公開日 2019/01/18 06:10
UB9000とV9Rなどで可能に
異例のメーカー間コラボ、パナソニックとJVCが実現したHDRトーンマッピング連携がすごい
編集部:風間雄介
パナソニックとJVCケンウッドは、プロジェクター向けのHDR映像最適化トーンマッピング設定を開発、両社製品で採用した。
パナソニックのUHD BDプレーヤー「DP-UB9000」と、JVCのプロジェクター「DLA-V9R」「DLA-V7」「DLA-V5」を組み合わせると、HDR映像を最適化する設定を選択できるようになる。
上記のような内容のニュースを、昨日お届けした。それぞれのメーカーの紹介ページを見ても、さらっと書かれているだけで意味が伝わりづらいが、実はこれはすごいことだ。
一体何がすごいのか。今回の発表内容をざっくり要約すると、「HDRコンテンツの、特に高輝度部のトーンマッピングはパナソニックのDP-UB9000に任せる。その代わり、暗部の表現精度を高めたり、トータルの画質最適化はJVCのプロジェクターが担当する」ということだ。メーカーの垣根を越え、さらにはデバイスも異なるコラボレーションが、今回実現したことになる。
パナソニックはプロジェクターを作っていない、JVCはUHD-BDプレーヤーを作っていないという背景はあるにせよ、コンシューマー向けの映像機器メーカー同士が、それぞれの機器の設定にまで踏み込んだコラボレーションを行うことは異例だ。お互いの良い部分を認め合い、活用し合って、よりよい画質を追求するという姿勢が両社にあったからこそ、今回のコラボが実現したのだろう。
トーンマップとは、コンテンツの輝度情報を、ディスプレイやプロジェクターなど映像表示デバイスの特性に応じて変換する処理のことだ。暗部から明部までの輝度レンジが広いHDR映像の場合、このトーンマップの微妙なカーブをうまく生成できれば非常に美しい映像が見られるし、そうでなければ不自然な映像になったりする。
このトーンマップ処理は、テレビやプロジェクターなどで行うのがふつうだが、プレーヤー側でも行うことができる。これに着目したのがパナソニック「DP-UB9000」だ。詳細はこちらのニュース記事やこちらのインタビュー記事で紹介しているが、「自動HDRトーンマップ」という機能を搭載し、それほど輝度が高くないテレビでも、なめらかなトーンカーブを描くことで高輝度部が飽和しないよう工夫した。その際に高輝度部分の色味が変わらないよう、R/G/Bで連携処理しているのも特徴。また中低輝度部のトーンマップは変えず、映像が全体的に暗くなることを防いでいる。
この自動HDRトーンマップは、テレビはもちろんだが、プロジェクターでも高い効果を発揮する。プロジェクターはテレビに比べて輝度が低い。そこに、たとえば4,000nitの情報が入ってきても、高精度に処理することは難しい。それを補うのが自動HDRトーンマップというわけだ。
この自動HDRトーンマップ機能を備えたUB9000は、メタデータの変換機能という「荒技」まで搭載している。たとえばHDR10でも最高輝度4,000nitなどというソフトがあるが、こういったものも、特定のターゲット輝度にあわせたメタデータに書き換えて出力できるのだ。これによって、テレビ/プロジェクター側がソフトの妙なデータに個別に対処し、結果として画質が低下する心配がなくなる。
このUB9000のHDRディスプレイタイプ(ターゲット輝度)を「プロジェクター専用設定(高輝度のプロジェクター、ベーシックな輝度のプロジェクター)」にすると、そのフラグをJVCのプロジェクターが検出。するとHDRトーンマップはUB9000にまかせ、そのぶん空いた処理リソースを、全体の画質向上に振り向ける。結果として、両社の機器のリソースがうまく配分され、トータルの画質が向上するというわけだ。
実際の効果は今後レビュー記事などで紹介したいが、UB9000の開発者の一人であるパナソニックの甲野和彦氏は、その画質の向上ぶりがかなり高いレベルにあると語っていた。
ふつうはテレビやプロジェクターが担うトーンマップをプレーヤー側でやってしまおうというパナソニックもすごいし、その力を素直に認め、逆に利用することでトータルの画質性能を高めようとするJVCの決断力もすごい。こういったコラボが他社にも波及し、広がることを期待したいところだ。
パナソニックのUHD BDプレーヤー「DP-UB9000」と、JVCのプロジェクター「DLA-V9R」「DLA-V7」「DLA-V5」を組み合わせると、HDR映像を最適化する設定を選択できるようになる。
上記のような内容のニュースを、昨日お届けした。それぞれのメーカーの紹介ページを見ても、さらっと書かれているだけで意味が伝わりづらいが、実はこれはすごいことだ。
一体何がすごいのか。今回の発表内容をざっくり要約すると、「HDRコンテンツの、特に高輝度部のトーンマッピングはパナソニックのDP-UB9000に任せる。その代わり、暗部の表現精度を高めたり、トータルの画質最適化はJVCのプロジェクターが担当する」ということだ。メーカーの垣根を越え、さらにはデバイスも異なるコラボレーションが、今回実現したことになる。
パナソニックはプロジェクターを作っていない、JVCはUHD-BDプレーヤーを作っていないという背景はあるにせよ、コンシューマー向けの映像機器メーカー同士が、それぞれの機器の設定にまで踏み込んだコラボレーションを行うことは異例だ。お互いの良い部分を認め合い、活用し合って、よりよい画質を追求するという姿勢が両社にあったからこそ、今回のコラボが実現したのだろう。
トーンマップとは、コンテンツの輝度情報を、ディスプレイやプロジェクターなど映像表示デバイスの特性に応じて変換する処理のことだ。暗部から明部までの輝度レンジが広いHDR映像の場合、このトーンマップの微妙なカーブをうまく生成できれば非常に美しい映像が見られるし、そうでなければ不自然な映像になったりする。
このトーンマップ処理は、テレビやプロジェクターなどで行うのがふつうだが、プレーヤー側でも行うことができる。これに着目したのがパナソニック「DP-UB9000」だ。詳細はこちらのニュース記事やこちらのインタビュー記事で紹介しているが、「自動HDRトーンマップ」という機能を搭載し、それほど輝度が高くないテレビでも、なめらかなトーンカーブを描くことで高輝度部が飽和しないよう工夫した。その際に高輝度部分の色味が変わらないよう、R/G/Bで連携処理しているのも特徴。また中低輝度部のトーンマップは変えず、映像が全体的に暗くなることを防いでいる。
この自動HDRトーンマップは、テレビはもちろんだが、プロジェクターでも高い効果を発揮する。プロジェクターはテレビに比べて輝度が低い。そこに、たとえば4,000nitの情報が入ってきても、高精度に処理することは難しい。それを補うのが自動HDRトーンマップというわけだ。
この自動HDRトーンマップ機能を備えたUB9000は、メタデータの変換機能という「荒技」まで搭載している。たとえばHDR10でも最高輝度4,000nitなどというソフトがあるが、こういったものも、特定のターゲット輝度にあわせたメタデータに書き換えて出力できるのだ。これによって、テレビ/プロジェクター側がソフトの妙なデータに個別に対処し、結果として画質が低下する心配がなくなる。
このUB9000のHDRディスプレイタイプ(ターゲット輝度)を「プロジェクター専用設定(高輝度のプロジェクター、ベーシックな輝度のプロジェクター)」にすると、そのフラグをJVCのプロジェクターが検出。するとHDRトーンマップはUB9000にまかせ、そのぶん空いた処理リソースを、全体の画質向上に振り向ける。結果として、両社の機器のリソースがうまく配分され、トータルの画質が向上するというわけだ。
実際の効果は今後レビュー記事などで紹介したいが、UB9000の開発者の一人であるパナソニックの甲野和彦氏は、その画質の向上ぶりがかなり高いレベルにあると語っていた。
ふつうはテレビやプロジェクターが担うトーンマップをプレーヤー側でやってしまおうというパナソニックもすごいし、その力を素直に認め、逆に利用することでトータルの画質性能を高めようとするJVCの決断力もすごい。こういったコラボが他社にも波及し、広がることを期待したいところだ。