公開日 2023/11/29 06:30
用途や装着性で選べる3モデル
オープンイヤー型の常識を覆す、深く沈む“低音ホン”!SOULの“ながら聴き”イヤホン「OPENEARシリーズ」レビュー
高橋 敦
一貫して低音にこだわり続ける「SOUL」ブランドの、らしさに富んだ“ながら聴き”イヤホン「OPENEARシリーズ」。設計構造上、低音が出しにくいオープンイヤータイプだが、ズンズンくるSOULらしさは健在だ。本稿では、同シリーズから完全ワイヤレスイヤホンやキッズ向けモデルまで、拡充されたラインナップを紹介していこう。
イヤホンの新たなトレンドは、耳を塞がないオープンイヤータイプだ。「コンテンツの音をしっかり聴けて、周りの音も普通に聞こえるのってよくない?」という新提案は多くのユーザーに受け入れられ、あっという間に人気ジャンルに。製品数はどんどん増え続け、製品選びに迷うほどの状況になっている。
となると、これまで以上にポイントになるのが、そのブランド、その製品ならではの個性だ。そこで注目してみてほしいのが、SOULブランドが展開する「OPENEARシリーズ」なのだ。
SOULは2010年に設立されて以降、ブレずに「低音」を追求してきたブランド。原音忠実ナチュラル系イヤホンからは得られない、“低音ホン”からしか摂取できない栄養がある!といわんばかりの音づくりを貫いてきた。そのSOULが、低音をしっかり出す音づくりが構造上難しいオープンイヤー型に参入。そこでどのような音を聴かせてくれたのかというと…。はい、“低音ホン”でした!
といっても、密閉するカナル型イヤホンの低音とまったく同じ音というわけではない。OPENEARシリーズで聴けるのは、これまでの“低音ホン”の知見からSOULが新たに生み出したのであろう、「オープンイヤー型における“低音ホン”の音づくり」だ。これもまた、SOULならではの低音といえるだろう。
そのOPENEARシリーズのラインナップに新たに加わるのが、完全ワイヤレスイヤホン「OPENEAR S-FREE」だ。シリーズ最大となる16mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載し、低音を根本的に強化。もう完全ワイヤレスじゃないイヤホンには戻れない!というユーザーも、オープンイヤー型“低音ホン”の世界に引きずり込もうという意欲作だ。
さらに、もう一方の新製品「OPENEAR POP」は意外にも、子供向けのいわゆる“キッズホン”。単に子供向けのデザインやサイズだけではなく、最大音量制限で子どもの聴覚を守る設計も導入。であるものの、装着感やスペックは普通に優れており、サイズ的に問題なければあえて大人がこれを選ぶのもぜんぜんアリだ。
そして、シリーズのスタンダードモデルの役割は、2023年春に先立って発売済みの「OPENEAR PLUS」が引き続き担う。スタンダードとはいえ、こちらも14.5mm大口径ダイナミック型ドライバー搭載。それを土台に、同社ならではのオープンイヤー型の音づくりを確立させた立役者の存在感は健在だ。
とはいえ、注目は最新モデルにしてシリーズ初の完全ワイヤレスモデルである「OPENEAR S-FREE」だろう。さすがに唸るような超低域までは出せないが、その上の一般的な低域の出し方がよい。無理に出したような強調感のない素直な低音は、大口径ドライバーならではだ。
この帯域の低音の鳴らし方、聴かせ方の巧さこそ、まさにオープンイヤー型におけるSOULの低音表現と思うのだが、このモデルはその部分が最新にして最高! ベースラインの聴き取りやすさや、そこから生み出されるグルーヴの表現に、このモデルはシリーズ内でも特に優れている。5弦ベースのアタックや音程もクリアだ。
使い勝手の面では、40msecの低遅延モードの搭載とケースのつくりが秀逸だ。特にケースはセミハードタイプで、付属カラビナも取り付け可能なのだが、なるほどと頷いたのは、ケースの開閉がジッパー式なこと。カバン等にカラビナでぶら下げて持ち歩く際、開閉がマグネット式だと何かの拍子にケースが開いてイヤホンが落ちてしまうのではという不安もあるが、ジッパーならそんなことはない。
一方、キッズ向けモデル「OPENEAR POP」の一目でわかる特長は、そのポップなルックスだ。加えて、軽さとシリコン素材による装着時の耳当たりの柔らかさのおかげで、着け心地もシリーズ中でも特に良好だ。頭の後ろに回すバンドが子供向けの短さなので、大人ユーザーはそこだけは要確認。音づくりは他モデルより高音が少しソフトで、装着性と同じく音の耳当たりも少し柔らかめだ。
音量の85dB制限は、iPhoneとの組み合わせだと「iPhone側の音量目盛りが半分程度を超えると、iPhone側でそれ以上の音量設定に上げても実際に本機から再生される音量は上がらない」という動作だった。その音量でも「キッチンで洗い物をしながらトークコンテンツを聴く」などには十分であったので、大音量再生派ユーザーでなければ、不便に感じる場面は少ないだろう。
最後に「OPENRAR PLUS」。低音の出し方は、余裕の面ではS-FREEに及ばないが、基本的にはそれと同傾向。中高域はPOPより硬めの音での迫力が持ち味だ。このジャンルでは、比較的に手頃な価格で一般的な仕様や使い勝手を満たし、そこにこのSOULサウンドという個性が加わる。それがこのモデルの位置付けであり強みだ。
◇◇◇
SOULの個性の中にモデルごとの個性も内包する、強力ラインナップが完成した。あとはあなたの選択次第だ!
【SPEC】
・「OPENEAR S-FREE」オープンイヤー型完全ワイヤレスイヤホン
●通信方式:Bluetooth Ver.5.3 ●対応コーデック:SBC、AAC
●型式:ダイナミック型 ●ドライバー口径:16.2mm ●連続再生時間:17時間(ケース込み50時間)
●質量:20g(片耳)、70g(ケース) ●防塵防滴性能:IPX5 ●付属品:カラビナ、充電用ケーブル
・「OPENEAR POP」オープンイヤー型ワイヤレスイヤホン(キッズ向けモデル)
●通信方式:Bluetooth Ver.5.0 ●対応コーデック:SBC、AAC
●型式:ダイナミック型 ●ドライバー口径:14.2mm ●連続再生時間:10時間
●質量:13g ●防塵防滴性能:IPX4 ●付属品:交換用5色カバー、200デザインのステッカー、充電用ケーブル
・「OPENEAR PLUS」オープンイヤー型ワイヤレスイヤホン
●通信方式:Bluetooth Ver.5.3 ●対応コーデック:SBC、AAC
●型式:ダイナミック型 ●ドライバー口径:14.2mm ●連続再生時間:7時間
●質量:18g ●防塵防滴性能:IPX5 ●付属品:充電用ケーブル
(協力:SOULNATION)
本記事は「プレミアムヘッドホンガイドマガジン Vol.21」からの転載です。
■“ながら聴き”でもブレない「低音ホン」を実現!SOUL「OPENEAR」
イヤホンの新たなトレンドは、耳を塞がないオープンイヤータイプだ。「コンテンツの音をしっかり聴けて、周りの音も普通に聞こえるのってよくない?」という新提案は多くのユーザーに受け入れられ、あっという間に人気ジャンルに。製品数はどんどん増え続け、製品選びに迷うほどの状況になっている。
となると、これまで以上にポイントになるのが、そのブランド、その製品ならではの個性だ。そこで注目してみてほしいのが、SOULブランドが展開する「OPENEARシリーズ」なのだ。
SOULは2010年に設立されて以降、ブレずに「低音」を追求してきたブランド。原音忠実ナチュラル系イヤホンからは得られない、“低音ホン”からしか摂取できない栄養がある!といわんばかりの音づくりを貫いてきた。そのSOULが、低音をしっかり出す音づくりが構造上難しいオープンイヤー型に参入。そこでどのような音を聴かせてくれたのかというと…。はい、“低音ホン”でした!
といっても、密閉するカナル型イヤホンの低音とまったく同じ音というわけではない。OPENEARシリーズで聴けるのは、これまでの“低音ホン”の知見からSOULが新たに生み出したのであろう、「オープンイヤー型における“低音ホン”の音づくり」だ。これもまた、SOULならではの低音といえるだろう。
■完全ワイヤレス「OPENEAR S-FREE」とキッズ向けモデル「OPENEAR POP」が追加
そのOPENEARシリーズのラインナップに新たに加わるのが、完全ワイヤレスイヤホン「OPENEAR S-FREE」だ。シリーズ最大となる16mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載し、低音を根本的に強化。もう完全ワイヤレスじゃないイヤホンには戻れない!というユーザーも、オープンイヤー型“低音ホン”の世界に引きずり込もうという意欲作だ。
さらに、もう一方の新製品「OPENEAR POP」は意外にも、子供向けのいわゆる“キッズホン”。単に子供向けのデザインやサイズだけではなく、最大音量制限で子どもの聴覚を守る設計も導入。であるものの、装着感やスペックは普通に優れており、サイズ的に問題なければあえて大人がこれを選ぶのもぜんぜんアリだ。
そして、シリーズのスタンダードモデルの役割は、2023年春に先立って発売済みの「OPENEAR PLUS」が引き続き担う。スタンダードとはいえ、こちらも14.5mm大口径ダイナミック型ドライバー搭載。それを土台に、同社ならではのオープンイヤー型の音づくりを確立させた立役者の存在感は健在だ。
■大口径ドライバーによる強調感のない素直な低音
とはいえ、注目は最新モデルにしてシリーズ初の完全ワイヤレスモデルである「OPENEAR S-FREE」だろう。さすがに唸るような超低域までは出せないが、その上の一般的な低域の出し方がよい。無理に出したような強調感のない素直な低音は、大口径ドライバーならではだ。
この帯域の低音の鳴らし方、聴かせ方の巧さこそ、まさにオープンイヤー型におけるSOULの低音表現と思うのだが、このモデルはその部分が最新にして最高! ベースラインの聴き取りやすさや、そこから生み出されるグルーヴの表現に、このモデルはシリーズ内でも特に優れている。5弦ベースのアタックや音程もクリアだ。
使い勝手の面では、40msecの低遅延モードの搭載とケースのつくりが秀逸だ。特にケースはセミハードタイプで、付属カラビナも取り付け可能なのだが、なるほどと頷いたのは、ケースの開閉がジッパー式なこと。カバン等にカラビナでぶら下げて持ち歩く際、開閉がマグネット式だと何かの拍子にケースが開いてイヤホンが落ちてしまうのではという不安もあるが、ジッパーならそんなことはない。
一方、キッズ向けモデル「OPENEAR POP」の一目でわかる特長は、そのポップなルックスだ。加えて、軽さとシリコン素材による装着時の耳当たりの柔らかさのおかげで、着け心地もシリーズ中でも特に良好だ。頭の後ろに回すバンドが子供向けの短さなので、大人ユーザーはそこだけは要確認。音づくりは他モデルより高音が少しソフトで、装着性と同じく音の耳当たりも少し柔らかめだ。
音量の85dB制限は、iPhoneとの組み合わせだと「iPhone側の音量目盛りが半分程度を超えると、iPhone側でそれ以上の音量設定に上げても実際に本機から再生される音量は上がらない」という動作だった。その音量でも「キッチンで洗い物をしながらトークコンテンツを聴く」などには十分であったので、大音量再生派ユーザーでなければ、不便に感じる場面は少ないだろう。
最後に「OPENRAR PLUS」。低音の出し方は、余裕の面ではS-FREEに及ばないが、基本的にはそれと同傾向。中高域はPOPより硬めの音での迫力が持ち味だ。このジャンルでは、比較的に手頃な価格で一般的な仕様や使い勝手を満たし、そこにこのSOULサウンドという個性が加わる。それがこのモデルの位置付けであり強みだ。
SOULの個性の中にモデルごとの個性も内包する、強力ラインナップが完成した。あとはあなたの選択次第だ!
【SPEC】
・「OPENEAR S-FREE」オープンイヤー型完全ワイヤレスイヤホン
●通信方式:Bluetooth Ver.5.3 ●対応コーデック:SBC、AAC
●型式:ダイナミック型 ●ドライバー口径:16.2mm ●連続再生時間:17時間(ケース込み50時間)
●質量:20g(片耳)、70g(ケース) ●防塵防滴性能:IPX5 ●付属品:カラビナ、充電用ケーブル
・「OPENEAR POP」オープンイヤー型ワイヤレスイヤホン(キッズ向けモデル)
●通信方式:Bluetooth Ver.5.0 ●対応コーデック:SBC、AAC
●型式:ダイナミック型 ●ドライバー口径:14.2mm ●連続再生時間:10時間
●質量:13g ●防塵防滴性能:IPX4 ●付属品:交換用5色カバー、200デザインのステッカー、充電用ケーブル
・「OPENEAR PLUS」オープンイヤー型ワイヤレスイヤホン
●通信方式:Bluetooth Ver.5.3 ●対応コーデック:SBC、AAC
●型式:ダイナミック型 ●ドライバー口径:14.2mm ●連続再生時間:7時間
●質量:18g ●防塵防滴性能:IPX5 ●付属品:充電用ケーブル
(協力:SOULNATION)
本記事は「プレミアムヘッドホンガイドマガジン Vol.21」からの転載です。
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