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公開日 2022/12/30 10:00

ヒゲダン、藤井風、レッチリ……オーディオ評論家が試聴に使った2022年の曲はこれだ!【Part.2】

評論家は「曲のどんなポイント」を聴いている?
ファイルウェブ編集部
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2022年もあとわずか。今年も多くのオーディオ機器が登場し、ファイルウェブではたくさんの新製品レビューを掲載させていただきました。

「オーディオ」というとジャズやクラシックの名盤を聴くイメージが強いかもしれませんが、オーディオ評論家の方によるレビューを見ていると、J-POPやロック、アニソン、EDMなど「今の楽曲」で試聴を行うケースも少なくありません。

そこで、ファイルウェブにて記事を執筆いただいているオーディオ評論家の方々に、この1年間に登場した楽曲の中から、「特にオーディオ機器の試聴で使ったリファレンス曲」をピックアップしていただきました。

また、それぞれの楽曲の聴きどころや、どの部分でオーディオ機器のどんな性能が測れるかなど、オーディオ評論家ならではのリファレンスポイントの解説や、個人的な思い入れについてのコメントもいただきました。

そしてApple Musicにて、皆さんがピックアップした楽曲をまとめたプレイリストも用意しました(一部未配信の曲を除く)。店頭でイヤホンの試聴をするときや、お持ちのオーディオ機器で音楽を聴くときの参考にしてみてください!

山本敦先生、高橋敦先生、野村ケンジ先生の選んだ曲を紹介するPart.1はこちら


選考基準
・2021年12月頃-2022年11月頃にかけてリリースされた、またはタイアップに使用されるなどで日の目を見た楽曲であること
※基準から外れているが取り上げたい曲がある場合、1曲までなら可
・選曲数は1人あたり最大3曲
・あくまで「オーディオ機器の試聴に用いた曲」であり、「オーディオ的に高音質か」は必ずしも重視しない
・CDやサブスク、ハイレゾなどの媒体形式は不問。ただし媒体形式もポイントとなる場合、その旨を記載する





草野晃輔先生が選ぶリファレンス曲
草野先生が執筆したレビュー記事はこちら


Official髭男dism/ミックスナッツ



皆さまご存じ、TVアニメ『SPY×FAMILY』のオープニング曲。Aメロ、Bメロ、サビとめまぐるしく曲調が変わり、SPY×FAMILYの世界観を上手に表現している。この曲は、主にストリーミング配信で試聴機器のベーシックな表現力を測るのに使った。

ポイントは歌詞が頭にスッと入ってくるかどうか。例えば、Aメロでは「リズムの1拍目(アクセント)」と「歌詞の文章的な切れ目」が一致しない。そのため、ボーカルのアクセントの強弱を上手に表現できない機器だと、歌詞の言葉がうまく聞き取れず、何を言っているのか即座にわからない。逆に、歌詞がスッと聴き取れれば、十分な表現力があると判断できる。

サビのベースラインも聴きどころの一つ。音がめまぐるしく変わるため塊になって聴こえやすいので、ひとつひとつの音が分離しているかどうかもチェックに使える。

Ado/新時代



3曲を選ぶのにあたり、高域や音の艶を確かめるのに女性ボーカル曲は外せない。Aimerの「残響散歌」もよく聴いたのだが、イントロの独唱がチェックするのに使いやすかったこともあり、Adoの「新時代」を選んだ。この曲は劇場版アニメ『ONE PIECE FILM RED』の主題歌で、CMでも使われていたので聴いたことがある人は多いだろう。

聴きどころはボーカルの力強さと、所々で裏返る絶妙な声の表現。例えば力強さでは音に圧を感じるほどパワフルなモデルもあれば、レコーディングされた音を素直に表現するモデルもある。裏声も同様で、ウォーミーにやや潤っていたり、ドライで冷静だったりと試聴する機器によって表情が変わる。価格や性能というより、作り手の意思や狙いがわかるような1曲だ。

シルク・ソニック/Skate



シルク・ソニックはブルーノ・マーズとアンダーソン・パークという、グラミー賞を複数部門で受賞している世界的ミュージシャンによるユニット。「Skate」は、初アルバム『An Evening with Silk Sonic』の収録曲で、60〜70年代のファンク&ソウルミュージックを思わせるグルーヴィなナンバー。

面白いのが、ダイナミックレンジに余裕があるというか、いい意味で平板な音作りであること。音圧が少ない分、スマホのスピーカーでも安いイヤホンでもラジオやカセットテープのような音質を楽しめる。一聴すると音が薄く感じられるが、実際はかなり音の密度が高いため、再生力がある機器ほど厚みが如実に増す。この違いを定点的に聴き比べていた。

なお、本作の発売は11月で指定期間をギリギリ外れているが、この1年で最も視聴に使った曲であり、無理を押して選ばせていただきたい。

次ページ秋山真先生が選ぶリファレンス曲

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