今回はフラグシップモデル「Lifestyle 48 III」の実機を視聴し、新シリーズのパフォーマンスをチェックしてみたい。5.1chのDVD再生の確認に使用したソフトは、お馴染みのハイクオリティなサラウンドソースを集めた“DTSデモディスク
No.9”だ。
|
▲今回Lifestyle
48 IIIのテストはボーズ視聴室で行った。愛用する評価用ディスクを本体にセットする折原氏 |
最初に選んだ『HERO』は、低音の響き、飛び交う矢のスピード感をチェックするのに愛用しているソースだ。Lifestye
48 IIIの持つ濃厚な低音の表現力は本作品でも的確に現れ、騎馬の迫り来る足音が醸し出す圧迫感、そして何よりリアリティを描き出す中域のキレが良い。弓から放たれた矢が空間を切り裂く余韻のキレは明瞭に響き、空間の静と動をキレのあるサウンドで描く。
次に再生した『マスター・アンド・コマンダー』は、特に緻密な情報量のあるサラウンドと高さの表現、そして砲撃による音圧のある低音の破壊力がチェックのポイントだ。サラウンドの表現力は、空間の広げ方が想像以上に見事であり、切れ目のない音の空間を包む高さの位置感表現は、スピーカーの存在を忘れさせてくれる。砲撃の破壊力も従来機と同等以上に馬力がある。
音楽CDはダイアナ・クラールの『THE GIRL IN THE OTHER ROOM』を選び、ボーカルと低音を中心にチェックした。音像の明確なボーカルの印象もさることながら、聴き慣れたこの作品では低音のクオリティが向上していることを発見した。従来機のベースモジュールではやや高めに鳴っていたベースが落ち着き、音楽的な忠実さを増している。
マーラー交響曲3番の第5楽章『Lustig im Tempo und keck im
Ausdruck』では、コーラスによる広がりをもった空間は“BoseDigital”によるアルゴリズム処理によって、自然な空間を再現する5.1chサウンドとして再生された。
|
|
|
▲CD再生時はサテライトスピーカーの設定を5ch/3ch/2chに変更して楽しむこともできる |
ベースモジュールの一新と新世代デバイスの採用によって、サラウンド再生のパフォーマンスも“第3世代”へと一新されたことが今回のテストで証明された。これだけのサウンドが小型のサテライトスピーカーと、いっそうのコンパクト化を実現したベースモジュールにより再生されていることを直に体験し、改めてボーズのホームシアターシステムの持つ、技術力の高さが思い知らされた。
新“Lifestyleシリーズ”の登場は、リビングの薄型大画面テレビにコンパクトなシステムを気軽に追加するだけで、本格派のサラウンド環境が実現できることを示す好例となるはずだ。
(レポート:折原一也)
|