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開発者目線で見るアップルのこれから

MusicKit、HomeKit…アップルがWWDCで “語らなかったこと” から未来を読み解く

公開日 2018/06/09 08:00 海上 忍
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ホーム/IoT分野はどうなる?

出てきた情報だけでなく、“期待していたけれど出てこなかった”情報によって、技術動向を占うこともできる。今回のWWDCの場合、ホームオートメーションやIoTがこれに該当する。開発フレームワークでいえば「HomeKit」だ。

今回の基調講演では、HomeKitはごく短く触れられただけで、新機能の紹介は特に行われなかった。これから公開されるセッションの様子を収めたビデオのタイトルは「HomeKit Deep Dive」で、HomeKitが登場した2014年以降続いていたタイトル(What's New in HomeKit)は使われていない。つまり「What's New」がないのだろう。

次期macOS「Mojave」にHomeアプリが追加されるという発表はあったものの、それは「ボイスメモ」や「News」など、iOSに標準装備のアプリがmacOS Mojaveに移植されるという文脈での話であり、肝心なAPIやクラウドの機能強化ではない。

HomeアプリがmacOS Mojaveに移植されるという話以外、HomeKitについて触れられることはなかった

クラウドといえば、「Siri」にも大きな変化はなかった。iOS 12のSiriには、複数の処理に名前を付けて実行する「ショートカット」という機能が追加されたが、これはエンドユーザーの利便性向上に関する話で、Siriを窓口としたアプリの開発プラットフォームに関する話ではない。

同じボイスコマンドを提供するGoogleとAmazonはといえば、クラウド側にプログラムを置き処理の大半を担う「サーバレスアーキテクチャ」のアプリ(スキル)を推進しているが、Appleは今なおこの方式を採用していない。

開発フレームワークとしてのHomeKitに格段の変化がなく、Siri対応アプリの形態も従来どおりとすると、アップルのホーム/IoT分野への取り組みは様子見状態となっている可能性が高い。

実際、アップルは「HomePod」というSiriを活用したスマートスピーカーを今年2月に一部の国・地域で発売したが、いまだ日本での発売は未定。アップル製品との親和性の高さというアピールポイントはあるにせよ、コントロールできる家電製品は多いとはいえず、音質部分を除いたスマートスピーカーとしての総合力ではGoogle/Amazonに水をあけられている感が強い。

Google/Amazonとは同じ土俵に乗らない、アップルはアップルの土俵で戦う……前述したAR技術への傾倒ぶりを重ね合わせると、そんなアップルの思惑が伝わってくる基調講演だったと言えるだろう。

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