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公開日 2024/09/19 16:56
日本のIPを育てる足がかりに
U-NEXT、ワーナー「Max」との提携により見放題大幅拡充。国内作品のグローバル展開にも意欲
編集部:成藤 正宣
U-NEXTは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)と新たな独占パートナーシップを締結することを発表。9月25日(水)14時ごろより、WBDの展開する動画配信サービス「Max」がU-NEXTに登場し、U-NEXTの月額会員は追加料金無しでMaxの作品を見放題視聴することが可能になる。
これに際し、U-NEXTは「U-NEXT 新戦略発表会」を開催。代表取締役社長 堤 天心氏らが、パートナーシップに関する詳細や、U-NEXTを取り巻く現在の概況、今後の展開を含め説明した。
ここ数年のストリーミング市場は、コロナ禍の影響により大きく市場規模が拡大。巣ごもり需要が落ち着いた後も堅調に成長させてきた。その間にもU-NEXTは成長のためさまざまな取り組みを行っており、有料会員数は約433万人を数えている。
堤氏は特に大きなトピックとして、昨年6月30日に実施したParaviとのサービス統合をあげる。これにより、TBSやテレビ東京の人気番組約1万本をライブラリに追加し、元Paraviのユーザーも吸収。TBS/テレビ東京の番組内でも放送内告知を行い、知名度を大幅に向上できたと語る。
また、2022年から継続しているライブエンターテイメントへの注力も重要と堤氏。特に音楽のライブ/コンサート配信を拡充しており、「音楽のU-NEXT」としての立場を確立したと自信を見せる。
同時に、サッカー、ゴルフなどスポーツジャンルの強化も推進。例えばサッカーでは、2023年に結んだスペインのプロリーグ「ラ・リーガ」との5年契約に加え、今年7月にはイングランド「プレミアリーグ」との7年間にわたるパートナーシップを締結。月2,600円で欧州サッカーのライブ/見逃し配信が見放題となるプラン「サッカーパック」の提供を開始した。
これらを踏まえて堤氏は、今後会員500万人突破を目指すために、「オリジナルIP」「グローバル」の2つを重要視すると述べる。
U-NEXTでは書籍/コミックあわせて100点以上のオリジナル作品を展開しており、その中からメディアミックス/実写化作品の制作を進行。現在、芥川賞作家・藤野千夜の長編小説『団地のふたり』が、小泉今日子、小林聡美主演で実写ドラマ化。また、U-NEXT Comicにて配信する海石ともえ『五十嵐夫妻は偽装他人』の実写化が決定している。こうした「オリジナルIP」の展開により、プラットフォームの差別化、活性化を図っていくという。
そして、2つ目の「グローバル」の手段が、この度発表されたWBD「Max」との提携となる。
すでにU-NEXTは2021年3月の段階で、米ワーナーメディアとSVODにおける独占パートナーシップ契約を締結し、ケーブルテレビ放送局「HBO」や、Maxの前身にあたる「HBO Max」のオリジナル作品の独占見放題配信を行っていた。この度の新しいパートナーシップは、このライセンスパートナーとしての関係を、共同でプラットフォームを運営するような枠組みまで押し広げた格好だ。
U-NEXT 取締役COOの本多利彦氏によれば、今回のパートナーシップにより大きく変わるのが、圧倒的なコンテンツ数。Maxが擁する「HBO」「MAXオリジナル」「ハリー・ポッター」「DC」「ワーナーブラザース」「カートゥーン ネットワーク」「ディスカバリーチャンネル」「アニマルプラネット」の8ブランドが一挙に見放題ラインナップに追加され、約2,500タイトル/16,000エピソードを日本語で楽しめるようになる。
4K HDRの高画質/高音質配信についても力を入れ、『ハリー・ポッター』全シリーズ、『ファンタスティック・ビースト』2作から4K HDR見放題に対応。その後も作品数を充実させていく予定だ。
WBDとの契約により、見放題配信の開始が早まることも変化のひとつ。これまでU-NEXTでは、劇場公開直後の作品は都度課金により配信し、しばらく期間をおいた後に見放題配信を開始する、という手法を取っていた。今後はより多くの作品が、劇場公開直後に見放題配信できる見込みだという。
一方でU-NEXTは、U-NEXTポイントを映画の鑑賞クーポンや飲食/グッズ割引クーポンに引き換えられる「映画クーポン」サービスを提供しており、こうした劇場での作品鑑賞を後押しする施策も継続していくと本多氏は語った。
また、この度のパートナーシップでもうひとつ重要なポイントが、国内作品をMaxを通じてグローバル発信する、という取り組みだ。Maxの海外コンテンツを日本に取り入れるだけでなく、逆にU-NEXTが厳選した日本の映画、ドラマ、アニメ、音楽ライブなどを海外に向けて展開し、「海外のファンダム(熱量の高いファン層)や流行を構築し、日本のIPを育てていく」と本多氏は説明する。
本多氏はグローバル展開に際し、「日本語のコンテンツをただ出せば良いという時代ではない」と現状を認識。実際、海外で大きな人気を得ている国内コンテンツはアニメーションなど一部に限られており、どのようなコンテンツをどのように世界へ伝えていくかは、WBDや各コンテンツ権利者とも協議しながら決定していきたいとした。
U-NEXT 新戦略発表会には、WBDのアジア・パシフィックプレジデント、ジェームズ・ギボンズ氏も登壇。「アジア太平洋地域において、日本は有力なストリーミング市場。WBDは長年多様な事業を展開しており、成長の余地も大きい」と日本市場の重要性を述べ、「U-NEXTは国内のユーザーと強力な結びつきを構築している。日本のすべてのファンにリーチするには、提携するのが効率的だと判断した」と、U-NEXTと提携してMaxを展開するにいたった背景を説明する。
U-NEXTから世界に向けたコンテンツ発信についても、「WBDでは日本コンテンツのクリエイティビティを高く評価しており、グローバルでも通用するエビデンスもある。プレミアムドラマや知名度の高いアニメIPへのユーザーの関心も強い」などと期待を寄せた。
これに際し、U-NEXTは「U-NEXT 新戦略発表会」を開催。代表取締役社長 堤 天心氏らが、パートナーシップに関する詳細や、U-NEXTを取り巻く現在の概況、今後の展開を含め説明した。
■U-NEXT有料会員500万人を目指し、「オリジナルIP」「グローバル展開」に注力
ここ数年のストリーミング市場は、コロナ禍の影響により大きく市場規模が拡大。巣ごもり需要が落ち着いた後も堅調に成長させてきた。その間にもU-NEXTは成長のためさまざまな取り組みを行っており、有料会員数は約433万人を数えている。
堤氏は特に大きなトピックとして、昨年6月30日に実施したParaviとのサービス統合をあげる。これにより、TBSやテレビ東京の人気番組約1万本をライブラリに追加し、元Paraviのユーザーも吸収。TBS/テレビ東京の番組内でも放送内告知を行い、知名度を大幅に向上できたと語る。
また、2022年から継続しているライブエンターテイメントへの注力も重要と堤氏。特に音楽のライブ/コンサート配信を拡充しており、「音楽のU-NEXT」としての立場を確立したと自信を見せる。
同時に、サッカー、ゴルフなどスポーツジャンルの強化も推進。例えばサッカーでは、2023年に結んだスペインのプロリーグ「ラ・リーガ」との5年契約に加え、今年7月にはイングランド「プレミアリーグ」との7年間にわたるパートナーシップを締結。月2,600円で欧州サッカーのライブ/見逃し配信が見放題となるプラン「サッカーパック」の提供を開始した。
これらを踏まえて堤氏は、今後会員500万人突破を目指すために、「オリジナルIP」「グローバル」の2つを重要視すると述べる。
U-NEXTでは書籍/コミックあわせて100点以上のオリジナル作品を展開しており、その中からメディアミックス/実写化作品の制作を進行。現在、芥川賞作家・藤野千夜の長編小説『団地のふたり』が、小泉今日子、小林聡美主演で実写ドラマ化。また、U-NEXT Comicにて配信する海石ともえ『五十嵐夫妻は偽装他人』の実写化が決定している。こうした「オリジナルIP」の展開により、プラットフォームの差別化、活性化を図っていくという。
■膨大な海外コンテンツの見放題だけでなく、国内コンテンツの海外進出を図る
そして、2つ目の「グローバル」の手段が、この度発表されたWBD「Max」との提携となる。
すでにU-NEXTは2021年3月の段階で、米ワーナーメディアとSVODにおける独占パートナーシップ契約を締結し、ケーブルテレビ放送局「HBO」や、Maxの前身にあたる「HBO Max」のオリジナル作品の独占見放題配信を行っていた。この度の新しいパートナーシップは、このライセンスパートナーとしての関係を、共同でプラットフォームを運営するような枠組みまで押し広げた格好だ。
U-NEXT 取締役COOの本多利彦氏によれば、今回のパートナーシップにより大きく変わるのが、圧倒的なコンテンツ数。Maxが擁する「HBO」「MAXオリジナル」「ハリー・ポッター」「DC」「ワーナーブラザース」「カートゥーン ネットワーク」「ディスカバリーチャンネル」「アニマルプラネット」の8ブランドが一挙に見放題ラインナップに追加され、約2,500タイトル/16,000エピソードを日本語で楽しめるようになる。
4K HDRの高画質/高音質配信についても力を入れ、『ハリー・ポッター』全シリーズ、『ファンタスティック・ビースト』2作から4K HDR見放題に対応。その後も作品数を充実させていく予定だ。
WBDとの契約により、見放題配信の開始が早まることも変化のひとつ。これまでU-NEXTでは、劇場公開直後の作品は都度課金により配信し、しばらく期間をおいた後に見放題配信を開始する、という手法を取っていた。今後はより多くの作品が、劇場公開直後に見放題配信できる見込みだという。
一方でU-NEXTは、U-NEXTポイントを映画の鑑賞クーポンや飲食/グッズ割引クーポンに引き換えられる「映画クーポン」サービスを提供しており、こうした劇場での作品鑑賞を後押しする施策も継続していくと本多氏は語った。
また、この度のパートナーシップでもうひとつ重要なポイントが、国内作品をMaxを通じてグローバル発信する、という取り組みだ。Maxの海外コンテンツを日本に取り入れるだけでなく、逆にU-NEXTが厳選した日本の映画、ドラマ、アニメ、音楽ライブなどを海外に向けて展開し、「海外のファンダム(熱量の高いファン層)や流行を構築し、日本のIPを育てていく」と本多氏は説明する。
本多氏はグローバル展開に際し、「日本語のコンテンツをただ出せば良いという時代ではない」と現状を認識。実際、海外で大きな人気を得ている国内コンテンツはアニメーションなど一部に限られており、どのようなコンテンツをどのように世界へ伝えていくかは、WBDや各コンテンツ権利者とも協議しながら決定していきたいとした。
U-NEXT 新戦略発表会には、WBDのアジア・パシフィックプレジデント、ジェームズ・ギボンズ氏も登壇。「アジア太平洋地域において、日本は有力なストリーミング市場。WBDは長年多様な事業を展開しており、成長の余地も大きい」と日本市場の重要性を述べ、「U-NEXTは国内のユーザーと強力な結びつきを構築している。日本のすべてのファンにリーチするには、提携するのが効率的だと判断した」と、U-NEXTと提携してMaxを展開するにいたった背景を説明する。
U-NEXTから世界に向けたコンテンツ発信についても、「WBDでは日本コンテンツのクリエイティビティを高く評価しており、グローバルでも通用するエビデンスもある。プレミアムドラマや知名度の高いアニメIPへのユーザーの関心も強い」などと期待を寄せた。