トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > レビュー記事一覧

公開日 2018/06/09 08:00
開発者目線で見るアップルのこれから

MusicKit、HomeKit…アップルがWWDCで “語らなかったこと” から未来を読み解く

海上 忍

前のページ 1 2 3 次のページ

今年もWWDC 2018が開幕した。Apple Watch用リストバンドを除けばハードウェアの発表が一切なかったからか、巷の熱量は上がらぬままだが、ソフトウェア開発者目線では目新しい発表がいくつもあった。

基調講演で出された情報を丁寧に読み解けば、アップルが今後目指す方向性もおぼろげながら見えてくるというもの。本稿では、開発者向け資料をもとに“アップル発A&Vサービスのこれから”を考えてみたい。

音楽をより身近にする「MusicKit on the Web」

既報のとおり、WWDC 2018ではハードウェアの発表が皆無に近いものだった。しかし“WWDC”のそもそもの位置付けは、ソフトウェア開発者にOSの新機能を紹介したり、新しい開発フレームワーク(API)の使い方を解説したりすることによって、アップルの思い描く方向へサードパーティー製ソフトウェアを導くことだ。その意味で、今回のWWDCは、ソフトウェアにアイデンティティを持つアップルの面目躍如たるイベントともいえる。

とはいえ、オーディオ&ビジュアルに直接影響してくる発表は、tvOS(iOSをApple TV向けにモディファイしたOS)がドルビーアトモスに対応するくらいのもので、当サイトで扱う記事としてはいささか寂しい状況だが、開発者向けの情報を丁寧にチェックすればそうでもない。その一つが「MusicKit on the Web」だ。

MusicKitとは、Apple Musicが扱う楽曲を再生するアプリのための開発フレームワーク。ローカル(iPhone内部のミュージックライブラリ)やクラウド上の楽曲を再生できるほか、最近聴いた曲などユーザごとに異なる情報を取得するための機能群が用意されており、これを利用して開発されたアプリは、Apple Musicが抱えるコンテンツへ自由にアクセスできる。

MusicKit on the Webは、そのMusicKitをWEBから利用可能にするものだ。ざっくりいうと、HTML/JavaScriptを利用してApple Musicのコンテンツへアクセス可能にする技術で、Apple Musicの音楽を再生できるWEBページを開発できるようになる。「MusicKit JS」はそのためのJavaScriptライブラリで、ベータ版の提供が開始されている(詳細はこちら)。

ウェブからApple Musicにアクセスできる「MusicKit on the Web」が登場した

これまでも、アーティストが自身の楽曲を紹介するためのWEBツールは提供されていたが、MusicKit on the Webはその範囲を一気に拡げる。JavaScriptが動作可能なWEBブラウザさえあれば、Androidでもゲーム機でもApple Musicの音楽を再生できるようになるのだ。

ところで、アップルが開発を進めるWEBブラウザ「Safari」は、iOS版/macOS版ともPWA(Progressive Web Apps)対応を進めており、ウェブアプリとネイティブアプリの垣根は低くなりつつある。これまでApple Musicのコンテンツは、iOSの「ミュージック」アプリか、Windows/Macの「iTunes」で聴くものだったが、これからはインターネットに接続さえできればOKだ。“iOS/Androidどちらでも動くウェブアプリ” や “ウェブにアクセスできるIoT機器” で聴く時代になるのかもしれない。

アップルが描く「これからのAR」

前のページ 1 2 3 次のページ

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新

WEB