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公開日 2021/05/27 11:48
6/25の株主総会で承認を受け、7/1に実行予定

オンキヨー、シャープ/VOXXへのホームAV事業譲渡を正式決定

編集部:川田菜月
オンキヨーホームエンターテイメントは、VOXXとシャープの両社が合弁設立する新会社に、ホームAV事業を譲渡することを決定した。

2021年5月26日付の同社取締役会において、VOXX International Corporationの子会社であるPREMIUM AUDIO COMPANY LLCと、シャープが合弁で設立する新会社に対して、オンキヨーのホームAV事業の全部を譲渡することに関する契約締結を行うことを決議したと発表。4月29日には、事業譲渡に向けた本格的な協議を行うと発表しており、正式に契約締結が進められることとなった。

譲渡価額は3,323百万円。事前の一部の債務と相殺の後、現金による決済を予定する。なお、譲渡対象事業に係る従業員は、一定割合以上が譲渡新会社により雇用されることが前提条件となっている。

今後の予定としては、2021年6月25日に開催予定の同社定時株主総会において承認を受けた上で実行予定とのこと。事業譲渡実行は2021年7月1日を予定する。

同社は、経営状況について「2013年度から経常損失が継続しており、取引先に対する営業債務の支払遅延が生じておりました」と説明。改善を図るべく、2019年5月21日付でDENON/Marantz/Polk Audioなどのオーディオブランドを持つSound United LLCのグループと事業譲渡契約を締結したが、様々な条件を達成することが両当事者間で難航した結果、中止に。

その後は、大規模なエクイティファイナンスによる資金調達による財務改善を目指していたが、株価の低迷や昨今の新型コロナウイルス感染症の影響、また米国の旧販売代理店の業績悪化などが重なり、2020年3月期で3,355百万円の債務超過に。引き続き継続的にエクイティファイナンスを実施し、財務状況の健全化を目指していたが、さまざまな影響から低迷が続き、結果として2021年3月期には2,369百万円の債務超過に陥ったことで、3月31日付で発表されたとおり、東京証券取引所ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触する見込みとなった。

これを受けて、事業継続のためにあらゆる選択肢の検討を行い、その中で、2020年よりオンキヨーの米国販売代理店となった11 Trading Company LLCの親会社であるVOXX社、および同社との合弁工場であるS&O Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.を通じて以前より取引のあったシャープ社と、本事業譲渡に関する協議を開始。ホームAV事業のビジネスにおいて、すでに協力関係にある両社を、事業譲渡のパートナーとして適任であると判断したと説明した。

本事業譲渡による対価はその大半がホームAV事業に関連する債権者の弁済に充てられるとのこと。なお、これにより同社の経営状況や資金繰り、現在生じている営業債務の支払遅延の全てが解消するものではないとしつつ、「このまま自らの力のみで事業運営を続けていくことはもはや困難」とし、本事業譲渡が唯一のとり得る方策であるとした。

今後について、同社は「残存する事業においても協業先やスポンサーを継続して探すとともに、構造改革やスリム化によるコスト削減を早期に実現し、小規模でも確実に収入を確保できる体制を整えてまいります」「一刻も早い債務の完済及び企業としての正常な事業運営のために、最大限の努力を尽くしてまいります」とコメントしている。

なお、本事業譲渡に伴う直接的な損益については精査中で、公表事項が判明した段階で速やかに開示するとしている。本事業譲渡の2022年3月期連結業績に与える影響額については、現在未開示の2022年3月期の連結業績予想に織り込む予定とのこと。

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