公開日 2020/02/05 06:40
AAEx審査委員の福田雅光氏、林正儀氏が語る
手軽に使えて効果は絶大。ティグロンのプロ仕様インシュレーター「D-REN Pro」レビュー
福田雅光/林正儀
手軽に使用できて効果は絶大。ティグロンの人気インシュレーター「D-REN」のプロ仕様モデル「D-REN Pro」が絶大な評価を得ている。同社の特許技術であるマグネシウムシールドのノウハウを内部に封入し、電磁波対策と振動吸収性能を兼ね備え、さらに進化した万能スペーサーで、「オーディオアクセサリー銘機賞2020」でも特別賞を受賞した。本項では審査会で本製品を特に高く評価した福田雅光氏と林正儀氏が登場。その効果をレポートしている。
■マグネシウム内蔵が鍵。嘘のように解像度が向上 TEXT/福田雅光
インシュレーターは金属素材を採用した高級製品ばかりが意味があるわけではない。軟性系の素材を採用した製品にも、十分にSN比を高める効果がある。
ティグロンの「D-REN Pro」は約3mm厚という薄さであるため、ラックの中段に設置した機器にも簡単に使うことが可能だ。また、滑り止め的な効力もあるため、巨大地震の場合にも機器が滑り落ちないような保持力を持つことも安心できる。構造のポイントは、内部にマグネシウムプレートを内蔵していることだ。
この効果の程はというと、嘘みたいにS/N、解像度を高め、音のコントラストをしっかり構成し、かつ歪感が少ない。軟性であるから輪郭があまくなるように想像するかもしれないが、そのような傾向はなく、解像度の高い性能が得られる。
■低価格で全ての問題を解消。地震対策でも効果を発揮
低価格であるため、あらゆる機器の設置に関係する問題を改善し、音質を強化することが可能なコストパフォーマンスの高いインシュレーターだ。おそらく周囲の軟性材と内部のマグネシウムの作用がうまく働いていると想像する。経験的にこの製品は傑作的な完成度を持っている。
過去、あらゆる素材の製品を試してきたが、こうは簡単に、ほぼパーフェクトな全域でのメリットを引き出すことは少ない。どこかに一長一短が発生するものだが、この製品には特に副作用のある部分が感じられなかった。
低音弦楽器の響きと分解力の高さ、音程の変化が明確に表現される。高域特性は特に難しい部分であるが、繊細でS/Nも高く、ボーカルの発声はきれいに澄んでいる。これは大変効果的な銘品といっていいだろう。くもり、濁りが極めて少ない。テストはCDプレーヤーで行ったが、小型スピーカーの設置やD/Aコンバーター、ネットオーディオ機器にも試してみることを薦めたい。
3・11の地震を経験したことから申し上げると、大地震の際には高さ50cm程度に置いた機器も滑り落ちてしまい、ダメージを受けてしまう。どのように高性能なインシュレーターでも不安定な設置になっていると、危険があり、音質重視のオーディオ製品も安全性を考えておく必要を忘れないでほしい。筆者はアクセサリー銘機賞に、このような製品に光をあてることにした。
(福田雅光)
■マグネシウムが2倍の厚さ。プロ向けのチューニング TEXT/林正儀
プロの技術をインシュレーターに持ち込む例は多くない。そんななか、独自のノウハウで高級ラックやケーブルを開発し続けているのがティグロンだ。D-REN Proはもともと楽器ルートでの販売を予定していた。スタジオ内のギター/ヘッドアンプ間で使い、プロにふさわしい音のチューニングをしたものだ。
目指したのはいわゆる複合共振の排除だ。ラックやボード、機器などそれぞれ固有の振動があり、混ざって悪さをする。その複合共振をスペーサーとして使うことで、ナチュラルにセパレートしようという発想である。ターゲットは生音で、そこにどう近づけるのかが目標となった。
Pro仕様はコンシューマー向けのD-RENとどう違うのかだが、特殊ゴムの内部に封入するマグネシウム箔を2倍も厚くしている。通常モデルからゴムの顔料と成分を若干変更しているそうだ。
■一気に再生レンジが拡大。S/Nや解像力も圧巻
スタジオでの厳しい評価に耐えたPro仕様だけに、複合素材をうまく活用したその完成度とクオリティは目覚ましい。D-RENと比べても、まずサウンド全体に安定感やスケールの大きさが加えられ、オーケストラの裾野も悠然と広い。一気に再生レンジが拡大したような印象だ。
声の帯域の中〜高音からさらに倍音領域にかけても、クセがなく素直に伸びてくれる。ベースやドラムはタイトでハイスピード。スペーサーで重心がのり、低音がずしっと沈むのも珍しい。そして圧倒的な体感S/Nや澄みわたるような見通しのよさ。
さらに解像力、きりっとしたフォーカスの合い方や、特に弱音領域でのトランスペアレンシー(透明度)など、はるかに格上とみた。コンポから様々なポテンシャルを引き出してくれるアイテムであり、「オーディオアクセサリー銘機賞」の「特別賞」に相応しい。
改めて複合共振対策にスポットを当てよう。コンポの脚に敷いてみた。通常のスペーサーだと、ゴムや樹脂、金属脚など素材のクセがのってくるのだが、きっぱりと分離してニュートラルな状態に近い。ダイレクト受けのようだというべきか、微細振動の吸収やコントロール能力の高さが際立っている。8,000円(税抜)の4個セットと、6,400円(税抜)の3個セットが用意されている。
(林正儀)
<Specification>
●素材:純マグネシウムシールド+特殊人工ゴムのハイブリッド構造●外径寸法:直径70mm×厚さ3mm●取り扱い:ティグロン(株)
本記事は季刊・オーディオアクセサリーvol.175 Winterからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。
■マグネシウム内蔵が鍵。嘘のように解像度が向上 TEXT/福田雅光
インシュレーターは金属素材を採用した高級製品ばかりが意味があるわけではない。軟性系の素材を採用した製品にも、十分にSN比を高める効果がある。
ティグロンの「D-REN Pro」は約3mm厚という薄さであるため、ラックの中段に設置した機器にも簡単に使うことが可能だ。また、滑り止め的な効力もあるため、巨大地震の場合にも機器が滑り落ちないような保持力を持つことも安心できる。構造のポイントは、内部にマグネシウムプレートを内蔵していることだ。
この効果の程はというと、嘘みたいにS/N、解像度を高め、音のコントラストをしっかり構成し、かつ歪感が少ない。軟性であるから輪郭があまくなるように想像するかもしれないが、そのような傾向はなく、解像度の高い性能が得られる。
■低価格で全ての問題を解消。地震対策でも効果を発揮
低価格であるため、あらゆる機器の設置に関係する問題を改善し、音質を強化することが可能なコストパフォーマンスの高いインシュレーターだ。おそらく周囲の軟性材と内部のマグネシウムの作用がうまく働いていると想像する。経験的にこの製品は傑作的な完成度を持っている。
過去、あらゆる素材の製品を試してきたが、こうは簡単に、ほぼパーフェクトな全域でのメリットを引き出すことは少ない。どこかに一長一短が発生するものだが、この製品には特に副作用のある部分が感じられなかった。
低音弦楽器の響きと分解力の高さ、音程の変化が明確に表現される。高域特性は特に難しい部分であるが、繊細でS/Nも高く、ボーカルの発声はきれいに澄んでいる。これは大変効果的な銘品といっていいだろう。くもり、濁りが極めて少ない。テストはCDプレーヤーで行ったが、小型スピーカーの設置やD/Aコンバーター、ネットオーディオ機器にも試してみることを薦めたい。
3・11の地震を経験したことから申し上げると、大地震の際には高さ50cm程度に置いた機器も滑り落ちてしまい、ダメージを受けてしまう。どのように高性能なインシュレーターでも不安定な設置になっていると、危険があり、音質重視のオーディオ製品も安全性を考えておく必要を忘れないでほしい。筆者はアクセサリー銘機賞に、このような製品に光をあてることにした。
(福田雅光)
■マグネシウムが2倍の厚さ。プロ向けのチューニング TEXT/林正儀
プロの技術をインシュレーターに持ち込む例は多くない。そんななか、独自のノウハウで高級ラックやケーブルを開発し続けているのがティグロンだ。D-REN Proはもともと楽器ルートでの販売を予定していた。スタジオ内のギター/ヘッドアンプ間で使い、プロにふさわしい音のチューニングをしたものだ。
目指したのはいわゆる複合共振の排除だ。ラックやボード、機器などそれぞれ固有の振動があり、混ざって悪さをする。その複合共振をスペーサーとして使うことで、ナチュラルにセパレートしようという発想である。ターゲットは生音で、そこにどう近づけるのかが目標となった。
Pro仕様はコンシューマー向けのD-RENとどう違うのかだが、特殊ゴムの内部に封入するマグネシウム箔を2倍も厚くしている。通常モデルからゴムの顔料と成分を若干変更しているそうだ。
■一気に再生レンジが拡大。S/Nや解像力も圧巻
スタジオでの厳しい評価に耐えたPro仕様だけに、複合素材をうまく活用したその完成度とクオリティは目覚ましい。D-RENと比べても、まずサウンド全体に安定感やスケールの大きさが加えられ、オーケストラの裾野も悠然と広い。一気に再生レンジが拡大したような印象だ。
声の帯域の中〜高音からさらに倍音領域にかけても、クセがなく素直に伸びてくれる。ベースやドラムはタイトでハイスピード。スペーサーで重心がのり、低音がずしっと沈むのも珍しい。そして圧倒的な体感S/Nや澄みわたるような見通しのよさ。
さらに解像力、きりっとしたフォーカスの合い方や、特に弱音領域でのトランスペアレンシー(透明度)など、はるかに格上とみた。コンポから様々なポテンシャルを引き出してくれるアイテムであり、「オーディオアクセサリー銘機賞」の「特別賞」に相応しい。
改めて複合共振対策にスポットを当てよう。コンポの脚に敷いてみた。通常のスペーサーだと、ゴムや樹脂、金属脚など素材のクセがのってくるのだが、きっぱりと分離してニュートラルな状態に近い。ダイレクト受けのようだというべきか、微細振動の吸収やコントロール能力の高さが際立っている。8,000円(税抜)の4個セットと、6,400円(税抜)の3個セットが用意されている。
(林正儀)
<Specification>
●素材:純マグネシウムシールド+特殊人工ゴムのハイブリッド構造●外径寸法:直径70mm×厚さ3mm●取り扱い:ティグロン(株)
本記事は季刊・オーディオアクセサリーvol.175 Winterからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。
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