公開日 2023/11/30 06:40
【特別企画】フルテック最高峰RCAとXLRプラグの技術を応用
大迫力の音像に痺れる。フルテック「NCF Clear Line」RCAとXLRの効果を体験
炭山アキラ
NCF Clear Lineは、空き端子に差すだけで、端子から誘導されるノイズをチューニング処理するパッシブタイプのアクセサリー。すでに好評の電源用に続き、機器の出力または入力端子に直接装着する信号系の「ラインオプティマイザー」も新登場した。先頃新開発された同社最高峰RCAとXLRプラグの技術も応用し、音の色付けをせず、埋もれていた音源本来の魅力を引き出す強力な効果を実現。その効果を炭山アキラ氏が検証した。
フルテックの「NCF Clear Line」は、2年ほど前に電源プラグ型のコンディショナーが登場したと記憶している。それまでにもいくつかの社より同タイプのグッズは発売されていたが、本製品は安価な割にたいへん効果的で、高く評価したものだ。NCF樹脂による振動および静電気の除去と空芯コイルによる高周波のキャンセルが主眼で、本品自身が共振して余分な音を付け加えることを避けるため、カーボンと樹脂の複合による筐体とされている。
2023年のフルテックは、RCAとXLRのジャックへ挿せるノイズ・トリートメント製品へとレンジを広げた。RCA用の「NCF Clear Line-RCA」は入出力共通だが、XLR用は入力用「NCF Clear Line-XLR(M)」と出力用「NCF Clear Line-XLR(F)」の両方のタイプが用意されている。
こちらのトリートメントは、厳選されたセラミックコンデンサーで高周波をキャンセルすることがその主眼のようだが、そのコンデンサーに制振塗装が施されているのも見逃せない。素子の振動は意外と音質へ大きな影響を与えるものだからだ。
RCAの中心導体とXLRオス側のピンは、中空構造ロジウムメッキOCC導体の中へNCF樹脂を充填してあり、劇的な制振性と除電能力を有する。導体にはもちろん全て超低温+電磁波による独自のαプロセス処理済みである。絶縁体ももちろんNCF樹脂だ。RCAのアース側はコレットチャック構造となっており、必ず締めて使うように記載されている。
ハウジングは強靭なステンレス鋼とNCF+カーボンを主素材とした4層構造によって構成され、素子を収めた空間は密封することにより、内部の空気圧が抵抗となって素子の振動を抑えるという。
自宅リスニングルームで聴いた。まずプリアンプのDACボードへRCAタイプ「NCF Clear Line-RCA」を1個取り付けると、クラシックは一気に音場が濃厚になり、オーケストラの音像が半歩前へ出たかという大迫力に痺れる。リートは声のビビッドさを一切削ぐことなく、まろやかな質感を加えるように感ずる。
ジャズはウッドベースの音像が実体感を増し、ドラムスは切れ味鋭く、軽やかな中に厚みとコクを加える。一方、フュージョンでは、何も取り付けていなかった時に少々気になっていたエレキベースの重苦しさが軽減されるのだから、いろいろな効き方をするものだと感心する。
ポップスは音の立ち上がり/立ち下がりが向上し、パルシブなサウンドを大いに盛り上げる。基本的にS/Nを高めるのが大きな作用かと思っていたのだが、どうもそれだけではないようだ。
テスト試聴用のオプティマイザーは2本ずつ送られてきたので、今度はアナログの空き入力に2本挿してみると、おぉ、音場が一気に広がったぞ。オーケストラは再び半歩下がり、しかし1本挿し時の濃厚さは揺るがない。いやはや、これはたいへんな聴き心地だ。声もピアノと歌い手の間に広大な空間が広がる。ジャズは音の粒が空間へ飛び散っていくのが快感だ。ポップスは音がほぐれ、音場成分が濃くなった。
RCAタイプ「NCF Clear Line-RCA」は入力よりも出力端子で効くということなので、プリアウトへ挿してみると、オーケストラは確かに音のキメがさらに細かくなり、音像がさらに半歩下がったような印象がある。何とも広大なステージ感である。声はピアノに輝かしさが宿り、声もどんどん伸びる。ジャズは異様なまでのドラムスの生々しさと、負けずに軽く弾むウッドベースが素晴らしい。ポップスも音場が別物のように広がる。長年聴き慣れたソフトだが、こんな音が入っていたのだなと目を丸くすることになった。
お次はXLRだ。まず空き入力へ「NCF Clear Line-XLR(M)」を挿すと明確にノイズフロアが下がり、これまで聴こえなかったオーケストラの成分が耳へ飛び込んできてギョッとする。歌は声の質感が太く豊かになり、歌い手の込めた抑揚が心臓へ響く。ジャズは生の息吹が濃く、力強く響き渡る。ポップスは音像の輪郭が細くしなやかになり、どっしり構えた声の周辺から虚空へ、シンセサイザーの音場が渦を巻く。RCAに加えて聴いているのだから、効果が重畳するのは当然だが、それにしても引き出される潜在力はかなり大きい。
残念ながらXLR出力端子に空きがなかったので実験はここまでになったが、数を増すに連れて効果を高めるこの飽和点のなさは、同社「NCF Booster」以来の驚きだ。価格も低廉だし、幅広い人に薦めたいグッズである。
【本シリーズの主な特徴】
●センターピン内部に静電気対策としてフルテックの特殊素材「NCF」を注入したAlpha OCCロジウムメッキのワンピース中心導体●全てのコネクター、導体の金属部品は、フルテックの2段階の超低温処理および特殊電磁界処理「α-Process」を採用●エンドカバーは、NCF配合耐熱性ナイロン樹脂製で振動を効果的に吸収●優れた振動減衰特性を持つマルチマテリアルハイブリッド構造を採用
(協力:フルテック)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー190号』からの転載です。
入念な作り込みと構成により、再生音を劇的に高めてくれる
フルテックの「NCF Clear Line」は、2年ほど前に電源プラグ型のコンディショナーが登場したと記憶している。それまでにもいくつかの社より同タイプのグッズは発売されていたが、本製品は安価な割にたいへん効果的で、高く評価したものだ。NCF樹脂による振動および静電気の除去と空芯コイルによる高周波のキャンセルが主眼で、本品自身が共振して余分な音を付け加えることを避けるため、カーボンと樹脂の複合による筐体とされている。
2023年のフルテックは、RCAとXLRのジャックへ挿せるノイズ・トリートメント製品へとレンジを広げた。RCA用の「NCF Clear Line-RCA」は入出力共通だが、XLR用は入力用「NCF Clear Line-XLR(M)」と出力用「NCF Clear Line-XLR(F)」の両方のタイプが用意されている。
こちらのトリートメントは、厳選されたセラミックコンデンサーで高周波をキャンセルすることがその主眼のようだが、そのコンデンサーに制振塗装が施されているのも見逃せない。素子の振動は意外と音質へ大きな影響を与えるものだからだ。
RCAの中心導体とXLRオス側のピンは、中空構造ロジウムメッキOCC導体の中へNCF樹脂を充填してあり、劇的な制振性と除電能力を有する。導体にはもちろん全て超低温+電磁波による独自のαプロセス処理済みである。絶縁体ももちろんNCF樹脂だ。RCAのアース側はコレットチャック構造となっており、必ず締めて使うように記載されている。
ハウジングは強靭なステンレス鋼とNCF+カーボンを主素材とした4層構造によって構成され、素子を収めた空間は密封することにより、内部の空気圧が抵抗となって素子の振動を抑えるという。
S/Nや実体感を高め質感豊か。濃厚で広大な音場に驚かされた
自宅リスニングルームで聴いた。まずプリアンプのDACボードへRCAタイプ「NCF Clear Line-RCA」を1個取り付けると、クラシックは一気に音場が濃厚になり、オーケストラの音像が半歩前へ出たかという大迫力に痺れる。リートは声のビビッドさを一切削ぐことなく、まろやかな質感を加えるように感ずる。
ジャズはウッドベースの音像が実体感を増し、ドラムスは切れ味鋭く、軽やかな中に厚みとコクを加える。一方、フュージョンでは、何も取り付けていなかった時に少々気になっていたエレキベースの重苦しさが軽減されるのだから、いろいろな効き方をするものだと感心する。
ポップスは音の立ち上がり/立ち下がりが向上し、パルシブなサウンドを大いに盛り上げる。基本的にS/Nを高めるのが大きな作用かと思っていたのだが、どうもそれだけではないようだ。
テスト試聴用のオプティマイザーは2本ずつ送られてきたので、今度はアナログの空き入力に2本挿してみると、おぉ、音場が一気に広がったぞ。オーケストラは再び半歩下がり、しかし1本挿し時の濃厚さは揺るがない。いやはや、これはたいへんな聴き心地だ。声もピアノと歌い手の間に広大な空間が広がる。ジャズは音の粒が空間へ飛び散っていくのが快感だ。ポップスは音がほぐれ、音場成分が濃くなった。
RCAタイプ「NCF Clear Line-RCA」は入力よりも出力端子で効くということなので、プリアウトへ挿してみると、オーケストラは確かに音のキメがさらに細かくなり、音像がさらに半歩下がったような印象がある。何とも広大なステージ感である。声はピアノに輝かしさが宿り、声もどんどん伸びる。ジャズは異様なまでのドラムスの生々しさと、負けずに軽く弾むウッドベースが素晴らしい。ポップスも音場が別物のように広がる。長年聴き慣れたソフトだが、こんな音が入っていたのだなと目を丸くすることになった。
お次はXLRだ。まず空き入力へ「NCF Clear Line-XLR(M)」を挿すと明確にノイズフロアが下がり、これまで聴こえなかったオーケストラの成分が耳へ飛び込んできてギョッとする。歌は声の質感が太く豊かになり、歌い手の込めた抑揚が心臓へ響く。ジャズは生の息吹が濃く、力強く響き渡る。ポップスは音像の輪郭が細くしなやかになり、どっしり構えた声の周辺から虚空へ、シンセサイザーの音場が渦を巻く。RCAに加えて聴いているのだから、効果が重畳するのは当然だが、それにしても引き出される潜在力はかなり大きい。
残念ながらXLR出力端子に空きがなかったので実験はここまでになったが、数を増すに連れて効果を高めるこの飽和点のなさは、同社「NCF Booster」以来の驚きだ。価格も低廉だし、幅広い人に薦めたいグッズである。
【本シリーズの主な特徴】
●センターピン内部に静電気対策としてフルテックの特殊素材「NCF」を注入したAlpha OCCロジウムメッキのワンピース中心導体●全てのコネクター、導体の金属部品は、フルテックの2段階の超低温処理および特殊電磁界処理「α-Process」を採用●エンドカバーは、NCF配合耐熱性ナイロン樹脂製で振動を効果的に吸収●優れた振動減衰特性を持つマルチマテリアルハイブリッド構造を採用
(協力:フルテック)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー190号』からの転載です。