開発者目線で見るアップルのこれから
MusicKit、HomeKit…アップルがWWDCで “語らなかったこと” から未来を読み解く
今年もWWDC 2018が開幕した。Apple Watch用リストバンドを除けばハードウェアの発表が一切なかったからか、巷の熱量は上がらぬままだが、ソフトウェア開発者目線では目新しい発表がいくつもあった。
基調講演で出された情報を丁寧に読み解けば、アップルが今後目指す方向性もおぼろげながら見えてくるというもの。本稿では、開発者向け資料をもとに“アップル発A&Vサービスのこれから”を考えてみたい。
■音楽をより身近にする「MusicKit on the Web」
既報のとおり、WWDC 2018ではハードウェアの発表が皆無に近いものだった。しかし“WWDC”のそもそもの位置付けは、ソフトウェア開発者にOSの新機能を紹介したり、新しい開発フレームワーク(API)の使い方を解説したりすることによって、アップルの思い描く方向へサードパーティー製ソフトウェアを導くことだ。その意味で、今回のWWDCは、ソフトウェアにアイデンティティを持つアップルの面目躍如たるイベントともいえる。
とはいえ、オーディオ&ビジュアルに直接影響してくる発表は、tvOS(iOSをApple TV向けにモディファイしたOS)がドルビーアトモスに対応するくらいのもので、当サイトで扱う記事としてはいささか寂しい状況だが、開発者向けの情報を丁寧にチェックすればそうでもない。その一つが「MusicKit on the Web」だ。
MusicKitとは、Apple Musicが扱う楽曲を再生するアプリのための開発フレームワーク。ローカル(iPhone内部のミュージックライブラリ)やクラウド上の楽曲を再生できるほか、最近聴いた曲などユーザごとに異なる情報を取得するための機能群が用意されており、これを利用して開発されたアプリは、Apple Musicが抱えるコンテンツへ自由にアクセスできる。
MusicKit on the Webは、そのMusicKitをWEBから利用可能にするものだ。ざっくりいうと、HTML/JavaScriptを利用してApple Musicのコンテンツへアクセス可能にする技術で、Apple Musicの音楽を再生できるWEBページを開発できるようになる。「MusicKit JS」はそのためのJavaScriptライブラリで、ベータ版の提供が開始されている(詳細はこちら)。
これまでも、アーティストが自身の楽曲を紹介するためのWEBツールは提供されていたが、MusicKit on the Webはその範囲を一気に拡げる。JavaScriptが動作可能なWEBブラウザさえあれば、Androidでもゲーム機でもApple Musicの音楽を再生できるようになるのだ。
ところで、アップルが開発を進めるWEBブラウザ「Safari」は、iOS版/macOS版ともPWA(Progressive Web Apps)対応を進めており、ウェブアプリとネイティブアプリの垣根は低くなりつつある。これまでApple Musicのコンテンツは、iOSの「ミュージック」アプリか、Windows/Macの「iTunes」で聴くものだったが、これからはインターネットに接続さえできればOKだ。“iOS/Androidどちらでも動くウェブアプリ” や “ウェブにアクセスできるIoT機器” で聴く時代になるのかもしれない。
基調講演で出された情報を丁寧に読み解けば、アップルが今後目指す方向性もおぼろげながら見えてくるというもの。本稿では、開発者向け資料をもとに“アップル発A&Vサービスのこれから”を考えてみたい。
■音楽をより身近にする「MusicKit on the Web」
既報のとおり、WWDC 2018ではハードウェアの発表が皆無に近いものだった。しかし“WWDC”のそもそもの位置付けは、ソフトウェア開発者にOSの新機能を紹介したり、新しい開発フレームワーク(API)の使い方を解説したりすることによって、アップルの思い描く方向へサードパーティー製ソフトウェアを導くことだ。その意味で、今回のWWDCは、ソフトウェアにアイデンティティを持つアップルの面目躍如たるイベントともいえる。
とはいえ、オーディオ&ビジュアルに直接影響してくる発表は、tvOS(iOSをApple TV向けにモディファイしたOS)がドルビーアトモスに対応するくらいのもので、当サイトで扱う記事としてはいささか寂しい状況だが、開発者向けの情報を丁寧にチェックすればそうでもない。その一つが「MusicKit on the Web」だ。
MusicKitとは、Apple Musicが扱う楽曲を再生するアプリのための開発フレームワーク。ローカル(iPhone内部のミュージックライブラリ)やクラウド上の楽曲を再生できるほか、最近聴いた曲などユーザごとに異なる情報を取得するための機能群が用意されており、これを利用して開発されたアプリは、Apple Musicが抱えるコンテンツへ自由にアクセスできる。
MusicKit on the Webは、そのMusicKitをWEBから利用可能にするものだ。ざっくりいうと、HTML/JavaScriptを利用してApple Musicのコンテンツへアクセス可能にする技術で、Apple Musicの音楽を再生できるWEBページを開発できるようになる。「MusicKit JS」はそのためのJavaScriptライブラリで、ベータ版の提供が開始されている(詳細はこちら)。
これまでも、アーティストが自身の楽曲を紹介するためのWEBツールは提供されていたが、MusicKit on the Webはその範囲を一気に拡げる。JavaScriptが動作可能なWEBブラウザさえあれば、Androidでもゲーム機でもApple Musicの音楽を再生できるようになるのだ。
ところで、アップルが開発を進めるWEBブラウザ「Safari」は、iOS版/macOS版ともPWA(Progressive Web Apps)対応を進めており、ウェブアプリとネイティブアプリの垣根は低くなりつつある。これまでApple Musicのコンテンツは、iOSの「ミュージック」アプリか、Windows/Macの「iTunes」で聴くものだったが、これからはインターネットに接続さえできればOKだ。“iOS/Androidどちらでも動くウェブアプリ” や “ウェブにアクセスできるIoT機器” で聴く時代になるのかもしれない。