータとは何か。想定できるだけでも、導体の種類/純度、線径と配合比率、絶縁構造、プラグ/インレットの仕様など、ひじょうに多岐に渡る。それぞれをどう組み合わせるかによってメーカーの個性が生まれるわけだが、日本国内で販売する以上は電気用品取締法等の安全規格も順守しなければならない。完成までにいろいろ知恵を絞らなければならないのが、電源ケーブルの開発なのである。
では、そうした視点からゾノトーンの電源ケーブルを眺めた時、どのような特徴が見出だせるか。まず第一には、同社のケーブルは材質の異なる導体を複数組み合わせたハイブリッド構造であること。サウンドの傾向は、重心が低い超安定のエネルギーバランスで、重厚でパワフルな音を聴かせてくれることだ。そうしたポリシー、コンセプトにブレがなく、それが愛用者から長年信頼されてきた所以といっていいだろう。
しかし、最新の電源ケーブル「Grandio PS-10」を聴いて、そのような固定したイメージを少し軌道修正しなければならないと私は感じた。というのも、Grandio PS-10は奥行きの見通しがいいのだ。昨今私が意識している “見える音” の傾向を有していたのだ。
その辺りの真意をゾノトーンの代表取締役である前園力氏に問うと、「新しく採用する導体を吟味している際に、新しい視点を入れることによって、さらに私たちの望む音に近づいていったのです」と回答してくれた。
今回「HiFC」に代わって新たに採用されたのが、高純度無酸素銅「C1011」。導電性能と熱伝導性が高い同素材は、無酸素銅の中で最高規格の電子管用無酸素銅で、JIS規格の認証を日本で初めて取得した古河電気工業製の同素材を採用したとのこと。これを入手した前園氏は、その高いサウンドクオリティに目を付け、新たに配合比率や線径の組み合わせをカット&トライしていく中で優れた空間表現力を見出だしたというわけだ。
結果的にGrandioシリーズの新ケーブルに採用された導体素材は、超高純度6N銅、純銀コートOFC、高純度無酸素銅OFCという素性を把握した3種類に、先のC1011高純度銅を加えた4種類のハイブリッド仕様となった。これらを同社独自の黄金比率によって配合し、線径こそ先代よりも細い4.5スケア(3本/3芯)となったが、サウンドクオリティは確実にアップしたと前園氏は胸を張る。
電源プラグとインレットコネクタは、安全性を重視した一体モールド型で、接点のロジウムメッキと合わせて先代モデルのそれを継承。一方で外装ジャケットは、代替りの新鮮さを打ち出すべく、ブルーとダークブラウン(先代はブルーとブラック)の2色で編み上げたオリジナルだ。
試聴はアキュフェーズのセパレートアンプの組み合わせにおいて、パワーアンプの電源ケーブルを標準添付品から交換してみた。
ショルティ指揮/シカゴ響のSACD『バルトーク:管弦楽のための協奏曲』第5楽章では、冒頭のホルンの音がステレオイメージ内の奥の方から響いてくるのがわかる。それに伴って楽器の並ぶステージの奥行きが、添付の純正ケーブルに比べてより3次元的だ。もちろんゾノトーン伝統の音の魅力であるエネルギーバランスの安定感と重心の低さ、重厚なスケール感もしっかり伝承されている。
マンハッタントランスファーのCD『フィフティ』から「ゴット・オンリー・ノウズ」を聴くと、美しいストリングスオーケストラを背にして男女コーラスが立体的に浮かび上がった。そのハモリ具合のなんと豊かなことよ!アンサンブルのカラフルな色合いと共にハーモニーが空間にじんわり溶け込んでいくようなリッチネスを味わった。
今回比較用として準備した、同社のエントリーモデル「6NPS-3.5 Meister」(34,100円/税込、1.8m)とフラグシップモデル「7NPS-Shupreme1」(159,500円/税込、1.8m)も聴き比べてみた。前者はむしろ中低域が張り出してローエンドにもがっちりとした膨らみを感じる。往年のゾノトーンの音の特色を有した、さすがはロングセラーモデルと再認識した次第。一方の後者は2倍近い価格で贅を尽くしただけあって、骨格の確かさと超安定のピラミッドバランスを示した。情報量も圧倒的だ。
しかし空間表現力に関しては、新作のGrandio PS-10にはやはり魅力がある。そこで7NPS-Shupreme1をパワーアンプにつないだままとし、Grandio PS-10をアキュフェーズのSACDプレーヤーDP-770に使用してみた。するとどうだろう、末広がりのエネルギーバランスはそのままに、音場の見通しがさらに高まったようなクリアネスがもたらされた。声のニュアンスを始め、ディテールの分解能もより向上。バルトークを聴いても、合奏の管楽器の厚みやスケール感と共に、アンサンブルの細部が一段と精密に再現された。
Grandio PS-10は当初アナログ系やアンプにマッチングがよさそうと踏んだが、デジタル系とも相性がいい。音場感にも長けたケーブルとして、その万能性が重宝しそうだ。
※「HiFC」は株式会社プロテリアルの登録商標です。
※「C1011」はJIS規格(JIS H3510)に準拠した品質基準の無酸素銅の中で最高の導電性と熱伝導性を誇る電子管用無酸素銅です。
(提供:前園サウンドラボ)
高純度無酸素銅「C1011」を初採用し “空間の見通し” を強化
電源ケーブルの性能を司るパラメータとは何か。想定できるだけでも、導体の種類/純度、線径と配合比率、絶縁構造、プラグ/インレットの仕様など、ひじょうに多岐に渡る。それぞれをどう組み合わせるかによってメーカーの個性が生まれるわけだが、日本国内で販売する以上は電気用品取締法等の安全規格も順守しなければならない。完成までにいろいろ知恵を絞らなければならないのが、電源ケーブルの開発なのである。
では、そうした視点からゾノトーンの電源ケーブルを眺めた時、どのような特徴が見出だせるか。まず第一には、同社のケーブルは材質の異なる導体を複数組み合わせたハイブリッド構造であること。サウンドの傾向は、重心が低い超安定のエネルギーバランスで、重厚でパワフルな音を聴かせてくれることだ。そうしたポリシー、コンセプトにブレがなく、それが愛用者から長年信頼されてきた所以といっていいだろう。
しかし、最新の電源ケーブル「Grandio PS-10」を聴いて、そのような固定したイメージを少し軌道修正しなければならないと私は感じた。というのも、Grandio PS-10は奥行きの見通しがいいのだ。昨今私が意識している “見える音” の傾向を有していたのだ。
その辺りの真意をゾノトーンの代表取締役である前園力氏に問うと、「新しく採用する導体を吟味している際に、新しい視点を入れることによって、さらに私たちの望む音に近づいていったのです」と回答してくれた。
今回「HiFC」に代わって新たに採用されたのが、高純度無酸素銅「C1011」。導電性能と熱伝導性が高い同素材は、無酸素銅の中で最高規格の電子管用無酸素銅で、JIS規格の認証を日本で初めて取得した古河電気工業製の同素材を採用したとのこと。これを入手した前園氏は、その高いサウンドクオリティに目を付け、新たに配合比率や線径の組み合わせをカット&トライしていく中で優れた空間表現力を見出だしたというわけだ。
結果的にGrandioシリーズの新ケーブルに採用された導体素材は、超高純度6N銅、純銀コートOFC、高純度無酸素銅OFCという素性を把握した3種類に、先のC1011高純度銅を加えた4種類のハイブリッド仕様となった。これらを同社独自の黄金比率によって配合し、線径こそ先代よりも細い4.5スケア(3本/3芯)となったが、サウンドクオリティは確実にアップしたと前園氏は胸を張る。
電源プラグとインレットコネクタは、安全性を重視した一体モールド型で、接点のロジウムメッキと合わせて先代モデルのそれを継承。一方で外装ジャケットは、代替りの新鮮さを打ち出すべく、ブルーとダークブラウン(先代はブルーとブラック)の2色で編み上げたオリジナルだ。
楽器の並ぶステージの奥行きが三次元的に再現される
試聴はアキュフェーズのセパレートアンプの組み合わせにおいて、パワーアンプの電源ケーブルを標準添付品から交換してみた。
ショルティ指揮/シカゴ響のSACD『バルトーク:管弦楽のための協奏曲』第5楽章では、冒頭のホルンの音がステレオイメージ内の奥の方から響いてくるのがわかる。それに伴って楽器の並ぶステージの奥行きが、添付の純正ケーブルに比べてより3次元的だ。もちろんゾノトーン伝統の音の魅力であるエネルギーバランスの安定感と重心の低さ、重厚なスケール感もしっかり伝承されている。
マンハッタントランスファーのCD『フィフティ』から「ゴット・オンリー・ノウズ」を聴くと、美しいストリングスオーケストラを背にして男女コーラスが立体的に浮かび上がった。そのハモリ具合のなんと豊かなことよ!アンサンブルのカラフルな色合いと共にハーモニーが空間にじんわり溶け込んでいくようなリッチネスを味わった。
今回比較用として準備した、同社のエントリーモデル「6NPS-3.5 Meister」(34,100円/税込、1.8m)とフラグシップモデル「7NPS-Shupreme1」(159,500円/税込、1.8m)も聴き比べてみた。前者はむしろ中低域が張り出してローエンドにもがっちりとした膨らみを感じる。往年のゾノトーンの音の特色を有した、さすがはロングセラーモデルと再認識した次第。一方の後者は2倍近い価格で贅を尽くしただけあって、骨格の確かさと超安定のピラミッドバランスを示した。情報量も圧倒的だ。
しかし空間表現力に関しては、新作のGrandio PS-10にはやはり魅力がある。そこで7NPS-Shupreme1をパワーアンプにつないだままとし、Grandio PS-10をアキュフェーズのSACDプレーヤーDP-770に使用してみた。するとどうだろう、末広がりのエネルギーバランスはそのままに、音場の見通しがさらに高まったようなクリアネスがもたらされた。声のニュアンスを始め、ディテールの分解能もより向上。バルトークを聴いても、合奏の管楽器の厚みやスケール感と共に、アンサンブルの細部が一段と精密に再現された。
Grandio PS-10は当初アナログ系やアンプにマッチングがよさそうと踏んだが、デジタル系とも相性がいい。音場感にも長けたケーブルとして、その万能性が重宝しそうだ。
※「HiFC」は株式会社プロテリアルの登録商標です。
※「C1011」はJIS規格(JIS H3510)に準拠した品質基準の無酸素銅の中で最高の導電性と熱伝導性を誇る電子管用無酸素銅です。
(提供:前園サウンドラボ)